Vol.696
今春は山野草の開花が
例年より半月ほど早く
目当ての花を撮り逃がすこと度々
その里山緑がまぶしい初夏の装い
・タニウツギ/谷空木 スイカズラ科
ピンク色の花が青空に映えて美しい。
山地の日当たりの良い場所に生え、花が好まれ
庭や公園に植えられる。
花は漏斗状で先が5裂の両性花。
空木は枝の芯部が中空を意味するが本種は中空ではない。
・サワフタギ/沢蓋木 ハイノキ科
山地の沢などに生え、枝が横に伸びあたかも
沢を覆うかのように見えることが名の由来。
本種は食木とするシロシタホタルガの
幼虫とルリ色の果実がそれぞれ美しい。
・オトコヨウゾメ/男ようぞめ ガマズミ科
ガマズミの仲間は上向きに花が咲き、果実も
上向きにつくが本種は花が横向きか垂れて咲き、
果実も垂れ下がる。
林地の日当たりよい地に生える落葉小径木。
・ミズキ/水木 ミズキ科
真っ白な花を階段状に数多くつけるので遠くからでも確認できる。
和名は春に幹や枝を切ると、多くの樹液がでることから。
木材は加工しやすくコマやこけし材として利用される。
・ハナイカダ/花筏 ハナイカダ科
葉の中央部に花が咲く様子を筏に例えたもの。
葉に葉柄はあるが、花柄は葉の主脈と同一になっている。
雌雄異株で上が雌花(株)、下が雄花(株)。
果実は雌花につき黒く熟すと食べられる。
・キンラン/金蘭 ラン科
毎年花が咲くこの時期に一度は訪れる、
今年は早めに出かけたところ撮影にちょうど手頃。
ランの名がつく花が数あるものの、個体が少ないのが悩み。
和名は花の色を金に見立てたもの。
・ササバギンラン/笹葉銀蘭 ラン科
真っ白な花がギンランに似て葉がササを思わせることが
名の由来。付近にギンランもあり年に一度は訪れるところ。
半日陰を好み最初に見つけるのが難しい。
・タツナミソウ/立浪草 シソ科
花が未だつぼみだがシソ科はおなじみの唇形花、
青紫色で一方方向に花をつける。葉先や草茎に毛が多く
茎に生える毛は水平。
穂状につく花を波がしらに見立てたのが和名。
・ジシバリ/地縛り キク科
春咲きのキク科の花は黄色が多くしばしば
同定に頭を痛める。葉の形が丸形~卵形で見分けられる。
群生することが多く一斉に開花すると一面黄色に見える。
・イヌスギナ/犬杉菜 トクサ科
スギナはシダ植物、春早く芽吹くツクシは胞子葉、
その後伸びるスギナは栄養葉。
本種はそれが一緒になっている変わり種、
スギナの群生の中にぽつりぽつり見える。
スギナは酸性の指標植物、つまりスギナが
生えているところは酸性土壌。
・コバンソウ/小判草 イネ科
帰化種で道路沿いに群生するほど繁茂する一年草。
穂状につく一つ一つが小花で全体が緑色、
熟するとこのまま黄褐色になる。
和名は熟した小穂の形を小判に見立てたもの。
・コツボゴケ/チョウセンゴケ科
暖かい日と適当なお湿りで息を吹き返したように
コケも緑が増して来た。
芽吹いた新芽が黄緑色に群生し、ジュウタンを敷いたように見える。
これからつるを伸ばして繁茂する。