大好きなシリーズものファンタジー小説。

テリー・プラチェットの「ディスクワールド」


英国ではとても人気のある作品ですが、日本ではマイナー。

翻訳もなかなか出ません。

でも面白いんだなあこれが。

 

その名の通り、〈ディスクワールド〉という世界が舞台になっています。
〈ディスクワールド〉は直径2万マイルの平たくまん丸い円盤状の世界。
ア・テゥイーンと呼ばれる巨大な宇宙亀の背中に乗った4頭の象が世界を支えています。


住人はもちろん人間ですが、魔法があり、神々や妖精、怪物だっているんです。
魔道士は「見えざる大学」で魔法を学び、魔女はハーブを育てたり産婆の仕事をしたりして生活しています。

 

作中で描かれるのは、こうした世界に生きる人々と、彼らが巻き起こす騒動の数々。
一冊一冊が独立した物語になっており、毎回主人公が違います。

ただし、死神や魔女グラニー、落ちこぼれ魔術師リンスウインドなどシリーズを通して登場するキャラクターもいます。


●今のところ出版されている邦訳

・『ディスクワールド騒動記』(訳:安田均/角川書店)
・『死神の館』 (訳:久賀宣人/三友社出版)

・『魔道士エスカリナ』(同上)

・『三人の魔女』(同上)
・『ピラミッド』(訳:久賀宣人/鳥影社)

・『異端審問』(同上)

・『刈り入れ』(同上)

・ 『ソウル・ミュージック』(同上)
・『天才ネコモーリスとその仲間たち』(訳:富永星/あすなろ書房)※児童書

・ 『魔女になりたいティファニーと奇妙な仲間たち』(同上)※児童書

 

●追記

・『見習い魔女ティファニーと懲りない仲間たち』(訳:富永星/あすなろ書房)

 2010年刊行、『魔女になりたい~』の続編。

・『伝説は永遠に―ファンタジイの殿堂〈3〉』 (早川書房)

 2000年刊行、短編「海は小魚でいっぱい」収録。

 

残念なことにほとんどが絶版。

図書館には置いてあると思いますので探してみてください。

 

 

 

以下、『死神の館』についての感想です。

 

 


少年モルトはあまりにも不器用なため、家業である農業をあきらめ奉公に出ることに。
現れた雇い主は何と、死神。モルトは死神の館へと連れて行かれ、晴れて彼の弟子となった。ある日仕事を任されたモルトだったが、暗殺され死ぬはずだった王女の命を救ってしまう。
ディスクワールドは大混乱、モルト自身も次第に死神化し始めて……。

 


軽すぎず重すぎず、ジョークを交えた文章が好みです。
登場人物の掛け合いや台詞回しも軽妙。ストーリーは波瀾に満ちていて、こじれた展開がどう収束されるのかも楽しみのひとつ。


私が惹かれたのは世界観とキャラクター。
亀の上に乗ってる世界と言うだけで充分ユニークなんですが、決して「何でもあり」ではないのが良いんです。


魔道士は学校に通い近所付き合いを大切にしなければならないし、死ぬはずだった者が生きていれば歴史の自己修正が始まり「現実の壁」が押し寄せてきます。
一見ハチャメチャなのに、変なところで自然の節理に従うから余計におかしい。
いい感じにスットボケてるんですよ。

 

そして〈死神〉のキャラが魅力的!
彼は「黒いマントをまとった白骨」という一般的死神像と同じ姿をしています。
人間一人一人の寿命を示す人生時計&人生をリアルタイムで書き綴る伝記を保有しています。

死者の魂をあの世へいざなうことが仕事です。


そんな死神さん、ハミングしたりニッコリしたりウインクした(ように見えた)りと、結構お茶目。
大鎌を振るい、淡々と仕事をこなしたかと思えば猫好きな面もあったりして。

鰻の蒲焼き屋から貝の皿片手に現れて、「酢が利いて旨いぞ」なんて言う。

素敵だ。


加えて『指輪物語』など、有名なファンタジー作品のパロディも見受けられます。
本作以外にも『三人の魔女』は「マクベス」を下敷きにしているし、『天才ネコモーリスとその仲間たち』の土台は「ハーメルンの笛吹き男」。

元ネタを探しつつ読むのも楽しいシリーズです。