先日、無事に慣らしが終了し、高速道路走行や雨中走行をしましたので私なりのインプレッションをば。


まずインプレッションする前に私のバイク環境を述べておきます。


と言うのもインプレッションしようとする人間のバイク環境は、それを読もうとする方にとってとても重要なポイントだと思うからです。


例えば1000cc以下のバイクに乗った事がない人がトリシティをインプレッションしたとすれば、あまり良い評価にはならないのではと思います。


その評価自体はその方の素直な感想なので問題ないと思うのですが、でも125ccのスクーターからトリシティ155への乗り換えを考えている方の参考にならないのでは?と思うからです。


リッターオーバーに乗っておられる方からすると「鈍臭いバイクやな」でしょうし、125ccに乗っておられる方からすると「プラス30cc分のパワフルさ」と評価が正反対になりかねないですもんね~


ですので私は毎日の通勤時にはVストローム650に、休日はスポーツスターに乗っており、スクーターは妻が乗っているスペイシー100に月に一回程度自宅近くのコンビニに乗っていく位だと言う点を先に述べておきます。



ではまず



エンジン


排気量からすると低回転域からトルクのあるエンジンだと思います。アクセルを少しだけ開けたところからでも車の流れにのれるだけの充分な加速をしますねぇ~もっと125ccのようにエンジン回転先行で遅れて車速がのるような想像をしていたので驚きましたよ~


やるなブルーコアエンジン。


このトルクに合わせておそらくクラッチスプリングも柔らかい物が使われているようで、かなり低回転でクラッチがミートするのでジャダー感無くスムーズに車速が伸びます。またこの事により自動変速にしては低速までエンブレがかかるので、コーナー進入や信号での停止などのシチュエーション等でとっても乗りやすいですね。


このクラッチ特性と前2輪の安定感から極低速走行がとってもしやすいですねぇ~これで教習所の一本橋通ったら誰も落ちないのではないでしょうか~?


あ、前が2輪やから最初から落ちてるな・・・


ただ高回転はそれほど回らないエンジンという印象です。プラス前述したようにクラッチスプリングが柔らかいようなので高回転域は割り切った設計になっていると思われます。


低回転域のトルク感や少し雑味がある回り方はヤマハっぽくないなと感じましたが3気筒エンジンを造る今のヤマハは昔とは違うのでしょうね。


アクセリングによってメーター内にECOランプが点灯するようになっていますが、非常に現実的で効果的な機能だと思います。交通の流れにのって走っていても、少し気遣いすれば常時点灯していますし、登り区間であっても丁寧にアクセリングすれば点灯させる事が可能です。

メーカーによっては交通の流れを妨げる程の過剰なECO運転をしなければランプが点灯しなかったり、下り区間位しか点灯しないような意味の無いものも多いですもんね。

交通の流れにしっかり乗りながらもECOランプを意識して走るとリッター43キロ走れましたので、とっても実用的な機能だと思います。


そしてネットなどでも議論される事が多い、150cc辺りの排気量で高速道路走行できるのか?


なんですが、


行ける❗とおっしゃる方と


止めておいた方がよい❗とおっしゃる方がいてますよね~


大型に乗っている方なんかが、邪魔になるだけで危ないから止めときな~なんて書き込んでいるのを私が出入りしている価格.com掲示板でよく見ますけどね~


実際に購入して、実際に高速道路走行してみた上ではっきり言います❗



「いけます」



大丈夫です。普通に行けますね。


あの必死になって無理って言うてた人達って何なのでしょうか?


ただ、普通に行けますであってガンガン行けますではありません。詳しく言いますと


トリシティ155の平地での最高速は105キロだったので追い越し車線は厳しいです。


最高速の105キロのまま登り区間に入ると少しずつスピードが落ち、95キロ~100キロで安定します。また80キロから登り区間でアクセル全開にすると95キロ辺りまで加速できますので走行車線を走っていくには充分ですね。


単気筒で小排気量なので最高速の105キロでの巡航は止めておいた方がよいと思いますが、90キロ位でしたらエンジンに余裕が感じられるので大丈夫だと思われます。


ただ、高速道路走行時の安定性や横風に対する強さについてネットで見た覚えがあるのですが、大型に乗っている感覚からすると正直そこまででもないかなと感じました。が、確かにトラックに抜かれる際に風にあおられる事は無かったので、軽量なスクーターとしては抜群の安定感なのだと思います。




車体


最初に乗り出した時は何かちぐはぐと言いますか落ち着かなさを感じました。


しばらく走ってみてそう感じてしまう原因は前輪は二輪ある事による驚きの安定感がありながらも、後輪は普通のスクーターでクイック傾向なので、前後で相反する特性がそう感じた要因かもしれないなぁ~と思いました。


だからといってそれが実際の走行に支障をきたす事は無く、ただの慣れの問題なので数時間乗っていたら違和感はなくなりましたけどね~


前二輪でありながらヤマハらしいハンドリングを狙った結果か結構なリヤ上がりになってるなぁ~と最初は感じたのですが、どうやらこの前二輪は今までと違う乗り方を考えなければいけない部分があるようです。その点は後述します。


ただ前二輪はすり抜け時にはネガ方向に働く部分が多いかもしれません。


と言うのも渋滞している車の左側を抜けていこうとするとバイクの左側足元には縁石があるパターンが多いですが、普通のスクーターだとハンドル幅と車体左側のスタンドやステップボードが縁石に擦らないように気を付けていれば大丈夫だという感覚だと思うのですが、その感覚で走ると自分の感覚よりも早くに縁石に左タイヤが当たってヒヤッとする瞬間がありました。


また左側が縁石でなく側溝になっている場合は更に気を付けなければ重大な事故になる可能性があるので、すり抜けをするのであれば常に前左側タイヤを意識しておく必要がありますし、普通のスクーターなら通れるけどトリシティでは無理だというシチュエーションもあるかもしれませんねぇ~


足付き性は特別悪くはないと思うのですが、身長が低めな方や女性にもオススメできる足付きでは無いと思います。シートクッションを薄くしたりシート前方を削り込んだりと足付き性への配慮はあるのですが、


前二輪機構が高さ方向にもスペースを要するので、それとの前後バランス


前二輪機構なのでフロント側にガソリンタンクを積めない、水冷エンジンなので冷却との兼ね合いもありエンジン前方足元下にガソリンタンクを置けない、メットインスペースも確保したいので後輪上部にしかタンクを設置できなかった





等の理由から足付き性には苦慮されたのだと思います。


仕方ないのですが、それらの要因でシートの座り心地や足元スペースの狭さ等にしわ寄せがきちゃってる部分はあるかもしれませんねぇ~でもセンチどころかミリ単位で追い込んで造ってあると思うので、ヤマハさんに感謝しかございません。



サスペンション


ネットでトリシティオーナーさんのご意見を拝見するとサスペンションが硬い事でお困りの方々が多いように思います。


確かに乗っているとギャップがあると前後輪共にけっこう跳ねるように感じます。が、フロントに関しては硬いのではなく逆に柔らかすぎて底突きしているようですねぇ~


サスが柔らかい上に、おそらくは足付き性との兼ね合いだと思うのですが結構サスペンションストロークも短いようなので、そこも原因なのでしょうね~





下の画像の方が判り易いと思うのですが、慣らし走行のペースでボトムしちゃっていますね




リヤサスペンションは硬めなのは間違いないと思うのですが、それよりもダンパーがほぼ効いていないのが気になりますね~

でもねぇ~足付き性との兼ね合いでサスペンションストロークの確保が厳しかったでしょうし、その条件でダンパーが効果的に効くような高級サスペンションをスクーターに取り付けるのは現実的では無いですよね。

それよりもリヤサスを2本にしてくれたヤマハさんに感謝でございます。

トリシティの乗り心地の悪さはフロントサスペンションが柔らかく、リヤサスペンションが硬いアンバランスさも原因の一つとしてあると思います。

感じとしてはダンパーが効いていないリヤサスペンションが跳ねて、そのお釣りがフロントにきている、いわばロデオ状態ですなぁ~

そこにきて前二輪機構で金属が組み合わさっているので結果としてフロントの剛性感がめっちゃ高くなっており衝撃がダイレクトにハンドルに伝わり、乗ってる側からすると乗り心地の悪さを感じてしまうのでしょうねぇ~




スクーターでありながらスポーツバイクの倒立サスペンションのような剛性感を感じますもんねぇ~

なので、もしサスペンションをいじるのであればリヤサスを換えるよりもフロントサスペンションのバネレートを上げてみたいですね。



ブレーキ

ブレーキによる制動力の高さでこの前二輪シリーズに勝てるバイクは無いのではないかと思います。

コンビブレーキですが後ろブレーキだけをかけた時にフロントブレーキに対する介入度は高めだと思います。ですのでABSが装着されている事もあり急制動が必要な状況であっても最悪リヤブレーキだけを思いっきり握るだけで、

「え?急停止装置なの?」

って感じる位に急制動できますよ。

このブレーキに慣れてしまったら自分のバイクに戻った時に危ないなと思いますね~

ただ、ブレーキフィールはヤマハらしくコントロール感がダイレクトなもののブレーキレバー形状からテコによる入力アシストが少なく握力が求められるタイプなので、どれだけブレーキ性能が高くても女性ではフルブレーキングできるかな?って疑問ですねぇ~場合によってはゴールデンパッドとかに換える事も考えてもよいかもですよ。


このブレーキ性能なので足付きを度外視して前後サスペンションストロークを10センチ伸ばしたらタイトな下りとかめちゃ速なのではないでしょうか。バンク角度も上がりますし。

今は左右ともすぐにスタンドをガリガリしちゃいますしねぇ~・・・





タイヤ的にはまだイケそうなのですけどね~





ヤマハさんも衝撃対策としてハンドル剛性を下げたり(手で押し引きするだけでしなっているのが目視で判る)、ハンドル角度を寝かし気味にしたりと対策してくれていますが、根本には前二輪機構を採用した事による影響があるので仕方ないですよねぇ~

そんな事よりもこの前二輪機構を出してくださっった事に感謝しかございません。



では何故にリヤサスペンションに比べてフロントサスペンションを柔らかくしたのか?を走りながら考えていると、コーナーリング中にあるギャップを越える際に変わった挙動が出ている事に気付きました。

コーナーリング中に大きめのギャップを通過するとハンドルが一瞬弾かれたように左右どちらかに切れ込む時があります。

ん?

と思って気にしながら乗ると、ハンドルが切れる方向に規則性は無いようですねぇ~。ただギャップが大きかったりスピードが高めだったりでフロントタイヤに対する入力が大きい程にハンドルがどちらかに切れちゃうようですね~

試しにブレーキングギャップが大きいコーナーにかなり強めにフロントブレーキをかけながら進入してみると、ハンドルが左右に振られながらフロントタイヤが横斜め方向にバウンドしました。

普通のバイクでしたらブレーキングギャップで振られたとしても基本前に進もうとする進行方向は変わらないですが、トリシティは何故か横斜め45度位に跳ねたのでビビっちゃいましたねぇ~

これが何故なのかは私には説明できませんが、どうやらこういった特性があるようです。サスペンションでいなせる範囲であれば挙動が出ないのですが許容範囲を超えるとダメなようです。

もしかするとフロントサスペンションを硬くすると、フロント周りの剛性が高いのもあり、この挙動が判りやすい、もしくは出やすくなってしまうので柔らかくよく動くサスペンションにせざるを得なかったのかな~?と思いました。

ただ、それもかなりペースを上げて荷重を架けて走ればの事なので普通に乗る分には全く問題ナッシングでございますし、挙動が出たとしてもすぐに安定しますので一瞬ヒヤッとしますが大丈夫ですよ~

それとプラスして前二輪はコーナーリング中にフロントブレーキを握ってもバイクがあまり起き上がらないので、あまりオススメはできませんがコーナーリング中のフロントブレーキ操作に対する許容範囲が広いと思われます。


また小石が散らばっているような酷道を走ると前二輪による安定感もありますが、前輪が小石を踏んでしまってハンドルが降られてしまう確率が単純に2倍になってしまうので走破性が高いとは言いきれないです。

片方が小石を踏んでしまっても、もう片方が踏ん張っているので大丈夫だと想定していたのですが、そうではなくどちらか片方が降られるとそのままハンドルがとられちゃうんですよねぇ~

つまり先に述べたようにリスクが2倍になる部分もあるんです。

なかなか2輪共に小石を踏まないように走れるかと言うと、ちょっとねぇ~・・・

ですが、それはトリシティに問題がある訳ではなくて前2輪の特性なので仕方無いですし、そもそもトリシティで酷道に行こうなんて特異な人が何人おんねんって話なので、ほとんどの方にとって気にする必要もない事ですけどね。



雨天走行

ここについての期待度はかなり高かったですが、かなり豪雨の中を走ってみての率直な感想としては想像していた程では無かったですねぇ

メインで乗っているVストローム650には雨天走行を考慮したタイヤ選びをしている事もあり、Vストロームほどの安心感は感じれませんでした。改めて大型車両のポテンシャルの高さを感じる結果となりました。

雨天走行時でも確実に前2輪のメリットはあるのですが、やはり小径ホイールである事と純正で採用されているタイヤの問題でしょうね~

コーナーでそこそこ攻めてみると前輪は細かく滑りながらも持ち直してといった感じで踏ん張ってくれるのですが、リヤタイヤは普通のスクーターですので限界はそれなりですね。

ハードブレーキングするとドライ路面時とうって変わって直ぐにABSが作動したので純正タイヤの問題が大きいと思われます。

もし通勤で使うのであればフロントは2輪なのでまだ良いのでしょうが、リヤタイヤはミシュランのシティグリップなどのウェットグリップを考慮したタイヤに換えても良いかもしれませんね。

ですが、それはウェット路面でもキビキビ走りたければという事であって、雨の時はそれなりという普通の方であれば純正でまったく問題無いと思います。



少し長くなってしまいましたが、以上が私が感じたトリシティのインプレッションになります。

ネガティブな部分も多く取り上げてしまいましたが、曲がる止まる時の安定感は特別なものがあるとても良いバイクだと思います。

奥様用にと購入したのですが、この選択は間違っていなかったと思います。特に制動の部分において驚きのポテンシャルがありますので、奥様に乗ってもらう上で私的にも安心感が高いですね。

ただ、あくまでもトリシティのポテンシャルが高いのであって、それを活かせるようにするには相応のテクニックが無ければ意味がないと思いますが。

ただ安定感は高いのですが、それ故に機敏さやダイレクト感には欠けるので、技術レベルが高い方は普通の前1輪の方が楽しく走れるのではないかと思われます。