来ましたよ、週末が。少しゆったり学習しましょうね。

 

今回も、不当利得の法的効果の続きを見ていきましょう。

 

おや、また常連客のYさんがお店に顔を見せました。席に着くなりビール半分ぐらい一気にあおってます。Yさんのタダならぬ雰囲気に気付いたP子ちゃん、すかさず隣に腰掛けます。

 

P子ちゃん

 

 

Pどうかなさったの?何かあったの?

 

Y実はね、麗奈(れな)ママから聞いてると思うけど、兄貴、婚約解消したんだ。それで結納金300万円返す返さないでもめてるんだよ。

 

Pまあ!でもお相手の方、ご令嬢だったんでしょ。

 

Yああ、だけどその人さあ、コロナの直前に親友と独身最後の海外旅行、ラスベガスのカジノでその結納金使っちゃたんだってさ。

 

Pねえ、その人本当にご令嬢なの?行かないでしょ、普通令嬢がカジノなんて。でもお嬢様だったら親にお金借りてでも返すべきじゃないかしら。

 

Y親の事業が左前(ひだりまえ)なんだって。俺思うんだけど、兄貴は騙されてたんじゃないかな。だって、携帯も通じないなんてあり得ないだろう。

 

Pそれだけその人、魅力的だったってことよね。でもわかったわ。お金取り返す方法、経営アシスタントの沙姫ちゃんに聞いとくわね。

 

 

 

Y氏の兄の元婚約者。深窓の令嬢か、究極の詐欺師か?

 

 

Viva Las Vegas!

 

婚約者(受益者)が善意か悪意かで結論が変わります。善意*、この事例の場合で婚約者がまさか破談になるとは知らなかった時には、返還を求める時点で現に存在する利益(=現存(げんぞん)利益(りえき))しか返還の義務はありません(民§703

 

 

現存(げんぞん)利益(りえき)

 

現時点で存在する利益。例えば300万円の財産を持っていても単純に浪費してしまえば現存利益はその分少なくなります。遊びに使ったお金は煙のように消えてしまった、だから現存利益は300万円マイナス浪費した金額と考えるのです。

 

これと違い、そのお金を借金の返済に充てたり、生活費に充てた場合はどうでしょう。使ったお金は単純に消えてしまったわけでなく、自分のお金を使わずに済んだという意味で現存利益はもとのまま残っていると考えます。だから現存利益は300万円です。

 

 ちょっと、使ったもん勝ちみたいな気もしますけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、悪意*、この事例の場合で婚約者が旅行当時、既に破談になることを知っていた時には、利益に利息を付けた上で返さねばなりません。さらにまた、損害があればそれを賠償する責任もあります。

(民§704

 

※以前にお話ししたことがありますが、善意とか悪意とかは、道徳的な意味の善悪でなく、事実を知らない(イノセント)のが善意、知っているのが悪意なの注意してくださいね。

 

ちなみに、これまでの事例は返すべきものがお金です。しかし仮にお金でなく、例えば婚約指輪のような「物」であれば、その物を返さねばなりません。しかし、物が返せない状況にあれば、物の代わりにお金を返すこともOKです。ただし、その金額には利息を付けて返す必要があります。

 

●次回、少し特殊な不当利得も見ておきましょうね。

 

“明日も会えっぺ、お店で。あたし待ってからドキドキ”(バイトのイブちゃん)

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