今日は双子が楽しみにしていたことがある日。

いつも買い物に行っているホームセンターでカブトムシの100匹限定掴み取りがある。

当日1000円以上買い物したレシートを持って並べば特設会場にいるカブトムシの雄を1匹もらえるのだ。

2週間前にその告知を見てからずっと楽しみにしていた。

特に三男は毎日のようにそのことを言い、待ちかがれていた。

 

「大丈夫かな、もらえるかな」

 

もらえるよ、3時からでしょ、2時半に行けば大丈夫だよ。

 

「大丈夫かな、もらえるかな」

 

時間を空けて何度も聞いてくる。

それくらい楽しみにしていた。

 

午後、長男ちゃんの文化祭に行って、その後直接お店に行くからね。

ちょうどいいくらいの時間になると思うよ。

 

お昼を食べて長男の文化祭へ。

2日連続だ。

長男のクラスに貸したガチャガチャを回収するため。

でもそれ以上に、昨日見切れなかったところも見たいこと、そして何より長男のクラスでやっていた射的やらなんやらの出し物が面白く、またやりたいということもあった。

 

昨日と同じ、ばばを連れて4人で遊びに行った。

待ち時間が長かった昨日とは打って変わっていくらか空いている。

すぐに順番が回ってきた。

子供だけでなく、ばばも一緒になって遊ばせてもらった。

意外に上手で、しかも楽しそうだ。

そんな3人の姿をスマホでパシャリ&動画。

 

他にもいくつか回ると公開時間終了のアナウンスと蛍の光が流れてきた。

長男のクラスに戻り、ガチャガチャを受け取るから昇降口まで持ってくるように伝える。

話していると同じクラスで小学校からの同級生の子のお母さんがいらっしゃったのでご挨拶。

長男をみるなり、

 

「〇〇(長男の愛称)、背ぇ〜伸びたねぇ〜〜〜〜〜」

 

驚きの顔。

中学1年の入学の時は142cmほどで、今は170cmちょっと。

まだまだ伸びる予定だけど、確かに大きくなった。

ちょっぴり恥ずかしそうな、でも言われてまんざらでもなさそうな顔をする長男。

 

そんな長男からガチャガチャを受け取って、予定通り車でホームセンターへ。

車の中では名前何にしょうか話し、名前まで決めていた。

 

着くなりパーっと駆け出していく二人。

意外に混んでいない感じ。

 

間に合ったかな。

 

そう思いながら1000円以上分の買い物。

レシート必要だからね。

 

買い物を終えて、さて、レシート渡そうかな。

そう思った時、ばばが私を見つけて近づいてきた。

 

「なんかね、もうないんだって。整理券配って、もうないんだって」

 

え?

 

3時からと書いてあるからその通りに来たのだが、どうやら大勢見えて時間前から並んでいたようだ。

そのため整理券を配って、他のお客様の迷惑にならないようにしたのだろう。

 

あらら。

 

状況が分かった二人も私を見つけてかけてきた。

 

ごめんね。

もう終わっちゃったんだって。

 

そういうと三男は私から離れてちょっと先をずんずん歩いて行った。

後ろから見ても、三男の気持ちが伝え割ってくる。

 

泣いてるな。

 

三男のそばにより、目を見ると涙を溜めている。

 

そうだよな。

2週間楽しみにしていて、そして早く行きたかったけれどパパを信じて一緒に行動していたんだもんな。

それでこれだもんな。

 

ごめんね。

 

ひたすら謝る。

子供の気持ちを考えるとただただ辛くなる。

 

買い物を終え、車に乗り込む。

買ってきたアイスをその場で食べて、ちょっとクールダウン。

食べさせながら私は頭をぐるぐる巡らす。

 

どこかにカブトムシ売ってないかな。

 

虫は買わない。

取りに行く。

ただ、昨年からクワガタは取れるがカブトムシが取れない。

もちろん今年もクワガタ(コクワガタ)は4匹取れたけどカブトムシは取れていない。

取りに行くつもりだが、取れるかどうかわからない。

さらに今日のこのことがある。

 

買ってでも与えないとな。

 

思いつく先々、温泉施設2ヶ所、別のホームセンター1ヶ所、八百屋さん。

思いつくところに電話をしたり行ったりするが時期が早いこともありお店にいなかった。

 

うーむ。

 

万事休すかと思ったが、ふっと1ヶ所思いついた。

 

オカメインコとニワトリを買ったところあるじゃん。

 

電話電話。

 

「いっぱいいますよ!」

 

受話器の向こうから元気な声でそう答えてくれた。

 

やった!

 

二人に話す。

見る見る笑顔が広がった。

 

よし、行こう!

メスもいるっていうから、つがいで買おう。

長男ちゃんの分も合わせて3セットだ。

 

さっきまでの沈んだ雰囲気はどこへやら。

賑やかな声でいっぱいの車内に早変わり。

 

ただ途中、以前住んでいたところで飼っていたカブトムシの話をしているときにママの話がちょっと出たとき。

 

「さみしいね」

 

次男がポツリ。

 

え、何が?

 

何がさみしいかわかっているくせに次男に訊いてみる。

 

「ママがいないから」

 

もう、一杯一杯。

つらい。

 

そして三男も一言。

 

「最近全然ママ夢に出てこないんだよ」

 

パパも全然出てこないよ。

でも先月かな、ちょっと出てきてくれたかな。

 

もうだめだ。

辛すぎる。

カブトムシの時も子供の心を思うとやりきれなかったのに、ママのことまでなんて。

 

辛い気持ちを抑えながら、少しずつ話題を変えていく。

すると気持ちは再びカブトムシへ。

 

お店に到着。

駆け出していく二人。

 

ゆっくりお店に入ると三男が駆け寄ってきた。

 

いた?

 

「うん、いたんだけどさ、高いんだよ」

 

いいよ、いいよ、そんなの気にしないで。

 

とは言いながらも、値段を聞くと確かに高い。

でもそんなことは全く気にならない。

 

好きなのを選んで。

メスもね。

 

10匹以上いる中から3匹選ぶ。

メスは3匹しかいなかったので、みんな箱に入れる。

昆虫マット(後から腐葉土であることに気付いたが、まぁ良い)を買って、さぁ、家へ。

 

車の中では早くもカブトムシを出して遊んでいる。

 

よかったよ〜。

パパが一番嬉しいかも。

みんなの嬉しそうな顔が見られて本当によかった。

ほんと、よかったよ。

 

「パパありがとう」

 

でもさ、雄だけただでもらわなくてよかったんじゃないかな。

これで増やせるし。

 

「うん、そうだね。パパありがとう」

 

家に帰って飼育ケースに土を入れ、家づくり。

それぞれのカブトムシをそれぞれの家に入れる。

二人とも満足そうだ。

 

文化祭の後夜祭を終えた長男が帰ってきた。

 

「長男ちゃんの分もあるよ」

 

三男が自慢げに話していた。

長男も自分の分があることにちょっと嬉しそうだった。

 

よかった、よかった。

本当によかった。

 

子供の気持ちを大切にしたい。

そう思うばかり。

 

今日はついていた。

 

ありがとうございます。