夫婦で漢方薬生活
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葛根湯の証の本当の意味
我が国日本の漢方医学の一番の特長は、
身体所見を見立てて、それに合った漢方の処方を選ぶところにあります。
処方の中の生薬の比率は厳密に決まっていて、人によって細かく生薬の比率を加減するようなことはあまりいたしません。
要するに、パッケージ化されていますので非常に分かりやすいです
だからこそ、我が国におきましては医療用漢方エキス製剤が可能となり広く普及をしました。
このように生薬の組み合わせ自体を重んじて行ってきましたのが日本の漢方医学ということになります。
日本漢方の原型は前回の記事の中で表を用いてご紹介させていただきました古代中国、後漢の書「傷寒論」にあります。
この書は「こういう症状であれば、この漢方薬がいい」という非常にシンプルな治療指示書となっています。
例えば、葛根湯なら、風邪の引き始めで悪寒と発熱はあるけれども汗がでない者に用いると書かれています。
これが、いわゆる、葛根湯の証ということになります。
証が決まればそれに合った処方が決まるという訳です。
それに対しまして、中医学は生薬単位で処方を行うのが特徴となります。
個人個人を細かく分類していき、見立てもひとりひとり細かくなります。
例えば、葛根湯が基本の処方になっていましても、生薬の分量や比率が異なりましたり、生薬自体を加減することがよくよくあります。
パッケージ化ではなく、個別化することとなり細かくなりますのが中医学です。
というわけで、日本の漢方医学と中医学は全く別物ということになります。
(このあたりは登録販売員試験におきましてもよく出題されています)
日本漢方の独自の考え方に「薬方の証」というものがあります。
日本の漢方医学は処方単位であるということで、方(治療)と証(診断)が合致しているという考え方です。
つまり、
処方単位のオーダーメイド治療で、今、我が国日本で健康保険適用の医療用漢方エキス製剤148種類ほどであります。
148通りの処方が多いか少ないかは別にしまして、処方に限りがあるということです。
処方の持つ特長をよく理解した上で、その処方が適応となる人はどのような人であるのかを見立てる必要があります
それにより、人の見立てとともにその漢方薬の性質も熟知していなければいけません
日本では、「葛根湯の証」という言い方をしますが、「葛根湯の効く人はこういう人」というように、「薬から人をみる」というやり方をこれまでに継続してきました。
これは日本漢方独特の考え方であります。
その漢方薬(エキス製剤)に人を照らし合わしていくという方法です。
そのため、中医学のように加減方がございません。
この漢方薬に効果があるのはいったいどのような人であるのかといったことを歴史の中で繰り返し繰り返し行われてきました。
これが日本の漢方医学の大きな特長ということになります
また、これにより漢方薬が医療用エキス製剤として日本国内に普及しました要因にもなっているのではないかと実感している次第です。