vol.716
暖かさと寒さの繰り返し
早春の常とは言え
春本番への歩みがもどかしい
春は名のみの風の寒さや
早 春
・フキ(フキノトウ)/蕗 キク科
フキの花が咲き始めた、花茎をフキノトウと呼び、
早春の里山や田んぼの畦畔などに咲き群れる。
雌雄異株でこれは雄花。フキノトウやフキの葉柄も
山菜として利用される。
(両性花)
(雄花)
・セリバオウレン/芹葉黄連 キンポウゲ科
寒い1月頃から花をつけるが、目下満開状態で
一面足の踏み場がないように咲いている。
雌雄異株で雄花と雌花、両性花があり、
雄花に雌しべが見えるが機能が退化している。
・ハコベ/繁縷 ナデシコ科
秋口から花を開いているが、早春のこの時期は他の
花が少ないせいかひと際目立つ。
5弁の小さい白い花をつけるが深く裂けているので
10弁のように見える。真ん中の雌しべの白い花柱が
3本に分かれている。
・フクジュソウ/福寿草 キンポウゲ科
新年早々から話題に上るフクジュソウだが、路地や
庭先では今が花盛り、これは庭に植えられたもの。
陽光に反応して陽が陰ると花がしぼみ、
陽が当たると開く。黄金色の花は花弁が多く
葉が人参に似ている。
(開花)
(咲きはじめ)
・マンサク/満作 マンサク科
今年に入って何度目かの登場です。
写真を整理していたら、咲きはじめの1枚を見つけた。
細長いリボンのような4枚の花弁が狭いすき間に
折りたたまれ収納されている、
この花の構造がなんとも素晴らしい。
・アオキ/青木 ガリア科
昨年春に花をつけた果実が年を越し色づいて来た。
雌雄異株で雌雄花とも紫褐色の4弁花をつける、
これは雌株、花と赤い果実が春同時に見られる。
和名は枝の色から。
冬芽アラカルト
今回は⑯~⑳まで
⑯オオバクロモジ/大葉黒文字 クスノキ科
芽吹きが近いのだろう、冬芽にふくらみと青みが
増して来た。真ん中は葉芽で細長い、球形の両側は
花芽、基部に見える葉痕は小さく、維管束痕1個。
この形が好まれファンが多い。
⑰ニシキギ/錦木 ニシキギ科
冬芽の下部、枝の両側に板状に見えるのは、「翼(よく)」
呼ばれコルク質で十字につく。
冬芽は水滴型で冬芽を保護する芽鱗に包まれ、間もなく
緑色を帯びてくる。仲間のコマユミは翼が無い。
⑱アジサイ/紫陽花 アジサイ科
芽吹きが近く、緑色が浮き出ている。これは葉芽で
葉脈が浮き出ているのがわかる。
ハート型の葉痕が多数ついている、維管束痕は3個。
右側後方に見えるのは枯れた装飾花で春まで残る。
⑲チョウジザクラ/丁字桜 バラ科
芽吹きが近く、冬芽が青みを増している。
冬芽は保護する芽鱗に包まれ褐色。
里山でもっとも早く花をつけることで知られ、
花は葉の展開よりわずかに早いか、ほぼ同時に咲く。
花を横側から見ると丁字形に見えることからこの名が。
⑳イヌブナ/犬山毛欅 ブナ科
冬芽は細長い水滴形、芽を保護する多数の芽鱗に
包まれている。基部にある葉痕は小さくて見えない。
本種は里山に生え、山地のブナより材質が劣るので
イヌ、根元から多数のひこばえがでる。
・ネズミノオゴケ/アオギヌゴケ科
姿を見ただけで名が理解でき、これから夏に
かけて垂れ下がるように成長する。
緑色は新しい葉、茶色で先端に穴が見えるのは
昨年胞子を飛ばした葉でまもなく枯れる。
新しい葉の伸長は春の息吹きが感じられる。
・タマゴケ/タマゴケ科
前回にも紹介しましたが、朔がいっぱいつき
名前らしくなってきました。
手前の葉状のコケはハイゴケの一部。