「倒産件数が増加している」と話題になっているので、最近の倒産状況を「帝国データバンク」の資料をもとに調べてみた。
まずは2023年年間統計から。
確かに増加している、増加率が高いということは前年2022年よりもそれだけ増加しているということ、なぜか?
いわゆるコロナ融資が終わり、返済時期を迎えた23年は倒産件数が増加するのもわかるけど、理由はそれ以外にもあるようだ。
原因として、販売不振もあるが「物価高」と「人手不足」を原因とした倒産が急増中
この増え方は尋常ではない!物価高騰は戦争の影響、そして円安の影響が大きい。
これはまだ収まる気配が見えない、しばらくは物価高が続くと見た方が良い。
人手不足についてはコロナ禍を経て働き方や就きたい職種の傾向が変わってしまい、様々なところで問題になっている。
在宅でできる仕事、他人と接触しない仕事、給与の高い仕事へ。
転職市場は「ウリ手市場」で採用コストも増加中、これもしばらくは続きそう。
それにしても気になるのは業種別では「建設業」の比率が高いことだ。
仕入コストが上昇して、人件費も上昇しているので採算が取れない企業が増えているようだ。
いわゆる「黒字倒産」も起きているという状況であろう、その他では物価高の影響は製造や運輸、人手不足はサービスと運輸とやはり原価率高めと人材頼みの業種が煽りを受けている。
業歴と規模についてもみてみた。
業歴の浅い企業の倒産はよく聞く話だったが、どうやら創業して20年以上たっている老舗企業の倒産が増えている。
これは「これまでのビジネスが通用しなくなった」ことを表しているのかもしれない。
長きに亘り構築してきたビジネスモデルが通用しなくなった?DX化やIT化がその原因か?AI化についてはまだそこまでの影響がないと思うが。
規模で見ると資本金1000万円以下の小規模企業の倒産が増えているのも意外である。
小規模事業者は時代の変化に対応できるかどうかは経営者による、経営努力を放棄した瞬間に最悪の結果になることは想像できる。
小規模で長く続けていた企業の倒産している、周りを見るとなんとなく頷くこともできる。
産業構造が大きく変わり今までの手法が通用しなくなった、原価高騰で効率性や生産性を向上させないとビジネスがうまくいかなくなっている、そして小規模企業には人材が来ないので人手不足になって限界を迎える。
そんな状況が見えてくるデータだった。
さて、今後のリスクについても考えてみた。
すでに見えている3つのリスク。
金利・・・ゼロ金利政策が終わり、年内には金利上昇の局面になりそうだ。企業の借入金利の上昇は確実にやってくる。
人材・・・人材不足は恒常化している、大手企業でも採用に苦慮しているのだからそれ以下の規模の企業は苦戦が予想される。
物価・・・世界的に見れば日本はまだ物価安の状況だ、世界情勢から見てもまだまだ物価が高騰する要因がある。
それ以外にも中国経済の状況によっては様々な混乱が予測される。
それらの状況を踏まえて、企業としては対策を練っておかなければ、この大きな波にさらわれてしまう。
中小企業にとってはまだまだ試練の時が続きそうである。
国の融資制度も厳しくなっている、おそらく救済処置もあまり期待できないであろう。
本当の意味で変革の時期が来ていると痛感している。