霜月読了。 | ヘッドレス主義日記 ~あたま、かるく~

ヘッドレス主義日記 ~あたま、かるく~

当方四弦。フレットあり、ヘッド無し。
場合によって、フレット無し。

毎度です。


先月は10冊。
帰省した時とかに結構読んだからね。


「出雲世界紀行 生きているアジア、神々の祝祭」野村進著
「出雲大社をはじめとする出雲地域の神社」「境港の水木しげるロード」「岩見神楽」を軸としたルポもの。
あくまでも筆者の視点で描かれてるし、具体的な結論に帰着してる訳ではないので、興味ない人には退屈やろうな。
自分は山口県出身とはいえ実家は島根県との県境だし、そもそも生活圏は島根なので、割と面白く読んだけどね。
出雲大社だけでなく、他の神社にも行ってみたくなったし、所謂日本神話もきちんと読んでみたくなりました。


「藝人春秋 3」水道橋博士著
シリーズ三作目。
相変わらず、その視点は鋭く且つ面白いので、基本的には満足。
求道者の厳しさや素晴らしさも垣間見れてちょっとした感動も。
ただ、元々所謂芸能人の豪快なエピソードや裏話を主とする評伝的な本だったけど、裏話の更にその裏の話が増えてきた印象。
シリーズものではよくある展開だけど…個人的にはほどほどにしといて欲しいかな。
でも、次が出たらまた読むんやろな。多分。


「母ちゃんのフラフープ」田村淳著
2020年に母親を癌で亡くされたロンブー淳によるドキュメンタリー。
淳や家族の物語でありつつ、メインのテーマは終活。
世代的にも近いので共感しながら読み、そしてめっちゃ泣いた(苦笑)
「死」と向き合い実感することで、その恐怖や悲しみを少しは和らげることが出来るのかな?なんて思ったり。
いい本でした。お薦め。それなりの年代の方は特に、ね。


「鳥と雲と薬草袋 / 風と双眼鏡、膝掛け毛布」梨木香歩著
地名に関するエッセイをまとめたもの。
地名には、その土地が持つ記憶や風土が隠されているが、筆者のエピソードを挟みつつ、それらを解き明かしていく様子が興味深い。
勿論、それらが全て正解かどうかは分からないけど。
梨木さんの文章は、決して軽妙ではないけど、心地よい硬さがあって自分には読み易い。
独特な文体だなぁと毎回思う。


「私の夢まで、会いに来てくれた」金菱清編
東北学院大学のゼミ生が「被災者遺族が見る亡き人の夢」を調査した記録集。
たかが夢、されど夢、だなぁ。
「無意識の願望が現れたもの」みたいに科学的?に解明することも出来るだろうけど、「亡き人の想い」が夢に現れることもあるだろうなと思うし、そうであって欲しい。
それから、相変わらず、この手の本を読むにはちょっとした後ろめたさみたいなもんが付きまとう。
考えすぎやろけど(苦笑)


「天国はまだ遠く」瀬尾まいこ著
最近気になってる作家さん。
人生に絶望して自殺を試みるが、見知らぬ土地での地元の人達との触れあいの中で…というよくあるストーリー(苦笑)
割とさらっと描いてあるのですんなりと読める。人物描写も距離を取りつつもしっかりと描けてる印象。
ストーリーに押し付けがましい印象がないのがいい。ふわっとしてる感じ。
映画化されてるのは気になるが、キャスト観るとちょっと怖い…(笑)


「ソラシド」吉田篤弘著
1986年に存在した「ソラシド」という女性デュオの音楽を探る、という物語。
おそらく好きやろなぁと期待して読んだけど…ストーリー自体は好みだが、文体がちょっと軽すぎたかも。
不思議な世界観や詩的な表現には途中から慣れたけどね。
テンポ感は良かったんだけどな。もうちょい硬い文体だとハマったかも。


「歴史の中で語られてこなかったこと」網野善彦・宮田登著
民俗学者の対談を文章化したもの。
民俗というより、民俗学について語ってる部分が多い…
当時の民俗学会(?)の傾向や問題点等…正直思ってたんと違う内容でした。
何度も同じ論調出てくるから、そこを抑えて、もっと広げてくれてたらなぁ、と思わざるをえない…


「雲と風と 伝教大師最澄の生涯」永井路子著
平安初期に活躍した最澄を描いた小説。
かと思って読んだが、あまりにも「筆者の視点」が出てきて、小説というよりは評伝だな。
真実を追い求めるがあまり、ドラマがどんどん削り取られた印象だが、それ故最澄の人間臭さが浮かび上がった気がする。
歴史小説と思って手にしたので肩透かしくらったけど、これはこれで、という感想、かな。


「噛みあわない会話と、ある過去について」辻村深月著
辻村さんの短編集は二冊目、かな。
前回読んだヤツは家族がテーマの割と心温まる感じでしたが、これはまた違うね。
「人の心裏を鋭くあばく」と書いてる通り、ちょっと薄ら怖い感じもある。
藤子・F・不二雄先生の短編集を思い出したなぁ。怖いヤツ。
どの作品でもそうだけど、クセのあるキャラを描くのが巧いなぁと思う。
なかなか良かったです。お薦めはしないけど。






先月の新入荷。
ちょっと控えめ…?