観て来ました。

『スター・ウォーズ エピソード8/最後のジェダイ』字幕版。

(脚本・監督:ライアン・ジョンソン、製作総指揮:J.J.エイブラムスほか)

 

『フォースの覚醒』からもう2年経ってるんですね。長いような短いような。

今回も地上波放送で前作を復習してから観に行きました。

前作公開時の感想記事はこちら

 

以下感想です。ネタバレにご注意ください。

 

 

 

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エピソード8。

私の中で相反する思いがぶつかり合っています。
面白い いや面白くない 面白い、みたいな。
たぶん「面白い」よりも「つらい」が先に立ってしまうからだと思います。

幾重にも展開する人間ドラマ、宇宙を駆ける艦隊にライトセーバー剣戟、フォースとは何か。
どれも面白いんだけど、次々死んでいくレジスタンスを見るのも、ジェダイの重みに耐えかねて世捨て人になったルークを見るのも、仲間を見送るばかりのレイアを見るのもつらい。
つらそうな表情のレイアを見るのが本当につらい。
慣れ親しんだものが滅んでいく姿を見るのは理屈じゃなく悲しい。

辛さ悲しさに耐えた後、フラストレーションを吹き飛ばすだけの逆転劇が待っているのかと言えばそうでもない。
主人公陣営はひたすら逃げて、敵に一矢報いはしても戦いを終わらせることは出来ず、からくも逃げ延びただけ。
ただ確かな希望を残して物語は終わる。


……シリーズとしての評価とかは置いといて、非常にショッキングな展開でした。
ハックス将軍といいカイロ・レンといい、ファースト・オーダー煽り耐性なさすぎィ!とか笑ってる場合じゃなかった。
序盤の戦闘シーンなんて、なんだか大戦末期の日本軍を連想してキツかった。

愉快で痛快な展開を期待してるとダメージを負うこと請け合いです。



しかし今作が好きか嫌いかと言えば、好きなんですよ。
徹底して「継承」が描かれているところが。

ルークやレイアたち旧世代から、レイやフィン、ポーたち新世代へ。

さらにはカント・バイトで働く少年たちへ。
引き渡すこと、受け継ぐことが中核の映画だと思えて、そこにすごく感動しました。

ライトセイバーを差し出す、ビーコンを受け取る、指と指が触れ合う。
手から手へ何かを渡すシーンが印象的でした。


愛着のあるキャラクターと別れるのはさびしいです。
でも、希望の火花が繋がっていく様を見届けることができて嬉しくもあります。
ストーリー上の継承がスター・ウォーズというシリーズ自体の継承に重なるようにも思えて、余計にグッときました。

特にラストをカント・バイトの少年で〆たところが良かったです。
最後の最後で報われたって感じがする。

そして、やっぱりミレニアム・ファルコンを受け継ぐのはレイなんだなあ。



レイ。美しいなあ。
つーか彼女に限らずレイアやホルド提督も、やたらと女性陣の横顔が美しかった気がします。

エピソード7で見せた凛々しさはそのままに、今作では導きを欲していたレイ。
未熟さや揺らぎを経て芯の強いところを見せてくれて、ますます好きになりました。

ルークに草でぺシぺシされてるところ和んだ。
バランスとか哲学的なことはよくわかりません。

レイがルークの娘じゃなかったのは驚きです。
完全ミスリードやないかい。
でもそれでいいかな。血統よりは個人の資質を重んじる派なので。


それに比べてカイロ・レンのバカ! 意気地なし! 拗らせた思春期!
もう後戻りできんよ。

完璧な悪として正義に倒されないと許されないところまで来ちゃったよ。
父は殺せても母は殺せなかったり、ルークの行動が引き金だったり、迷いを抱えた人間らしい人物ではあるものの、キャラクターとして愛するには彼はあまりにたくさんの人を殺しすぎた。


唐突な半裸には笑ったけども。
スノークさんもうちょっとプライバシーに配慮して心繋いでやって。



フィンは希望を体現してると思います。マジで光の資質あるよキミ。
鉱山の惑星で扉が破られようとしている時のセリフに泣きそうになりました。
新世代にフィンがいて良かったとつくづく思いました。

フィンとローズの行動も好きです。
ローズの言う通りちゃんと「意味はあった」から。


映像的にも一番スカッとするのがカジノぶっ壊して駆け抜けるシーンだし。
いろんな造形の人たちが入り交じる異星の、貴重なワクワクシーンでもある。
フィンが「ここ最高だな」って言ってたの、ずっとストームトルーパーだったから娯楽を知らないんだとわかって切なくなりました。



カント・バイトの、あのハイエナと有蹄類を合わせたような生き物可愛くないですか。
ファジアー。パンフレットで確認した。
ファジアーで駆け抜けるところがホント一番スッとする(笑)

あとカジノに集まってる人たち。
パフォーマンス・アーティスト姉妹とか奇想天外な物語を収集する談話家とか私立探偵とか、出番が一瞬なのがもったいない。
このあたりもっと掘り下げたら楽しくなりそうなのに。

氷ギツネ(ヴァルプテックス)も可愛い。
もっとクリーチャー的なキャラ出していいのよ……せっかくの遠い銀河の物語なんだから、メインキャラが皆人間ではつまらん。
BB-8は頑張っていましたが、チューバッカもR2-D2もC-3POも今回影が薄めで、私としてはそこが少しばかり不満です。


その他視覚的に面白かったのは、ルークの島と鉱山の惑星。
赤い塩の線がなんとも異世界チック。
別の惑星として登場するのに、撮影地はどこも地球なんだな。
おかしいと言うか神秘的と言うか。不思議な感じ。



ところで、DJの登場には「おっ」と思いました。
今までハッキリと白と黒/光と闇の対立を描いてきたSWで、白でも黒でもあるキャラを出してきたのは意外です。
レイやカイロ・レンが暗黒面と光明面の間で葛藤するのも現代的な気がします。

ローズが整備士なのも意外。
旧作ではその他大勢であったであろう人に、あえて焦点を当てているのでしょうか。
前作でストームトルーパーの“中の人”であるフィンが出てきた時も、同じように思いましたね。


エピソード7も8も、基本的には旧作の歴史が繰り返されています。
8は特に師弟の対立。カイロ・レンとルークがオビ=ワンとアナキンを思い出させて、「ああ、このシチュエーションあの時と同じだ」ってシーンが多くてまたつらかった。

逆に旧作からの脱却を図るような演出も目につきました。

スノークさんに「その仮面ダッセwはよ外せw」と言われ、仮面を外したばかりか叩き壊すカイロ・レン君とかさ。
ベイダー卿リスペクトの仮面をねえ。
挑発的と言うか、攻めてるなと思いました。
他にも旧作を茶化す?ようなセリフがあった気がします。

過去を繰り返しながら定型を崩す。
このへんも継承の一形態なのかなと感じ入る部分です。



好きだけど、観ていて精神的にグロッキーになる映画でした。

ルーク、いつか霊体で再登場してくれるかな……。


アレだ、『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』でも読んで心のバランスを取り戻そう。