Vol.645

 

   猛暑、強い雨 そして再び猛暑へと

   目まぐるしく変わる天気に体がとまどう

   一方里山の植物たちは

   そんな天気にお構いなく

   実りの秋への歩みは変わらない

   

   

  クリ/栗 ブナ科

   クリの実を包むイガ(殻斗)が大きくなり実りの秋は近い。

   イガの中には普通3個の実が入っている、野生種はシバグリと呼ばれる。

 

      

    キツネノカミソリ/狐の剃刀 ヒガンバナ科

   黄赤色の花が咲いてきた。 花被片は6枚、雄しべが長く突き出ている。

   早春に芽吹いた葉が枯れたあと8月頃花茎を出して花をつける。

    近縁種のヒガンバナは花後葉をつけ越冬し、翌春葉が枯れ秋に花をつける。

      

 

     キツリフネ/黄釣船 ツリフネソウ科

    紅紫色の花をつけるツリフネソウの黄色花のタイプ。

    特徴としては、花の後部につく距は渦巻かず垂れ下がる、

    花は葉の下方につく、そして閉鎖花をつけるなど。

   

 

     オクモミジハグマ/奥紅葉白熊 キク科

    秋が秋が近づきいろんなハグマが花をつけ始めた。

    山地の路傍や木陰などでよく出会う。

    花は3個の小花からなっている。 茶色っぽい3本の雌しべがその証。

    花びらは短冊のように5枚に裂けて捻じれ独特の形をしている。

   

   

 

  突き出ているのが雌しべの柱頭

 

 

  ガンクビソウ/雁首草 キク科

   これから秋にかけていろんなガンクビソウが花をつける。

   それぞれ特徴があっておもしろい。

   和名は花がキセルの雁首に似ていることが名の由来。

   別名キバナガンクビソウという。

    

 

     ヤイトバナ/灸花 アカネ科

    歩道脇や土手など普通に見られるつる性植物。

    花をよく見ると白の花冠と中央部の紅色が配色が美しい。

    中央部に2本の糸状に出ているのが雌しべの柱頭、

     これは内につく雄しべとの自家受粉をさけるため、つまり雌雄離熟。

     花の中央部がヤイト(お灸)のあとに似ていることによる。

    ヘクソカズラの方が分かりやすい。

 

 

     マツカゼソウ/松風草 ミカン科

    真っ白で花びらの4枚の小花と丸い葉の形はおぼえやすい。

    葉にはミカン科特有の香りと油点がある。

    和名は秋風の吹く頃に咲く花を「松風」に似ていることからとか。

 

 

     ウワミズザクラ/上溝桜 バラ科

    葉を展開した後花が開花する。花はブラシ状の花序を

    つけることで知られる。 これが果実、小さい球形で完熟すると黒色に。

   果実酒は不老長寿に効く薬酒と伝えられる。

   そして、杏仁の香りがして美味しいとか・・・・。

 

 

  ヤブコウジ/藪柑子 サクラソウ科

   小さな5裂の花びらをもつ白い花を下向きにつける。

   秋に熟す真っ赤な果実が美しい。 十両ともいう。

   和名は藪に生え、花がミカンの古種の柑子(こうじ)に

   似ていることによるという。 

 

 

 

  ナツハゼ/夏櫖 ツツジ科

   果実の上部に輪状に見えるのはガクの跡で

   これを鉢巻きに見立て、この地方では「ヤロッコハチマキ」呼ばれる。 

   花や果実がない時季の見分けは葉の縁に毛状の鋸歯がある。 

   和名は夏頃からハゼのように紅葉することから。

 

 

  マユミ/眞弓 ニシキギ科

   和名は弓の材料になったなどの諸説がある。

   緑灰色の花弁4枚の花をつける

   果実は未だ緑色をしているが10月頃赤く熟すと

   中には真っ赤な4個の種子が入る。

   和名が似たコマユミは別の近縁種ニシキギの変種で

   種子は1個、ただしニシキギの特徴の翼はない。

    

   

   ホウオウゴケ/鳳凰苔 ホウオウゴケ科

    この頃の降雨が幸いしコケが緑を増してきた。

    やや湿気が多い半日陰に生え、葉が茎の左右に

    整然と並ぶのが美しい。

  

 

 

  トヤマシノブゴケ/富山忍苔 シノブゴケ科

   本来の美しさはもう少し時間がかかるが、

   羽根のように細かく枝分かれし繊細な感じがする。

   和名はシダ植物のシノブに似るという。