Quality effects of operative delay on mortality | ヘルスフィア -Around the Health Sphere-

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股関節骨折手術に関する論文その2です。


Quality effects of operative delay on mortality in hip fracture treatment
Qual Saf Health Care 2005;14: 371-377
R Sund, A Liski

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<Aim>
 1,早期手術と手術遅延を定義する
 2,術後の超過死亡率と手術遅延が長引いたことの関連を調べる
 3,早期手術と手術遅延グループの違いと、観察された要因の調整は、手術遅延と死亡率の関係を変えるか
 4,リスク調整された手術遅延の割合を病院間で比較
 5,1年死亡率と手術遅延患者の割合に関して、病院レベルの違いを調査する


<Data>
 フィンランドのヘルスケア記録、退院記録、国の死因記録

<対象>
 65歳以上で初めて股関節骨折になった患者で、内固定、人工骨頭、人工 股関節手術を行った16881人

<メソッド>
 Product limit estimators, 比例ハザードモデル、Z検定、カイ二乗検定、ロ ジスティック回帰、階層ガンマポワソンモデル

<アウトカム>
(1) 10-2日の待機時間は死亡率に同じ影響を示し、3-4日の待機時間で有意に死亡率の上昇があり(p<0.001)、5日以上の待機時間は最も高い死亡率を示した。早期手術は0-2日の待機時間(n=14426)、手術遅延は3日以上(n=2455)の待機時間と定義。

(2) 早期手術に比べて、手術遅延の未調整の死亡の超過リスクは、すぐに3%上昇、1年で5%まで引き続き上昇した。

(3) 早期手術は、85歳以上、女性、痴呆、目の疾患、入院前の長い入院治療、水曜日入院と関連。手術遅延は転子下骨折、大腿骨頸部骨折、循環器疾患、末梢血管障害、退院後すぐの入院、ナーシングホーム、ヘルスセンターからの入院、木曜・金曜・土曜の入院と関連。

(4) 手術の遅い患者の割合は施設間で大きな変化があった。

(5) 手術遅延患者の割合が小さいと、手術遅延患者の死亡率が高い。

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 股関節骨折手術の遅れと死亡率というのは、日本ではあまり考えられていない話ですね。入院した曜日による術後のアウトカムの変化は、医療業界ではよく言われることで、論文も色々あります。入院した曜日に関する日本の論文も以前に読んだ気がするな。。