今回は、特別な不法行為の2番目、使用者責任(しようしゃせきにん)を見てみます。誰かに雇われたり、雇ったりしている方には特に関係の深い、重要なテーマですよね。

※今、皆さんは、下の図の2番目を学習しているところです。

使用者責任(しようしゃせきにん)

説明は下の事例を通じてお店(仙台市国分町のナイトクラブHead&Tail)の子とお客さんに任せたいと思います。その間、Head&Tail係長の方は一服です。

P子/東京都台東区御徒町出身

P子ちゃんは、お嫁さんにしたいお店の子、ランキングNo1

事例:社員が仕事中民家の塀を壊して

 

常連のXさんが日焼けした青年実業家風の男性Kさんをお連れして来店。Xさんの設計会社のクライアントらしい。早速、P子ちゃんがお相手です。

 

K氏:いやあ、ほんと参ったよ。営業のS君、結構田舎まで交渉に行った夜中の帰り道、民家にぶつかってブロック塀を壊しちゃってね。

 

P子:運転していた方、S君、大丈夫だったんですか?

 

K氏:うん、奴は大丈夫なんだけど。結構派手に塀を崩しちゃって、家主の爺さんが凄い剣幕なんだ。Sが言うには暗闇からお婆さんが凄く恐ろしい顔で飛び出してきて。それ避けようとしてハンドル切った途端に塀にドーン。

 

P子:夜中に突然凄い形相のお婆さんって驚きますよね。

 

K氏:そのお婆さん、家主の奥さんだったの。夫婦喧嘩の最中だったんだって。何でも、婆ちゃん道路はさんだ向かいの倉庫から噴霧器持ち出して、今にも旦那にぶちまいてやるところだったらしいよ。正直、こっちはいい迷惑だよね。

 

P子:どうなさるのかしら、壊した塀?

 

K氏:家主は「あんたんとこ社員がやったんだからあんたが責任もって修理の代全払え」の一点張り。でも、まずはちゃんと法律的に整理してみないとね。

 

Xさん:P子ちゃん、それならあの子、ほら、沙姫(さき)ちゃん、呼んできてくれない?

 

P子:いるかどうか、ちょっと見て来ますね。

P子、バックオフィスにいた沙姫(さき)を連れてくる)

 

沙姫(さき):あっ、初めまして、沙姫(さき)です。P子さんから簡単にお聞きしました。その場合、Kさんの会社が塀の修理代出さないとダメです。会社は民法715条、七、一、五、あ、いこS君ってわけですね。

 

K氏:???。で、Sはどうなるの?


沙姫(さき)S君にも会社とは別に損害賠償の責任が出てきます。だから会社とS君は両方とも、その奥さんに農薬噴射されそうになったご主人に連帯して損賠賠償する責任が出てきます。この時ですけど、仮にこのおずんつぁん*S君に同情して「あんたは若いから許す」って言っても、会社はしっかり損害賠償しなければなりませんね。*おずんつぁん=東北弁でおじいさんの意。

 

K氏:俺はなーんも悪いことしてなくても?

 

沙姫(さき):はい。でも、もしも会社がS君を、適切にこの仕事につけて、しかも、適切に監督してることを証明できれば会社も許してもらえます・・・。

 

K氏:俺は、そんな主張さ、しねえけどね。Sの責任は俺の責任だっちゃ。

 

P子:まあ、Kさん、さすがは仙台っ子。すっきりしたところで、KさんもXさんも、ほら乾杯!

 

 

沙姫ちゃん、親父ギャグかましたり、意外と余裕が出て来たみたいですね。

ところでこの使用者責任も、前回見た「中間責任(ちゅうかんせきにん)」、すなわち、100%無過失責任とも100%過失責任とも言えない責任です。

使用者は「自分は従業員の選任や監督にミスがなかった」ことを立証できれば、不法行為に基づく損害賠償責任を免れます。ただし、証明する責任(=立証責任)は使用者自身にあります。

分かり易く言えば、「社長さん、とにかく責任はありますよ。でも、ミスがなかったこと、証明できれば責任を追及しませんよ」ということです。民法は、そうやって、被害者の保護と使用者の責任が重くなり過ぎないよう、両方の立場を配慮しているのですね。流石(さすが)です。

 

●次回は、特別な不法行為の三つ目、工作物責任を見ましょう、と言いたいところですが1回だけ、使用者責任の補足をさせてくださいね。試験対策に加え実社会でも重要な話ですねでね。

 

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