機能不全家族に育った母親を持ち、親権を持つ父親に育てられた子供。ドラッグなど、現実逃避に走ってしまう若者も少なくないアメリカで、逆境を乗り越え、アメリカの名門校(アイビーリーグ)に受かった若者のお話です。
私もアメリカ在住ですので、こちらの友達やクライアントのお子さんたちの大学受験でのお話はたくさん聞きます。また、ロサンゼルスの名門私立高校で日本語を教えていた友達もいるので、そういう学校に通い、良い成績を収めていても、名門校に入るのは難しいのを聞いているので、このエッセイを書いた17歳のルーク・ケンワージー(Luke Kenworthy)は本当に凄いと思います。
アメリカの名門校は勉強ができるだけでは入れません。アイビーリーグに入れるのは、将来創造性を持って人生を創り出せる要素のある、未知の可能性を秘めた人なのかもしれませんね。
彼の人生の生き様がなまなましいほど伝わり、引き込まれていくエッセイをどうぞお読みください。
以下は、yahoo Japan ニュース、business insider japan 2017/4/16の記事、『アメリカの名門大学7校に合格した高校生のエッセイ、その全文』からの引用です。( この記事のすべては こちら から)
「当時、私は小学5年生だった。ボーイフレンドに殴られた母が病院に運ばれた、と父が教えてくれた。自分を散々な目に合わせた母が不幸な目にあったことに、自分が悲しんでいることに驚いたのを覚えている。
自分が8歳のとき、今の自分よりも若い10代の連中と家で大騒ぎをした母。何日もバーに泊まり込んだ挙句いなくなった母。酔いつぶれて意識をもうろうとさせながら父を絞め殺そうとして牢屋に入れられた母。父が単独親権を獲得してから1年以上、自分の人生に彼女は存在しなかった。彼女に悩まされる生活は終わって、全て忘れたつもりだった。それなのに、彼女の腫れた顔や腕のあざを想像すると、熱い涙が頬をつたった。
子供のころの自分は引っ込み思案で、母親の不在がそれに拍車をかけた。人から受け入れられることで、母親の存在を補い、不自然に不安を押し込めていた。6年生のとき、友達の気を引こうと努力したが、結局グループでいじめられた。7年生で学校を変わったときには、新しい人たちと関わるのが怖くなっていた。自分が、変えられない社会階層の底辺にいるように感じていた。次の年には活動範囲を広げられるようになったが、自分が他人にどう見られているのか、いつもびくびくしていた。
高校に入ってからも、自分の不安について考えることを止められず、母親の思い出について父と語り合った。そんなときには必ず、父のシャツに顔をうずめて泣いていた5年生のあの日を思い出した。あのときの無力感は忘れられないが、何度も思い返すうちに、違った捉え方をするようになった。
もし自分が、母親のような境遇で育っていたら ーー 。アルコール依存症で虐待を繰り返す父親と無関心な母親に育てられ、支配欲の強い男性たちと異常な関わりを続け、不公平感を紛らわすために深酒し、気づいたときには自分で自分を止められなくなっていた。自分があの母親だったならば、彼女とは少しは違った人生を送ることができていただろうか。そんなことは知る由もないが。
そのとき初めて、こう考えられるようになった。自分は母の靴を履いて歩くことはできない。誰も自分の靴を履いて歩くことはできない。人が自分をどう理解していようと、それは基本的には正確ではなく、他人の目に映る自分の姿まで心配する必要はないということだ。この気づきが自分に自由を与え、ようやく自分自身でいることが楽になった。
それからは、もっと心を開くようになった。高校生活では、共通の話題を探すのではなく、宇宙旅行や哲学など、自分がわくわくするような考えについて話すようになった。ほとんどステータスだけのためにやっていたアメリカンフットボールをやめ、純粋に走ることが好きだったので、クロスカントリー競技を始めた。そして、クラスメートの1日を少しでも明るくするため、毎朝、彼らが来るたびに教室のドアを開けてあいさつするようになった。生徒会での役割に打ち込み、ついには会長に選ばれた。そのときでさえ、その役職自体よりも、他の生徒を支援する方法として、その立場を利用できることに意味を感じていた。自分の中の友情関係は、認められるために頑張るものから、お互いを純粋に尊重し合うものに変わっていった。
あの夜、父の心臓の鼓動を聞きながら、怒りと悲しみでいっぱいだったことを思い出す。しかし、後になってみれば、母から学んだ教訓に感謝している。あの痛みは、恐れずに自分自身を表現することができる今の自分になるための、必要なステップだったと分かった。
(翻訳者:時田雅子)」
英語での原文は こちら
余談: セドナに一緒にいった幼馴染のkちゃんを含む友達たちと家飲みしたときに、またまた蜜蝋ワックスをアイロンで溶かして描くのをやってみました 今回は“静寂”とテーマを決めましたが、仕上がりを見るうちに私の中では“大天使ミカエル”に変わっていました
セドナの記事は こちら から