以前よりFRBから発言されていた「金融緩和を解除し、利上げを段階的に進めていく」とのアナウンスどおりに、米国の中央銀行は既に利上げに舵を切っています。
通常、お金(特に投資マネー)は、金利が高い方に流れていきますので、低金利の日本円は敬遠され、今後も金利上昇が望める米ドルに向かい、その結果として「円安ドル高」傾向となっていくことは容易に予測できます。
現在の局面では、それにロシアのウクライナへの軍事侵攻による原油高の影響で、地政学的な資源国(豪ドル、カナダドルなど)の通貨高の要素も加わり、過度な円安への推移や物価高が懸念されています。
経済界やマスコミ、消費者団体等からも過度な円安への警戒の声や悲鳴が起こっていましたが、過日とうとう財務大臣から「現在の円安は、悪い円安である」という発言がありました。
スーパーやデパートに行けば、目に見えてモノの値段が上がっていると感じるのは私だけではないと思います。
過度な円安は、企業の問題でもあり消費者の問題でもある訳ですが、問題の本質は「何が原因で、どこまでいつまで続くのか」です。
原油高や米欧の利上げが原因であれば、循環的な円安で収束するでしょう。
これまでにも、日米の金利差の拡大による「円安ドル高」は幾度となく経験してきています。
現在、ロシアとウクライナによる軍事衝突が続いており、紛争が収まる兆しは残念ながらまだ見えていません。
このような局面では、投資家等に安全資産であると考えられている「円」が買われ円高に振れるというのが、これまでの為替市場で見られていた現象でした。
しかし、今では「円は安全資産」「有事の時の円買い」という面影は完全に消失してしまったかのように感じます。
また、今回の「過度な円安」「長引く円安傾向」は、従来のものとは異なるようにも感じます。
日本の低インフレや経常収支等が背景となっているのであれば、循環的ではなく構造的な円安と考えられ、長期的な経済・金融・貿易等の政策を修正・再構築していく必要があると考えられます。
「循環的な円安」であるのか、「構造的に円安」となっていくのかは、この1年である程度は見えてくると思われます。