- T.R.Y. 北京詐劇(ペキン・コンフィデンシャル)/井上 尚登
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井上尚登著「T.R.Y.北京詐劇」読了
いゃ~面白かった。
この本は、ツィターのホロワーから紹介されたものの続編なのだが...
だから、本当は先に「T.R.Y.」の方を読まなければならないのだろうが、
図書館に「T.R.Y.」が無かったので、こちらの 「T.R.Y.北京詐劇」を先に
読んだ。前作とのつながりもあるのだが、充分に楽しめた。
詐欺をテーマとしたものは、誰をどのように騙すかが作家の腕の見せ
どころ。この作品はもう一つトレジャーハンター的要素があり、
古代の遺跡の宝探しという、私の大好きな分野も入っている。
なので、「宝」がなんなのかも重要な要素。
中国の皇帝即位を狙っている野心家を遺跡をネタにだます。
しかも、旨い料理を材料にその野心家に取り入っていく辺り...面白かった。
「宝」が単なる財宝でないことは、この手の小説の王道。
では何が宝なのか...この部分にも「なるほど~」と言わせるだけの仕掛け
があったね。
野心家とその側近が主人公の思惑に気付き窮地に陥る場面が何度か
あるが、主人公がその先手を取って打開していくあたりは、ちょっと出来すぎ
ではないかと思う部分もあったが、読者がそう思う前に話しが進んでいく
スピード感がいいね。
私が小説を読む場合の楽しみの一つが、クライマックスシーンのあとの
エピローグ的な話の部分。
詐欺師ではないが、ドサクサにまぎれて貴族に扮装するドイツ人。
そのドイツ人が日本の少年にサッカーを教える。
ドイツでのオリンピックで日本のサッカーチームが大金星を上げるのだが、
その影に少年時代、貴族に扮したドイツ人がサッカーの手ほどきを受けた
あの少年の存在があった...と言うエピローグも、エピローグとして面白かった。
活劇物の小説はスピード感が命なので、あまり細かな部分を掘り下げたりは
できない。その人物の背景やら、辻褄あわせの出来事などを書き込みすぎる
とスピード感が無くなり、面白くなくなってくる。
おいおい、そこからいきなりここに話しが飛ぶのかよ~
って場面をどうスピード感で乗り切るか、そこに作者の技量が試される部分が
あると思う。この小説はそういう意味でも秀作といっていいだろうね。
井上尚登氏の他の作品も読んでみようって気になるね。