昨夜久しぶりにNHKで放送された『中井誠也の絶景!てつたび』の最新版の録画を観た。
今回は茨城県を走る3つの私鉄路線の旅で、いつものように中井氏が風景の中に鉄道車両を入れた写真を撮る姿とその写真の紹介、そして彼の行動そのものを見せる構成になっている。
大柄でユーモラスな体形、親しみやすいおだやかな性格、写真技術の確かさなど魅力たっぷりで鉄道写真に興味のない者をも惹きつける魅力のある人だ。
鉄ちゃん(鉄道好きな人達)では色々なジャンル分けがあって、撮り鉄、乗り鉄、線路鉄、音鉄、車両鉄、路線鉄、模型鉄、呑み鉄なんてものもある。
彼らは鉄道システムそのものがまず好きで、それから個別に枝分かれしていったもの。もちろんいくつも兼ねていたりもする。
それはさておき、電動で動く機関車もしくは車両自体にモーターが付いている物が現在は主流の乗り物である鉄道。
鉄道ファンの中には最新車両や旧車両など鉄道車両形態そのものに惹かれる人もいるなか、現代で全盛の電気駆動のモーターで動くのではなく、内燃機関を動力とした車両がより好きといったファンもいる。
代表が蒸気機関車、いわゆるSLだ。形がいかにも人間が作った機械そのものであり、その視た目のダイナミックな力強さと仕組みの精緻さが魅力。
古さが故に動かず静態展示されている物もあるが、動体保存され現代でも実際に鉄路の上を動かせるものもあり、とにかくノスタルジックを感じ取れる魅力あふれる姿が好まれる。
SLは機関車といって客車や貨物車をけん引するのが仕事。今では機関車は貨物車両を引くことが多いが、客を大人数運ぶ目的の場合、こうした先頭だけに1両あって後ろの車両を引っ張る形式は少なくなって、都会の中、都会と都会を繋げて走る長い編成の鉄道は車両の中にモーターを何台か備えたものが主流になっている、それは「電車」といわれる。
そんな中、ローカルな鉄道では未だに内燃機関で動く車両が多く存在している。その名称は「気動車」、別名「ディーゼルカー」と呼ばれるもの、SLも「気動車」である。
ただSLは、「気動車」ではあるが正確には「外燃機関」を使用、石炭を燃やしボイラーの発する蒸気の力でピストンを動かし車輪に伝える。
それに対し「ディーゼルカー」は、「内縁機関」といって、軽油を気化しエンジン内部で燃やすことにより力を車輪に伝える点が異なる。
こうした車両を「気動車」「ディーゼルカー」と呼ぶのは鉄道好きな人と思っていい。
ローカル路線でレール軌道の上に架線(電線)がなく、架線を吊るす柱が見えない場合は間違いなくその鉄道は「気動車」つまり「ディーゼルカー」によって運営されている。
また単線といって、上下線2本のレール軌道(複線という)が無い路線も例外はあるが「気動車」で運用されていると思って間違いはない。工事、維持コストが掛かり、乗客数の少ないローカル鉄道では電化は難しい。
大手のJR北海道、JR四国、JR九州などは本線であっても機関車仕様の「気動車」がいまだに走っている路線がある。理由は上に挙げたことだ。
中井精也氏が今回茨城のローカル線を撮影した中にその例外である「気動車」運用ながら複線があった。この「気動車」で運用し、複線仕様であることで写真映えするのは、架線を吊るすレール軌道の電柱がないので単線よりスッキリと広く写る点だ。
特に橋の上から撮影するとそのスッキリ感が際立つ。
とまぁカメラ撮影手法の話しになってしまったが、いいたいことは鉄道の世界には、特にローカル線は「気動車」が主流であって1両で走ることもあるが、2両以上で走っていてもそれは「電車」ではないこともある、ということが言いたかった。
さて、地球温暖化阻止の動きの中でディーゼルカーである「気動車」の運命は果たしてどうなるのか、多少鉄分が残っているわたしにとっても気になっている。