登場人物
- 原告A:土地家屋調査士法人(被告)の社員、元従業員。未払残業代を請求。
- 被告B:土地家屋調査士法人。Aが所属していた法人。
- 裁判官C:東京地方裁判所。
- 弁護士D:原告Aの代理人。
- 弁護士E:被告Bの代理人。
場面設定
- 東京地方裁判所の静かな法廷。
- 裁判官Cが中央に座り、両脇に弁護士DとEが座る。
- 証言台には、原告Aが立っている。
シーン1:開廷と主張
裁判官C: 本件は、原告Aが被告Bに対し、未払残業代の支払いを求める訴訟です。原告A、被告B双方の主張を聞きましょう。
弁護士D: 裁判長。原告Aは、被告Bにおいて長年にわたり勤務し、過酷な労働条件下で働かされてきました。しかし、被告Bは、原告Aが管理監督者であるとして、残業代の支払いを拒んでいます。これは明らかに不当です。
弁護士E: 裁判長。被告Bは、原告Aが会社の設立時から重要な役割を担っており、経営者である代表者と一体となって会社を運営してきたと考えています。原告Aは、実質的に経営者と同様の地位にあったため、管理監督者に該当し、労働基準法の残業代の規定は適用されないと考えています。
シーン2:原告Aの証言
裁判官C: 原告A、被告Bにおいてどのような仕事をしていたのか、詳しく説明してください。
原告A: はい。私は、会社の設立時から登記申請などの現場実務を主に担当していました。代表は経営や営業を担当し、私は現場の指揮を執っていました。人事に関する最終決定は代表が行っていましたが、現場での従業員の指導や仕事の進め方は、私がほぼ自由に決めていました。
裁判官C: 勤務時間についてはどうでしたか?
原告A: 勤務時間はかなり不規則で、休日出勤も頻繁でした。しかし、自分の裁量で休日や代休を決めることができました。また、一度、勤務中に歯医者に行きましたが、その分を減給されたり、代表から注意されたりすることもありませんでした。
シーン3:裁判官の判断
裁判官C: それでは、裁判所の判断を述べます。本件は、原告Aが管理監督者に該当するかどうかが争点となります。管理監督者とは、経営者と一体的な立場にあり、労働時間などの規制を受けなくても保護に欠けることがないような立場にある者を指します。
裁判官C: 原告Aは、会社の設立時から重要な役割を担い、現場実務をほぼ自由に決定するなど、経営者と一体的な立場にあったと認められます。また、勤務時間や休日についても、自分の裁量で決めることができ、他の従業員よりも高い報酬を得ていました。
裁判官C: したがって、原告Aは管理監督者に該当するため、未払残業代の支払いを求める原告の訴えは棄却します。
シーン4:結末
裁判官の判決が言い渡され、法廷は静まりかえる。原告Aは、肩を落とす。弁護士Dは、控訴を検討する旨を述べる。
【解説】
- 管理監督者の定義: 経営者と一体的な立場にあり、労働時間などの規制を受けなくても保護に欠けることがないような立場にある者。
- 判断のポイント: 職務権限、勤務態様、待遇を総合的に判断する。
- 本件の結論: 原告Aは、経営者と一体的な立場にあったため、管理監督者に該当し、未払残業代の請求は認められなかった。