これまでの人生で、長い間私の中に居たのは
人間関係をリセットし、切ってしまう自分。
何でも一人で背負いこみ、人を頼れない自分だった。
このスタイルが固まってしまったのは小学生の頃。
私はクラスメイトとトラブルを起こし過ぎで
友達をコントロールしようとしたことで
クラスで嫌われ者になり、悪質ないじめに繋がった。
そういう状態に私自身が耐えかね
自分から孤立する選択をしたのだ。
人から嫌われるなら
受け入れてくれないなら、私から離れればいい。
独りでいたらいい。
短絡的ではあるけれど、そのように考え
孤立を選んだ時の感覚を今でもはっきり覚えている。
それはまるで素晴らしいアイディアのように思え
苦悩から解放されたような気がした。
これでもう、私は誰にも苦しめられない。
これでもう、傷つかずに済む。嬉しかった。
なんでもっと早く気づかなかったんだろう。
こんな簡単なことが。
実際に、私はとても楽だった。
悪口を言われたって
女子のグループに入れなくたって関係ない。
私が独りでいる以上あなたたちも邪魔しないでね。
そんな感覚でいたし
そう言い聞かせることで
自分を保っていたように思う。
小学生の時点で既に家庭環境は悪く
幼い頃から親に心を開けないでいたし
友達との関係にもつまづいたため
学校生活も楽しくなかった。
あるのは、いじめられた記憶や
お友達に仲間外れにされた記憶や
集団で攻撃された記憶ばかりだ。
私の居場所はどこにもなかった。
いや違うかな。
私の居場所は、私の中だけにあった。
当時の辛く、過酷な環境を
いかに自分が傷つかずにしのげるか
自分が壊れずに過ごせるか
それだけが、私の全てだったんだ。
まだ子供だった私が選んだ道は
感情を捨てること
感覚を切り捨てること
他人に理解してもらう、わかってもらうことを諦めること
独りで何でも処理し、対処すること
理想の私を演じること
これが、生きていくために
子供だった私が選んだ生き方で
大人になっても
私を苦しめる生き方となった。
全てを閉ざして
私は読書に逃げた。
休み時間は必ず本を読んで過ごす。
家でも本を読んで過ごすようになった。
本の世界に入り込んでいれば
全てを忘れられたし、全てを遮断できた。
ゆかちゃんっておかしいね。
あいつまた一人でいるよ。
林ちゃんはなんで誰とも話さないの?
林は強いな。
色々な言葉を投げかけられたけど
何も響かなかった。
知っていたけれど、どうでもいい気がしたし
読書を盾に、気づかないフリをした。
私は、自分が人に好かれる存在ではない。
人に愛されたり、仲間に入れてもらえる存在ではない。
私といると人が不快になる。
存在してはいけない。
こんな信念ができあがっていて
とても強力だったからこそ、
早い段階で人との交流を諦めた節もある。
私には人と仲良くなる方法
お友達から好かれる方法がわからなかったから。
でも今こうして考えてみると
人との交流や温かいやりとりを諦めることは
私の未来や存在価値を捨てることに等しい。
あの苦しんでいた子供の頃の私は
既に自分を諦めていたからこそ
心のどこかで自分をないがしろにし
自分で自分を大事に出来なかったんだ。
自分をずっと守っていたはずなのに
自分にまったく愛着を持てていない。
自分の感情や感覚を捨て、全てを閉ざし
孤立する道を選ぶことに躊躇はなく
後々の人生に長く悪い影響を与えるとは
その当時は思いもしなかったけれど。
1度覚えてしまった楽という感覚はとても強く
心と頭に刻まれたから
それ以降、 人とうまくいかなくなった時は
自分から離れることを止められなくなった。
でも、今の私は、子供の頃の私とは違う。
私には自由に選ぶことができ
誰かのために身を削って頑張る必要はなく
また、誰かに好かれるために
違う誰かになる必要もないと心から思える。
長い間、私はずっとひとりぼっちだったけど
私は私を守ろうとしてきただけなのだ。
それはきっとあなたも同じ。
これまでの私が私を守ってくれたから
私はギリギリのところで救われ、壊れずにすんできた。
当時の過酷な状況下の中では
まともに感情や感覚を感じていたら
とてもじゃないけど、日々の生活を送れなかった。
まともに攻撃を受けていたら
学校に行けなくなっていたと思う。
家に居場所がなかった私には
学校に行きたくない。と弱音を吐けなかった。
弱音を吐いてはいけないと思っていたし
親に話したところでわかって貰える気もしなかった。
仕方がなかったんだ。
私が悪い訳ではない。
あの頃の私は、私なりに考えて
最善を尽くしてくれたから
むしろ感謝して、敬意を払うべきこと。
昔の私が必死に生きて命を繋いでくれたから
私はこうして生きていられる。それでいいんだよね。
あなたもそうだよね。
私はようやく、これまで続いてきた
長い人生の戦いを終えることができた。
あなたも、過去の重荷をおろして
長い戦いの幕引きをしていこう。
私たちに必要なのは
戦いではなく平穏で
人を責めたり、思う通りにするのではなく
許しながら、協力することなのだから。