「先祖になる」
池谷 薫 監督 / 118 分
家が流されたらまた建てればいい
大昔から人はそうやってこの土地で生きてきた
男の名は佐藤直志。
岩手県陸前高田市で農林業を営み、仲間から“親分”と慕われている。
彼の家は1000年に1度の大津波で壊され、消防団員の長男は波にのまれた。
生きがいを失った男に何ができるのか? 直志はひとつの決断をくだす。
元の場所に家を建て直そうというのだ。
自分はきこりだ。山に入って木を伐ればいい。
友人から田んぼを借り、田植えもしよう。
仮設住宅には何があってもいかない――。
土地に根ざし、土地に生きる人々の行く末をおもう彼の強さと優しさは、
少しずつ周囲を動かし、生きることの本質を問いかけていく。
忍び寄る病魔、耐えがたい腰の痛み、遅々として進まない市の復興計画……。
数々の障壁を乗り越えて、77歳の彼は夢をかなえることができるのか――。