◆仮に地方のしがない占い師がドラッカーの『マネジメント』を読んだら
~ドラッカー的占いビジネスの在り方6~



◆16、「人口構造の変化は、いかなる製品が、誰によって、どれだけ購入されるかに対し大きな影響を与える」
『イノベーションと企業家精神』P.93

多くの経営者が市場の内部に着目して、どうすれば成果が上がるのかを検討するのに対して、市場の外部に目を向ける人は少ない。しかし、経営者の置かれる環境たる人口構造こそ比較的予測しやすく、イノベーションを起こす機会としては取り組みやすいはずである。人口構造の変化への対応は、最も効率の良いイノベーション・チャンスなのである。

<占いビジネスとしての実践>

(NG)
地方で占い師としてお店を出しているのだから、地域密着型で時間をかけて少しずつ顧客を掴んで浸透していけばいい。

地域密着というからには、その地域の年齢構成の変化と多数派層(一番多い年齢層)をリサーチして、どのような見せ方、占い方がウケるかを緻密に分析しておく必要がある。ただ長く続けて時間が経てば地域になじめると言うわけではない。

(Good)
自分の住む地域を拠点として地域に即した占いサービスを提供しつつ、出張もしくは支店として都市部に向けてよりハイクォリティーもしくはハイグレードな占いサービス・料金設定を打ち出していく。

地方なら地方のスタイル、都市部なら都市部のスタイルがあると知ることで、多少人口構造の変化があったとしてもすぐに対応できるようになる。また、適応力が高まることにより、どのような環境でもビジネスチャンスを掴めるようになる。


◆17、「事実、知識によるイノベーションは、ほかのいかなるイノベーションよりもマネジメントを必要とする」
『イノベーションと企業家精神』P.135

新しい知識によるイノベーションは大きな成果を生む反面、形になるまでにかなりのタイムラグが生ずる。また、こういったイノベーションは複数の新しい知識の掛け合わせにより生まれることが多い。そのため、専門家としてのこだわりでなく、経営者としての視点から将来的な市場のニーズを見越しつつ手段を取捨選択していかなければならない。

18、アイデアによるイノベーションのうち、いずれに成功のチャンスがあるか、いずれに失敗の危険があるかは誰にもわからない」
『イノベーションと企業家精神』P.152

斬新なアイディアによるイノベーションは、成功する確率が低く、投資した労力や資金を回収できる場合は少ない。そのため、かなりギャンブル的要素が強いものと言えるだろう。組織としては、リスクは負うにしてもギャンブル要素の強い選択をすべきではない。よって、計画的に行動し、明確な目標を持ってイノベーションを追求することが望ましい。

<占いビジネスとしての実践>

(NG)
自分独自に今までに無いまったく新しいオリジナルの占いを開発して、それを顧客に対して提供することで成果を上げたい。

斬新すぎる占いは、時として顧客を混乱させるおそれがあるため、受け入れられがたい。仮にそれが受け入れられたとしてもかなり時間がかかる。

(Good)
これまで鑑定してきた経験が積み重なって、既存のものよりもより分かりやすく面白い占いがある程度周知のものとなったので、鑑定メニューのひとつとして設けたい。

自然な形で時間をかけて完成された新しい占いが、ある程度周知のものとなっている場合(例えば、携帯アプリなど)、着手して成果を出すのにはそれほど時間と労力はかからない。


(あとがき)

さて、このたびドラッカー的に占いビジネスの在り方を紹介させていただきました。しかしこれは、あくまで私自身がドラッカーの著書を読み、検討し、実践してきた結果として導き出した答えにすぎません。もしも同じドラッカーの著書を読んでも違う答えが出てくる場合があるとしても、それは当然の事です。ドラッカーの著書の面白いところは、「解答」ではなく「公式」が記されているところなのですから。

ただ、講演で紹介した「NG」は、多くの占い師たちが採ってきた、もしくは陥りやすいアプローチ法と言えるのではないでしょうか。なぜなら「占い師」としての視点でビジネスを考えれば、自ずとそのような結果になってしまうからなのです。

今回私は、ドラッカーの著書を読んで、「経営者」として占いビジネスを検討してみました。これらの中で紹介している「Good」は、私自身が考え、全て実践してきたことです。

そこで私が思ったのが、「経営者が占い師になるのは比較的容易だが、占い師が経営者になるのはかなり難しい。」ということなのです。

しかし、ここで面白い事実がひとつあります。

それは、「女性と経営者は占いが好きである(頼る)」ということなのです。この二者に共通しているのは、どちらも「未来を見ている」ということなのです。

顧客の大半である経営者と女性が未来を見ているのならば、鑑定者である占い師も、当然未来を見据えて占いビジネスに着手しなければならない、そう考えたことから、今回のテーマが生まれました。

今回のテーマを通して、少しでも多くの方々に楽しく経営について考えていただけたらと思います。そして、このような講演の機会を与えていただけたことを心よりお礼申し上げます。


ヒーリングサロンJuno 脇田尚揮