Vol.721
早くも夏を思わせる陽気
木々は新緑から
鮮やかな若葉に
・フデリンドウ/筆竜胆 リンドウ科
リンドウの花は秋を思わせるが、春咲きは
小型のものが多い。周りの野草の葉が少ない
この時期、青紫色の花はよく目立つ。
花は数個つけ、花弁の先端が5裂、
日が差すと開き陰ると閉じる。
・タニギキョウ/谷桔梗 キキョウ科
毎年この時期に一度は出会いたい花のひとつ。
枯れた落ち葉の中にひっそりと咲く小さい花は
凛として美しい。5弁の花をつけ白色の中に
ほんのり淡い紫色の筋が入る。
・ヤマブキソウ/山吹草 ケシ科
沢沿いに自生し、鮮やかな黄色の花は端麗で
ひと際目立つ、和名は花がヤマブキに似て
いることに由来。
ヤマブキはバラ科の木本で花弁が5枚、本種は
草本で花弁が4枚。
・ナンブワチガイソウ/南部輪違草 ナデシコ科
林道の道端に他の野草と一緒に咲いていた、
花が小さく見落としてしまう。
花は5弁で先端がくぼみ、基部が細くすき間が目立つ。
葉は対生し、茎には長い毛が下向きに生える。
「ナンブ」は旧南部で岩手県。
・ツメクサ/爪草 ナデシコ科
花が小さく、葉も鳥の爪に例えるように小さくて
目だたない。庭や歩道脇に自生するが、これは道路の
コンクリート構造物とアスファルト路面との間に
咲いていた。つまりすき間植物。
よく見ると花は小さいが、白い5個の花弁やがくなどが
すっきりしている。
・タチイヌノフグリ/立犬の陰嚢 オオバコ科
公園や空き地、道端に自生し、細かく全体が毛深く、
花弁が5裂し青色の小さい花をつける。
細い茎は個々に立ち上がることが名の由来。
仲間のオオイヌノフグリの花は大きく紫色が強い。
・タニウツギ/谷空木 スイカズラ科
このところの陽気に誘われたのだろうか
初夏に花をつけるタニウツギが咲き出した。
花はピンク色のラッパ状で先端が5裂、
一斉に開花すると樹全体がピンク色に染まる。
ウツギは幹が中空に由来。
・ウワミズザクラ/上溝桜 バラ科
里山は若葉の季節、山路を歩くと樹全体が真っ白な
花に覆われるウワミズザクラに出会う。
花が白いので色が抜けない満開前後に出会えれば素
晴らしい。
花序は真っ白でブラシのような形が印象的。
・マルバアオダモ/丸葉青梣 モクセイ科
新緑の葉に覆われた樹全体がさらに
白い花に覆われて美しい。
葉を水に浸すと水が青色になることが名の由来、
野球のバット材としておなじみ。
「マルバ」は葉に鋸歯がなく全縁から
この名がついたという。
・ヤブデマリ/薮手毬 スイカズラ科
比較的湿り気が多い沢沿いに自生し、ガクアジサイに
似た花をつける。
花は中心部が両性花で実を結び、周りは装飾花
で実をつけない。花の特徴は装飾花の花弁が5枚、
そのうち1枚が極端に小さい。
仲間のオオカメノキは5枚とも同サイズ。
・ミツバウツギ/三葉空木 ミツバウツギ科
山地の沢沿いや道路沿いに自生する。
花がウツギに似て白い花をつけ、葉は3小葉、
幹は中空ではない。
花は筒型で白い穂状の花が垂れ下がって咲き、
花弁は水平には開かない。
スミレアラカルト
今回は⑨~⑪
⑨スミレ/菫 スミレ科
道路端や路地などに普通に見られる。
花は濃紫色が多いが変化があり、葉は長く
葉柄に翼がある。
スミレと言えばスミレ全体と本種を指す場合が
あり紛らわしいので学名ビオラ・マンジュリカの
マンジュリカ(満州産の)と呼ぶこともある。
⑩ニョイスミレ/如意菫 スミレ科
スミレの中で開花は後発組、道路脇や野原など
どこにでも見られ群生する。花は白で唇弁に紫色の
筋が入る、ともかく小さいので少数の場合は
見逃してしまう。
⑪タカオスミレ/高尾菫 スミレ科
ヒカゲスミレの品種で葉の表面が暗赤褐色の
もの、高尾山で見つかりその名がついた。
葉の色以外はヒカゲスミレと同じで真っ白な
花弁に赤紫色の筋が入る。