拙ブログを訪ねて頂いた皆様、時候のご挨拶に代え、一句詠ませて頂きます。
雨垂りを 賑わす虫の 協奏曲 (H&T主任)
※「雨垂り」は「あまだり(雨のしずくが落ちる軒先)」、「協奏曲」は「コンチェルト」と読んでくださいね。
鈴虫(学名: Meloimorpha japonicus) 古典ではマツムシ(下)と混同が見られます。
松虫(学名:Xenogryllus marmoratus)
先日の夜半、ふと目覚めると、まだ降りやまぬ雨。明瞭で驚くほど音量のある秋の虫が、リズミカルに降り続く雨音と競い合う様は、まるで一編のコンチェルト(協奏曲)。
そんな自然の奏(かなで)に気付く余裕、いつも忘れずにいたい、そう思います。
さて、皆様にとって九月は、どんな月ですか?
あんなにはしゃいだ夏の日は過ぎ去り、今は宴の後のような寂しさを感じておられる方も多いはず。
アメリカでは、この頃の気持ちを“September blue”(セッテンバー・ブルー)、9月の憂鬱と表現したりしますね。
この言葉に興味が湧いたので、洋楽の中に関連の楽曲を探しました。
すると、もう100年近く前のジャズ・スタンダードに、この曲、“September in the Rain”を見つけました。
早速、サラ・ヴォーンのバージョンを基に歌詞を調査。しかし、曲調が決して陰鬱でなく、果たして本当に切ない曲なのか、最初は自信が持てませんでした。
サラ・ヴォーン(Sarah Lois Vaughan/1924 - 1990)は米国ニュージャージー出身の黒人ジャズ・シンガー。エラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデーと並ぶ三大女性ジャズ・ヴォーカリストの一人。“Sassy”は彼女のニック・ネーム(「大胆、生意気、だけど魅力的」といった意)。
仕方なく、同じ曲のフランク・シナトラ版を聴くことに。
すると、疑念は、即解消。9月の憂鬱とは少しニュアンスが違いますが、やはり切なく、やるせない歌でした。
実はサラ・ヴォーン、シナトラ版の終盤にある「That September that brought the pain(私を辛くさせたあの九月)」の一句をあえて省略していたのでした。
F.シナトラ(1915-1998、米)彼の中折れ帽は、いつ見てもダンディー。H&Tはその風貌と相まってポップス風なジャズに惹かれます。
Sarah Vaughan (サラ・ヴォーン)
September in the Rain(1937)
作詞:Al Dubin 作曲:Harry Warren
※拙訳は1958年の収録のサラ・ヴォーン版に沿っています。原詞と若干異なるかも知れませんが、ご容赦くださいね。
[Verse 1]
The leaves of brown came tumbling down
茶色い木の葉が舞い落ちる
Remember that September in the rain
あの雨の九月を思い出す
The Sun went out just like a dying ember
陽は残り火のように色褪せてしまった
That September in the rain
あの雨の九月
[Chorus]
To every word of love I heard you whisper
あなたの愛の囁き、その一言一言にあわせ
The raindrops seemed to play our sweet refrain
雨だれが二人に優しいリフレインを奏でていた
Though spring is here to me it's still September
もう春だというのに、私にはまだ九月のまま
That September in the rain
(ずっと)あの雨の九月のまま
[Chorus]
To every word of love I heard you whisper
あなたの愛の囁き、その一言一言にあわせ
The raindrops seemed to play our sweet refrain
雨だれが二人に優しいリフレインを奏でていた
Though spring is here to me it's still September
もう春だというのに、私にはまだ九月のまま
That September in the rain
(ずっと)あの雨の九月のままなの
[Outro]
September in the rain
雨の九月のまま
September in the rain
ずっと雨の九月のまま
That September in the rain
(ずっと)あの雨の九月のままなのよ
☟以下囲みは英語の学習、スルーしても大丈夫です
スタンダード・ジャズに学ぶ英語レッスン
(英検レベル:3級)
○To every word of love I heard you whisper
あなたの愛の囁き、その一言一言にあわせ
前置詞toは「~に合わせて」です。例えば、Dance “to” the musicなら、「音楽に合わせて踊る」ちなみに、Dance “with” the musicは一般的にはNGです(特殊な意味が出てきますが英検3級では無視して大丈夫です)。
○to me it is still September
私はまだ九月のまま
前置詞toは「~からすると」です。例えば、To me he is a wonderful man.なら「彼、私には素晴らしい男性に見える(感じられる)わ」
もし仮にtoに代えてforならどうでしょう。似たようなものですが、より一層「~のためには」の意味が強まります。例えば、For me he is a wonderful man.なら「彼、私にとっては素晴らしい男性よ」
や~、前置詞ってホント、奥が深いですよね。
これ以外にも前置詞の使い分け一つで意味が変わることは多々あります。ですが、奥が深過ぎるので、また別の機会にしましょうね((^_-)-☆)。
ところでこの曲、何箇所か韻(いん/rhyme)を踏んでます。お判りでしょうか?
さすが、そう、下線部ですね、rememberとSeptemberとemberそして、raindropsとrefrain。名曲と言われる楽曲は、しばしばこういう言葉遊びもちゃんと用意してくれてますね。
編集後記:
「9月と切なさ」をキーワードにネット上を検索すると、映画『九月の恋と出会うまで』(2019)がヒット。
川口春奈さんと高橋一生さんのダブル主演です。この組み合わせだけでも興味を引かれます。
是非今度鑑賞しようと思いますが、その主題歌、「Koi」とそのMVにも心を奪われました。特にシニアの男性が「在りし日?」の恋人を追憶するシーン、目頭が熱くなります。
以下、皆様、「Koi」を聴きつつ、H&Tの姿に、あの頃の貴女ご自身、あるいは、彼女さんをそっと重ね合わせ、大切な日々を思い出してくださいね。
(だいぶ役不足かと思いますが、ごめんなさいね)
androp 「Koi」(2019)
作詞・作曲:内澤崇仁
♪君が遠くに行ってしまって
もう会えないとわかっていたって
僕は探すよ 君の姿を
“先輩、ラスト5周、ファイトっ!”
(昭和○○年9月)
♪物語が僕を拒んだって 誰かが運命を定めたって
会いに行くよ どこにだって 探し続けるよ
出会えた頃とまた同じように 恋するよ
恋するよ
“やったね、先輩!!!”
(平成○○年9月)
おそまつでございました
“脚、脚が、痛いっちゃ“(足つりたるH&T主任近影)
季節が涼しく、健康づくりに相応しい季節。でも、準備運動はしっかりなさって!でないとH&Tみたいになっちゃいますからね(By H&T主任)
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