週末に相応しく、根抵当権も最終段階です。今回は、「根抵当権の処分」を見ておきましょうね。
”終わりたいけど、終わらせたくない”アンビヴァレントなミーちゃん(宮城県出身)
根抵当権の処分は、かなり複雑で時間を要するため、宅建士受験の方の場合には、テキストや条文にざっと目を通す程度で良いと思います(わずか1,2問出題される可能性のテーマにあまり時間を割くより、もっと簡単に得点できる項目を優先し確実に押さえる方が得策なので)。
根抵当権の処分の主なものを以下4つ挙げましょう(注)。ところで、2)~4)のいわゆる「譲渡系の処分」は、被担保債権とは切り離し、「極度額の枠(一定の範囲の債権なら繰り返し発生・消滅する債権を担保しようという枠)」という権利を売る(譲渡する)ものです。これができるのは、ひとえに根抵当権には、付従性(被担保債権と運命を共にするという担保物権に共通する性格)がないからです。
(注)なお、根抵当権の「確定後」は(普通の)抵当権のような性格を帯びるので、(普通の)抵当権の処分に見られたような処分が可能になります。
「譲渡系の処分」の特徴の一つは、処分をするに際して「ある人」の承諾を要するという点です。譲渡系処分で根抵当権が別の人の手に渡りますが、そのことがとても心配な人がいますよね。誰でしょうか。
そう、根抵当権を設定した人です。「私のマンションに設定した根抵当権、今までのXさんじゃなくて今度はZさんの手に移るんですか?手厳しくされちゃうのかな?」などと考えたりしますよね。だからこそ「譲渡系処分」では根抵当権設定者の承諾が必要で効力発生要件となります。
1)転根抵当権:根抵当権者が、その根抵当権を他の債権の担保に利用すること。
2)根抵当権の全部譲渡:根抵当権者が根抵当権を被担保債権と切り離して譲渡すること。
3)根抵当権の分割譲渡:根抵当権者が根抵当権を被担保債権と切り離し、2個の根抵当権に分割して、その1つを譲渡すること。
4)根抵当権の一部譲渡:根抵当権者が根抵当権を被担保債権と切り離し、その一部を譲渡すること。
それぞれに、①誰と誰が処分の当事者になるのか、②どの段階なら処分ができるのか(確定の前か後か)、③根抵当設定者の承諾が必要か、④利害関係者の承諾が必要か、⑤効果に特徴があります。表形式にまとめておきましょうね。転根抵当権の扱いがそれ以外の3つ(譲渡系処分)と若干異なる点に注意してください。
処分の |
① 誰が |
② いつ |
③ 設定者の承諾 |
④ 利害関係人の承諾 |
⑤ 効果など |
関連条文 |
転根抵当権 |
転根抵当権設定者と転根抵当権者
|
確定の前後を問わない |
不用 |
不用 |
原根抵当権と転根抵当権とが重複 |
民§398の11 |
全部譲渡
|
根抵当権者と譲受人
|
確定前 |
必要 |
不用 |
譲受人が枠を単独支配 |
民§398の12① |
分割譲渡
|
根抵当権者と譲受人 |
確定前 |
必要 |
必要(転抵当権者等その根抵当権を目的とする権利を持つ者 |
譲受人が分割された枠を単独支配 |
民§398の12② |
一部譲渡
|
根抵当権者と譲受人
|
確定前 |
必要 |
不用 |
譲渡人と譲受人の共有 |
民§398の13 |
●次回は、根抵当権の最終テーマ、共同根抵当権などです。
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