こんにちは。8期副代表の竹谷綾です。
今回私は今年度のハーバードカンファレンスのacademicパートについて紹介したいと思います。
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世界最高峰の大学と言われるハーバード大学。そこでの授業がどのようなものか、私は渡航前から非常に期待していました。そして、ある部分ではその期待を大きく上回る気づきがあり、また、ある部分では私の期待は良い意味で裏切られました。
実際のハーバードカンファレンスでは主にレクチャー、パネルディスカッション、ケーススタディといった形で2014年のテーマ”Building Sustainable Cities”を扱いました。
まず、レクチャーとパネルディスカッションですが、日本の大教室で行われるような授業とほぼ同じ形式で、教授が黒板やパワーポイントを使い、講義をします。パネルディスカッションの場合は後半で3~5人のスピーカーが学生の前でディスカッションを繰り広げます。
私の印象に最も残ったスピーカーはオープニングスピーカーでもあったHarvard Business SchoolのMacomber教授です。教授は”Building Sustainable Cities”というテーマをどのようなフレームワークでとらえていくことができるか、という内容で講義をしましたが、何よりもその講義の手法が特徴的でした。
まず、世界の都市の様々な問題を提示した後、「自分がprivate sectorだとして、どのように水を扱う新しいベンチャーを立ち上げるか?」と質問を投げかけます。その質問に対して生徒は周りの人と2~3人で数分間話し合います。
そして、数分間がたつと教授はその場で出たアイディアを募集。日本ではここで躊躇する学生がほとんどで、あまり手があがらず、気まずい沈黙が流れることもままあるでしょう。しかし、ハーバード生や他のアジアの大学生は次々と自分たちの案を発表し、その発表に対して教授がコメント、そしてそのコメントに対してまた他の学生から質問が出る、というやり取りが活発に行われます。
授業の後半ではWater, Electricity, Householdの三つ観点で教室を分けて、再び生徒数人でその観点からどのように持続可能な都市を建設できるか話し合い、同じように発表・やり取りを行いました。
学生である私は「”interactive”な授業」というフレーズをよく耳にしますが、なるほどこういうことなのかとストンと腑に落ちました。最後に教授がパワーポイントを使って「いわゆる」講義をした際も、先ほどまで自分が話し合っていたこともあり、より主体的に聴講することができました。
終わった後、ハーバード生の友達に聞くと、「Business schoolの先生はみんなあんな感じだよ。」とのこと。
なるほど、さすが、これだけの密度の授業で一週間の時間割が組まれていたら世界最高峰の教育施設の一つには間違いない。
一番目のレクチャーが終わったときに私はこのように思いました。
しかし、その後ハーバードの他の学部、MITやTuft Universityの教授の様々なレクチャーを聴講して気づいたことは、全ての教授が『白熱教室』を展開できるわけではないということ。淡々とパワーポイント通りの授業を展開する教授もいれば、「イェールに比べてハーバードはこんなに良い!」というジョークを飛ばすユーモラスな教授もいる。パワーポイントもPhotoshopなどを駆使した非常に分かりやすいものから、1枚に何点もファクトが羅列されていて読みづらいものもある。決してアメリカだから、ハーバードだから常時飛び抜けて素晴らしい授業が展開されているわけではないのだな、と率直に感じました。
ただ、やはり東大に比べて双方向的な授業を展開する教授は多かったですし、何よりも、双方向的な授業に積極的に参加する学生の姿が印象的でした。あのように主体的に考え、クラスメートの前で発言するとき臆することのない姿勢はなかなか日本では見られないものでした。
上に述べた積極的に発言するという姿勢はケーススタディの際にもよく見られました。
ケーススタディでは10人以下のグループで過去のTEDの映像を見た後、そのトピックについて話し合いました。各国から1~2人の学生が参加したため、前半は各国の事情の説明といった形が多かったようです。たとえば、「持続可能性について自分の国ではどのような取り組みが行われているか」というトピックでは、トルコではそもそもそのような取り組みはほとんどない、一方で韓国ではリサイクル運動がとても盛んだ、など様々な話が聞けました。
また、個人的にはテーマ”Building Sustainable Cities”とは離れて、「政治的な自由はどこまで大切か(投票権など)」に関するディスカッションにとても興味をもちました。私は「衣食住が満たされていないときに投票権や発言権などを主張する人はいないだろう、政治的な自由よりも生きるための基本的な条件が先にくる」と主張したのですが、「そのような生にdignityはあるのだろうか」などという反論も受け、非常に刺激を受けながらディスカッションに参加することができました。
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どのアカデミックなプログラムでも感じたことは、積極的に発言する大切さ、そして積極的に発言できるだけの中身を自分で構成する能力の大切さです。
また、各国の学生と互いに刺激を受け、与え、学ぶという喜びを感じることができた点で、本当に素晴らしいカンファレンスに参加することができたと感じました。
次回は、culturalな企画の総括です。
お楽しみに。