変化の時代の中で、自分たちの役割や責任について考えることが増えてきた。
「取締役の役割とは何か?」
中小企業の取締役というのは叩き上げマネジャーが持ち上がりで就任するとか、同族企業で親族がいきなり就任、というのもあり役割を明確化したり就任時研修を行うケースが多くない気がする。
ということで中小企業における取締役の仕事について考えてみた、興味のある方ない方それぞれいると思うがとりあえず一読してくだされ。
⚫︎ 取締役の立場
1. 取締役は社員や社長ではなく法人の立場に立つ、つまり会社を第一に考える
2. 法人の使命や方針に基づき、必要なことを考える習慣を持つ。
3. 社員の視点に偏ることなく自身がサラリーマンの意識を超える、給与はもらうではなく支給する立場である。
4. 社長の方針を伝えるだけでなく、それを適切に表現し、誤解をなくすことの役割を持つ。
5. 問題があった時には組織や経営者の責任にするのではなく、具体的な要因を冷静に分析し対策を検討する。
⚫︎現場での役割
1. 現場で一生懸命働くことは重要だが孤立して働くべきではない、一人で何でもやれることは自慢にならない。
2. 会社の原理原則や経営理念に従い短期的な利益追求だけを目指さない、長期的な目線が必要。
3. 業績や問題に対して社長の立場から判断し意見交換と調整を行う。
⚫︎現場での姿勢
1. 問題が発生したらまず現場や顧客に出向き自身の目で判断する。
2. 現地・現場・現品の3現主義を基本にする。
3. 顧客のニーズや真意を把握するのは取締役の役割。
4. 現場従業員をサポートし、アドバイスや提案を継続的に行う。
⚫︎判断の基準
1. 具体的な根拠なしに感覚で対策を提案することは避ける。
2. 問題の原因追究をロジカルに行う、なぜそうなったのか?どこに問題があったのか?を明確にする。
3. 対策の段取りやプロセスを明示し、実行に移すための計画を立案し経営に開示する。
4. 新しいビジネスプランに合理性のある資料を用意する。
⚫︎ビジョンの伝達
1. 現状に妥協せずに次世代の戦略とビジネスプランを策定する。
2. ビジネスプランは他人からも理解できる具体性を持つ。
3. 取締役はビジネスプランの責任者として進捗を明確化し問題があれば開示する。
4. 取締役は決意を示し社員の信頼を集め、戦略を具現化すること。
以上、5つのテーマで解説してみた。どうだろうか?カブシクあるかもしれないが、30年経営者をやってきて感じたことである。
もちろん全てを兼ね備えた取締役というのは存在しないかもしれないが、これらを意識して日々努めていれば自ずと身についていくはずだ。
「取締役になったのであれば、仕事は他人任せにせずに自分で責任を持ち、しかし自分だけで完結することもなく、周囲に影響と仕事を与え続けることを理解する」ことだ。
業績の悪化を世の中や会社の責任にして「我関せず」の姿勢を決め込んでいるのは取締役として失格である。
現状の打開と未来の創造は取締役に掛かっている、そういう意識を持って職務に取り組んでもらいたい。
そのためにも「日々学ぶこと」が取締役には求められている。
社会の動きや人の動きに敏感でなければ戦略は立てられない。
日本企業の99%が中小企業である。
中小企業が今以上に元気になるためには取締役の役割が大切になると思う。
肝に銘じて取り組んでもらうしかないのである。