「死という最後の未来」幻冬舎文庫


死ねば意識がなくなる、死ねば虚無だ、という石原慎太郎さん。

意識がなくなるかどうかなんて虚無かどうかなんて、わからないじゃないですか、と応じる曽野綾子さん。

価値観が違う紳士淑女の軽妙なやりとり、楽しく読みました。

天人五衰で感じた「色即是空空即是色」を、この対話の中で、石原さんが引用されておられました。

石原さんはこれを
「時間と存在に対する究極のアフォリズム」
「死んで時間が途絶えたらすべてがなくなる」と。

しかし、
「死んで時間が途絶えたらすべてがなくなる」
とは釈迦のことばの半分(色即是空)ではないか、と私は思います。

本来、色即是空空即是色、これで1セットだから、色が空になり空が色にもなる往来、双方向性こそが、釈迦の言わんとする宇宙だと私は思います。

石原さんも実感されておられるように

「意欲だけは衰えないのに、肉体に勢いがない」

私も、そして多くの人もこの感じを持つと思いますけれども、これこそが、

肉体と精神は時間軸が違う、
つまり
肉体と精神はその出元が違う、
ということの証左ではないでしょうか。

肉体は地球のもの。
精神は宇宙のもの。
脳はその両方につながっている。