プラチナデータ/東野 圭吾
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東野圭吾著「プラチナデータ」読了。

はっきり言って、図書館で借りてきたものでよかった。

なんだろう?
どうしても、「面白かった」とは書けない。

実は、ガリレオシリーズもTVドラマとかで話題になってから、
初期のものを読んだ。着想は面白いと思うのだが、小説として
どうしても「面白い」とは思えないのだな~。

ダヴィンチ・コードを書いたダンブラウンの初期の作品で
「パズル・パレス」というのがある。それと「プラチナデータ」は
私の感覚で言うと、同じ理由から「面白い」とは思わないような
きがする。

「プラチナデータ」とはなんなのか?
二重人格の主人公は、どう事件の真相に迫り、どう解決するのか?
そこに面白さがない。

「プラチナデータ」の意味を知ったときには、
えっ?本当にそういう意味だったの?と拍子抜けしたというか、
一気に白けてしまった。

結局は、権力者の思惑が絡んでしただけで、安い芝居を見せられた気分。
特に「DNA」という素材をモチーフにした意味はあまりないね。

容疑者を割り出すときに、過去の犯罪に関わった人間のDNAとの照合
だけではなく、現場に残されていた犯人のDNAだけから、モンタージュまで
作り出せるシステムを扱ったのは、アイデアとしては面白いのだが、
それに仕掛けられた「プラチナデータ」があれでは...DNA解析システム
でなくても良かったのでは。

結局、肉付けされている部分をそぎ落としていくと、最後に残る物語の骨格は、
濡れ衣を着せられ逃げ回りながら真相に近づこうとする主人公と、
最初は嫌悪しつつも、次第にタッグを組んでいく刑事。
そして、権力者の暗黒面...安い芝居であった。

冒頭部分で主人公の二重人格性がチラッと見えるシーンもあるが、
絶対に何かの伏線だと思ったのだが、大した意味はなく、
逆に決められた場所で決められた時間だけしか別人格にならない
というルールがあったのだから、あの冒頭部分の別人格登場になんの意味が?

最後の"説明"のシーンで、刑事が犯人のハンディーから部品を抜き取ったことを
書いてあるが、普通ならハンディーそのものを没収している。
あの場でハンディーから部品だけ抜き取ったなんて...
しかも、電トリをハンディに改造するためには、設定の変更も必要だったと思うから
ハンディから部品を抜いただけでは、単に壊れるだけで、元の電トリには戻らない。
なので、クライマックスシーンで神楽に対して使用されたハンディーは作動しない
はず。なのに電トリとしては作動したのだね...煮詰めが甘いね。

なぞが一つ一つ解き明かされていって、事件の真相は...なるほど~、そういうことか!
ってのを期待してしまうんだよね~、この手の小説の場合。
ダンブラウンの「パズルパレス」のときにも、煮詰めの甘さと、そんなことで崩壊して
いくんだ~なんておもってしまった瞬間から、残りのページを読むことは「消化試合」
になってしまう。

別の作品に期待しよう。

【追記】
この作品が面白くない点の追記だが…
最終的に主人公が権力に負けて、一人は管理社会から逃げてしまったし、
もう一人はその権力に懐柔されてしまっている。
この点で言えば実に現実的な話であり、カッコよくない。
どうせなら、このDNAを使った検索システムそのものをぶっ潰しても良かったのかも。