Vol.719
暖かい日々がつづき
夏を思わせる日も
春らんまん
里山は木々の芽吹きが始まり
山全体が黄緑色に薄化粧
・ソメイヨシノ/染井吉野 バラ科
花見に親しまれるサクラと言えばソメイヨシノ、
オオシマザクラとエドヒガンの交雑種。
花はエドヒガンに似て葉が開く前に花が開く。
気象台発表するサクラの開花宣言対象として
鹿児島から札幌まで基準種として知られる。
江戸時代の染井村(現在の東京都豊島区)が産地。
・オオシマザクラ/大島桜 バラ科
花と葉がほぼ同時に開き香りのよい葉をつけ、
遠くから見ると樹全体が淡い緑色に見える。
良い香りを生かして葉は桜餅に使われことでも
知られる。
伊豆諸島が基準産地で当地の奥松島にも自生する。
・チョウジザクラ/丁字桜 バラ科
山に咲くサクラの仲間でもっとも早く
花をつける。花は葉が開く前に下向きに咲き、
形が丁字に似ることが名の由来。
・カツラ/桂 カツラ科
渓流沿いのやや湿気の多い地に自生し、葉の形や
樹形が好まれ公園や緑地などにも植えられる。
花は葉が開く前に咲き雌雄異株、この花は雌花で
赤い雌しべが3~5本見える。
・ドウダンツツジ/灯台躑躅・満天星躑躅 ツツジ科
真っ白な小さい花を枝いっぱいにつけ、樹幹全体が白
に見える。これは公園に植えられたもの。
花はつぼ形で花弁の先端が5裂し下向きに咲く。
和名は枝別れの形を結び灯台に見立てたもの。
・ミツバアケビ/三葉木通 アケビ科
秋の味覚で知られるアケビは小葉が5枚なのに対し、
本種は3枚でミツバアケビと呼ばれる。
雌雄同株、雌花はがく片4枚がつく(写真上と下の2個 )
その中間にある雄花は雄しべが白く見える。
・キクザキイチゲ/菊咲一華 キンポウゲ科
葉の切れ込みがアズマイチゲより深く切れ込み、
キクに似た一輪の花は白色や淡紫色。
暖かくなると花が開き、夜間や気温が低いと閉じる。
スプリング・エフェメラル(春の妖精)のひとつで
早春に開花し、周りの木々に葉がつく頃には
枯れて眠りに。
・カキドオシ/垣通し シソ科
道端や野原に見られるつる性の多年草。
茎の断面は四角で花をつける頃から伸び始め、
花は唇形花で下唇に濃紅色の斑点がある。
和名はつるが垣根を通り抜けるくらい旺盛な
ことに由来。
・コガネネコノメソウ/黄金猫の目草 ユキノシタ科
沢沿いの湿地に生える多年草。花は黄色でがく片が
四角状、葉は対生につく。
数多いネコノメソウの中で見分けやすい。
・ムラサキケマン/紫華鬘 ケシ科
やや湿気のある道端や林縁に生える。ニンジンの
ような葉をつけ、筒型で紫色の花を多数つけ、
花の後方に突き出る距がある。
種子にはアリの好物のエライオソームがつき
アリに運ばれて繁殖するアリ植物。
・オランダミミナグサ/ 和蘭耳菜草 ナデシコ科
道端や路地などに生え枝分かれして広がり、
全体が毛に覆われ、茎の上部は腺毛があり粘つく。
花は白い5弁花で花弁の先が浅く裂ける。
仲間のハコベは花弁の先が深く裂ける。
・スズメノヤリ/雀の槍 イグサ科
日当たりの良い芝地や河原の土手などに早春花が見られる。
小さい花が集まって咲き、花期は黄色の雄しべの葯
が目立つ。種子にはエライソームがつきアリに運ばれ
繁殖する。
・キランソウ/金瘡草 シソ科
茎が地につき四方に広がって成長する多年草、
小さいので目を凝らして見ると、紅紫色の
数多い花に出会う。シソ科と言えば唇形花で
茎が四角かと思ったら本種は丸い。
スミレアラカルト
このところの暖かさに誘われるように
開花ラッシュ、今回は③~⑤
③アリアケスミレ/有明菫 スミレ科
人家付近や土手など身近なところで見られ、
これは公園の駐車場で発見。
花は白色から淡い紫色と変化が多いが白っぽい、
葉は長く先端が丸く葉柄に翼がある、見分けのポイント。
和名は花色の変化と有明の空に因んでつけられたという。
④ナガハシスミレ/長嘴菫 スミレ科
距が斜上するのが特徴でこれを見ただけで
判定できる。花は淡紫色から紫色など濃淡があり
上弁が大きく反り返る。常緑性で冬も枯れずに残る。
⑤アケボノスミレ/曙董 スミレ科
林内の落葉の下などに生え、葉が開かない中で
花だけがぽつんと咲いていることが多い。
花は淡濃色で距が太い。葉の裏面が紫色に色づく
などが特徴。
和名は花の色を曙の空になぞってついたという。
・タマゴケ/タマゴケ科
球状の朔がほぼ出揃った状態。
朔の先端の茶色は中に入る胞子を
カバーする蓋で帽と呼ばれ、まもなく
成熟すると蓋がとれ胞子を飛散する。
「タマちゃん」愛称で知られ人気のあるコケ。