夫婦で漢方薬生活
よければ漢方妻と漢方夫の漢方記事を読んでくださると嬉しいです
葛根湯の証、
漢方理論 六病位より
インフルエンザ、新型コロナなどのウイルス性の感染症に非常に効き目のある漢方薬の代表としまして葛根湯、麻黄湯があります。
これらは体温を上げて体を温める働きがあり、それによりウイルスを体内から早く取り除く作用があります。
これを活かす手はないのではないかと考えるのが得策ではないでしょうか
我が国日本におきましては2回目のワクチン接種率がおおよそ80%程度と先進国の中でも群を抜いて上位に位置します
翌月にはいよいよ3回目の、いわゆるブースター接種が始まろうとしています
また、コロナウイルス治療薬の承認の話もちらほらと聞こえます。
これらと併用して上手く漢方薬を用いることができれば良い医療になるのではないかと考えています。
ゾクッときたらでお馴染みの葛根湯は風邪の初期に用いるお薬であります。
体がゾクゾクし始めたら直ぐに飲んでもいいお薬です。
とにかく、なにか体がおかしいと思ったら、直ぐに飲むのがコツです。
そのタイミングで飲むことにより体がポカポカと温まり、
経験上2、3回の服用で効果が現れます!
ここ数年間は風邪を引きましても葛根湯などの漢方薬以外は一切使用していません
そのくらい効果は絶大です。
また、2回のワクチン接種時も漢方薬を併用することにより副反応に上手く対応することができています
これがいわゆる、漢方医学の知恵と経験を利用して東西の医学を融合するということになります
おおよそ1800年前の経験と知恵を取り入れる価値が大いにあるのではないかと実感します
それでは、ここから漢方医学の考え方の一つであります、「傷寒論」六病位のご説明を簡単にいたします。
♦この表は重要です
上表の『傷寒論』における六病位では、急性の熱性疾患を上から順に6つのステージに分けて説明をして、
今現在どのステージにいるのかを決定し、治療戦略を展開していきます。
太陽病の「太」は「はじめ」を意味し、日の出をイメージします。いわゆる、症状の表れです。
そこから日が上るに従い、病状が増していきます。ちょうど太陽が真上に来て照りつけるようになりますと陽明病となります。
病気の勢いが衰えて太陽が下りてきますと、少陽病となります。
太陰病は夕暮れ時、夜のはじめを意味します。
少陰病は夜を意味し、闇の真っ只中(病み)を意味します。
そして最後の厥陰病(けつちんびょう)は体力が相当に衰えて死が近くなっていることを意味します。
この最後の6ステージ目は新型コロナウイルスによりお亡くなりになられました方々のステージに相当します。
深くご冥福をお祈りいたしております。
『傷寒論』に記されています急性熱性疾患は、腸チフスまたはその類似疾患と考えられています。
陽明病は高熱で便が全く出ない状態でありますので、
新型コロナウイルスなどの上気道感染症におきましては、
陽明病を経由せずに太陽病→少陽病→陰病(太陰、少陰、厥陰を区別しない)と進みますので、太陽病かもしくは少陽病かの鑑別が重要となります。
この鑑別を間違えることなく治療戦略を立てることができますと、かなりの確率でウイルスを早期に除去することが可能となり、身体に負担をかけることなく自然治癒力を用いて回復させることができるようになります
古代中国より鼻粘膜から新型コロナなどのウイルス(病邪)が進入するという考え方はなく、それらが体表に付着することにより体内に入り込むと考えられてきました。
太陽病での症状は陽病の始まりで表裏の「表」の症状が現れます。(上表参照)
インフルエンザや新型コロナウイルスなどの急性上気道疾患に用いられます葛根湯や麻黄湯は太陽病の漢方薬です。
麻黄湯は関節痛や筋肉痛など、「表」の症状より深くなると適応となります。さらにウイルス(病邪)が深く、
「半表半裏」という位置に入り込むと少陽病になります。
この「半表半裏」の意味は表と裏の間という意味で、外と繋がっています臓器のことを言います。
つまりは肺や胃のことです。
例えば、咳や痰が出たり、ムカつきなどが出たら、少陽病のステージに移行しているということです。
少陽病の漢方薬は小柴胡湯です。風邪をこじらせた場合に用いる漢方薬の代表です。
以前に、長男が風邪をこじらせた時に用いたことがありますが、本当にこれで回復に向かいましたことは忘れもしません。
これを期に、長男は漢方薬を信じるようになりました
病気をはね返す力があれば、徐々に回復していくのですが、病気が長引くと陰病へと入り込んでいきます
この陰病は主に全身倦怠感と冷えの症状が現れます。
参考文献 漢方医学「同病異治の哲学」渡辺賢治
最後にまとめます
新型コロナウイルス感染症などの急性の熱性の感染症におきましては「傷寒論」の六病位の考え方が非常に有効となります。
六病位は時間的経過が重要となり、症状から六病位を簡単に見分けることができます。
それに応じて漢方薬を処方するということです
代表例が葛根湯と麻黄湯で、共に麻黄が含有されています。
麻黄湯は麻黄の含有量が葛根湯に比べて多く、体力のある方の高熱(汗のかかない)や関節痛・筋肉痛によく効きます。
新型コロナウイルスに感染し、このような症状になられました方のファーストチョイスの漢方薬です
太陽病の漢方薬となります
漢方妻です。
漢方を勉強すると、六病位や傷寒論など言葉が難しく、非常にとっつきにくいものです
でも、漢方を勉強して理解してみると、漢方の歴史の深さや、今現代までに厳選されて伝えられてきたものが、私たちの役に立っていることに間違いないのです。
そう思うと、長い歴史を辿って今に至る漢方薬はすごい代物だと思います