またかよ。
三男の“問題わかんない”問題だ。
説明しきって、もうこれ以上今の自分には伝えられないというところまで、繰り返し繰り返し、辛抱強く教え続けた。
でも、まだ腑に落ちない顔をして、それがどうしてもわからないことが気になって、わからないこと自体に不安そうな顔をしていた。
そして、瞬間わかったような顔をするが、またその日の夜や翌日に同じところをじっと見つめていた。
そんな姿を見て、もうこだわりすぎることの“癖”をつけてはまずいと判断。
答えがあったものについてはもう考えなくていいとした。
おとといの土曜日も、そしてそれよりも前にも、このことは散々言い聞かせたこと。
でも、また昨日の夜、何日も前の国語の問題で解決済みの問題について、その問題文がわからないと言ってきた。
同じようにまた説明をするが、もう、説明のしようがない。
文中から、食べる食べられる関係に合うような言葉を3字以内で書きなさい。
植物→□→〇→人間
「合うような」っていうのがわからないんだ
どうやら“合う”という意味が、“食べる食べられる関係に”という文節に続く言葉として、自分の中でしっくりこないようだ。
もちろん答えはわかっている。
でも納得しないのだ。
辞書で引いてごらん。
調べると、同じになるという意味があった。
食べる食べられる関係と同じこということだね。
「うん」
そうなると、植物の後は“虫”でその次は“鳥や魚”となれば、食べる食べられる関係になるよね。
「うん。それはわかるんだ。でもなんか“合う”っていうのが…」
もうそれは考えるところじゃないの。
三男ちゃんが言葉の意味を決めているわけではないでしょ。
わからなければ辞書を引いて、それで納得するの。
いつまでも考えても変えることのできないことは考えてんじゃない!
少し強めに言った。
そのあと、歯磨きをしながら三男に言った。
やっぱり読書量が全然足りないよ。
いろいろ読んでいくなかで、言葉の意味と、フィーリングがわかるようになるよ。
本読まなさ過ぎ。
読めばよくわかるようになるとは言えないけど、言葉の使い方のパターンは覚えられるでしょ。
パパもハッと気づいたよ。
パパは本も結構読んでいる方だけど、今やっていることなんか、よくわからないこと多いからね。
やっぱり基礎力が足りないんだよ。
それには関連する本しっかり読んで学ばないといけないんだよ。
だから、三男ちゃんもいちいちこだわらないで、どんどん先に進んでね。
「うん」
問題解決か。
ほっとした。
ここまでは、だ。
しばらくたって、また仕事部屋にやってきた。
もう寝る時間だ。
どうしたの。
「え、ちょっと気になって。これ教えてもらっていい?」
なんだよ、まだかよ、またかよ。
すでにイライラしているのが自分でもよくわかる。
声もところどころ立っている。
今度は別の問題だ。
“文中から3字で書き抜きなさい”
「これがよくわからないんだ」
ただし、答えは近くにあった3字を見つけて答案用紙に書いている。
もちろん、合っている。
合ってんじゃん。これでいいんだよ。
なにがわからないのかな。
「問題文」
じゃぁやってみよう。
文中 →「わかる」
3字 →「わかる」
書き抜きなさい →「わかる」
わかるじゃん。
なにがわからないんだよ!
「わかるんだけど、なんとなく…」
おいっ、いい加減にしろ。
じゃぁ、どうすればいいんだよ。
問題自分で変えちゃうのか。
全部言葉の意味わかってんじゃん。
答えもできてるじゃん。
それなのに、なんでまた考えてんだよ。
土曜日に約束しただろ、もうこうなったら考えないって。
かなり腹が立ってきているのがわかる。
こんなのが1か月以上続いている。
課題が思うように進まないイライラも合わさって、もう、爆発した。
お前はパパとの約束守れなかったのか!
パパ信じてないんか!
もうこうなったら考えないって約束しただろ。
なんでそう言ったかって、考えても考えてもどうしようもないことを考えて、三男ちゃんつらそうにしてるだろ。
だからもう考えんなって言ってんだよ。
夜なのに声がめちゃくちゃでかい。
完全に叱ってる。
止まらない。
良くないなと思いながら、でもやはり止まらない。
もうね、三男ちゃん心配なんだよ。
三男をぎゅっと抱きしめる。
大丈夫かな大丈夫かなって心配なんだよ。
つらそうにしてるの見てられないんだよ。
だからもう考えなくていいんだよって言ってるの。
もうこんな感じになったら、もう考えないで先すすんで。
約束だよ。
ゆーびーきーりげんまん♪
約束した後、もう一度念押し。
三男が寝た後、叱ったことと、声を荒げたことで子供に嫌な思いをさせたかなという反省で、目が冴えてしまった。
連休明けの翌日は通常通り早起きしないといけないので少しでも早く寝よう、そう思っていたのにそれができない。
それらもぜーんぶ混ざってイライライライラして、また更に目が冴えるという循環。
まぁ、腹が立つ。
でも、いつの間にか眠ってしまった。
もう、勘弁してくれ、三男ちゃん。
もう、かかえきれないよ。
どうしたらいいんだよ。
助けてよ、妻さん。
<翌日に続く>
答えは以前一緒に考えて同じように