婚姻その4は、婚姻解消、すなわち「別れ」です。ネガティブな響きですが、別れは必ずしも嫌なことではなく、新たな旅立ちとも言えます。

 

婚姻解消の理由としては離婚が真っ先に思い浮かびますが、それだけではありません。パートナーが亡くなったか、もしくは、失踪して失踪宣告を受けた時も終わりとなります。

 

離婚に関しては、パターンは概ね2つ。一つは協議離婚(きょうぎりこん)、もう一つは、家裁の調停か、調停を経たうえでの裁判上(さいばんじょう)離婚(りこん)です。

 

●離婚の要件

1)離婚の実質的な要件:

婚姻には実質的な要件として、「婚姻の意思の合致」が必要でしたね。同様に、離婚にも実質的な要件として、「離婚の意思の合致」が必要です。

この離婚の意思の意味については少し注意が必要です。設問を参照して感覚をつかんでくださいね。

設問1:離婚の意思(その1

 

X夫妻は債権者からの強制執行の脅威に曝されている。

そこで夫妻は強制執行を免れるために、形だけ離婚しようと考え、離婚届を提出した。有効な離婚といえるだろうか?

 

 

設問2:離婚の意思(その2

 

X夫妻は夫の生活保護と妻のパートを収入源に生活していたが、役所からは一定の収入があるので生活保護の受給額を調整すると言われた。

そこで夫妻は受給額の調整を免れるため、形だけ離婚しようと考え、離婚届を提出した。有効な離婚といえるだろうか?

 

 

解答1及び解答2

 

 いずれも離婚の意思が存在する有効な離婚です。

離婚の意思とは、気持ちの上での「別れてしまいたい」という意思だと思われがちです。

しかし、判例上は、「離婚届けを出したい」という意思のこととされます。「こんな人と別れてしまいたい」までは求められていないのですね。

 

 

2)離婚の形式的な要件:

実質的な要件に加え形式的な要件もあります。婚姻の時には婚姻届けが必要だったように、離婚の時には、離婚届が必要です。

なお、未成年の子がいる時は、誰が親権者となるかがとても重要です。従って、一方を親権者に定める必要があります。次に述べる協議離婚の時は話し合って決め、裁判上の離婚の時は裁判所が決めます。

ちなみに、親権者を定めないと離婚届は受理されません。

 

●協議離婚(民§763

読んで字の如く、協議して(お互いに話し合って)決めた離婚のことです。

HTさんはあんなこと言ってる。けど私はダメ。あなたとの記憶、セピア色になんてできっこない”
(ジェニファー/神奈川県相模原出身)

 

協議離婚は役所に離婚届を出すだけなので手続きは簡単です。しかし、財産分与や、場合によっては相手から受け取るべき慰謝料についても前もってきちんと合意しておく必要があるので注意してくださいね。

 

●裁判上の離婚(民§770①)

協議離婚が成立しない時でも、ダチョウ倶楽部みたいに、直ぐに「訴えてやる!」はなしです。いきなり裁判というわけには行きません。

裁判に先立っては、原則として、まずは家庭裁判所(=家裁)で、法律論や白黒決着を抜きにした話し合いの場、即ち、調停(ちょうてい)プロセスが持たれます(=調停前置主義(ちょうていぜんちしゅぎ)

具体的には、裁判に移る前に、家裁が任命する調停委員のおじさま、おばさま(有識者、経験者、専門家、人望ある人など)が間に入って時に雰囲気を和ませ、なだめ、説得したりして離婚の合意へと導くプロセスを経る必要があります

調停手続を行っても結局合意できず、それでも離婚したい時には、離婚したい方が裁判に訴えます。

 

離婚原因(りこんげんいん)民§770①)

裁判をするにはそれなりの理由(=離婚原因)が必要(Mustです。それが次の5つです。

 

(相手側に何らかの責任、すなわち有責性(ゆうせきせい)があること)

1)配偶者に不貞な行為があったとき(不貞行為(ふていこうい)

☞学びましたね、貞操義務違反の場合のことです。

2)配偶者から悪意で遺棄されたとき(悪意(あくい)遺棄(いき)

☞生活費を出さないなど、夫婦の間にある同居、協力、扶助の義務(民§752)をきちんとした理由もなしに果たさないことです。

 

(相手の有責性に関わらず、とにかく婚姻が破たんしていること)

3)配偶者の生死が3年以上明らかでないとき(生死不明

☞通常の失踪では7年を経ないと失踪宣告(法的に亡くなったとみなされること)がなさません。しかし、失踪宣告前でも離婚は可能となります。

4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

☞事実上破たんしていて、どう考えてもこれ以上結婚生活を続けるのは無理という状態が必要です。その判断には様々な事情が考慮されます。性格の不一致(ただ気が合わないだけでは不十分)、DVやハラスメント(言葉によるものも含む)、嫌がる性的行為の強要やセックスレス(健康上の理由を除く)、浪費やギャンブルなど多様です。

 

●次回は婚姻の最後のテーマとして「婚姻解消の効果」を見ておきましょうね。

 

“私みたいな新妻だったら離婚してセピア色の記憶になんてできっこないでしょラブラブ
(相当な自信家の由香(ゆか)ちゃん/東北某県出身)

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