小学校、2年生、3年生のわたしの担任で、Y先生がおられました。
先生は、怒ると怖いけれど、愛情たっぷりで、常に子どもたちのことを考えてくれていたように思います。

叱るときも、子どものほっぺたを叩くのですが、

自分の片手を子どものほっぺたに当てて、自分の手の甲を叩くのです。

音はしますが、痛みはありません。

直に叩かず、音を出すことで、罰を感じさせるようにしたのです。


 わたしが採用された時、Y先生は、教育委員会の教育長になられていました。

教え子のわたしが採用されたことを喜んでくださり、その新任研修会でこんな話をされたのです。


「わたしは、一日が終わり、布団に入った時、

出席番号の一番から名前をよんで、一日の事を思い出すのです。

そうしたら、残念ながら毎日4人から5人は、

一言も話していない子どもが見つかる。申し訳なくて謝るんです。

そして、次の日はその子達から声を掛けていくようにするんです。」と。


 一人ひとりを大切にするとよく言うけれど、具体的にどう行動しているのかがわからない。

本当の平等、一人を大切にするというのは、こういう心遣いなのでしょう。

 わたしは、現職の時、このY先生のことを常に思い出し、

今起きている問題・課題を、Y先生ならどうするだろうかと考えながら、

行動をするようになりました。
 そして、子どもの時から、Y先生が何度も話してくれていた
「しんどいことから先にするんや」は、頭から離れない言葉です。

  本当に尊敬している恩師でした。