歯科における感染防止策への取組み | 全国B型肝炎訴訟九州弁護団ブログ

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原告団と弁護団は、様々な活動を協力して行っていますが、本日は、その中から、意外と知られていない「歯科における感染防止策」についてご紹介します。

 

平成26年5月18日、読売新聞朝刊に「歯削る機器 7割使い回し 感染研調査 滅菌せず 院内感染懸念」という見出しの記事が掲載されました。

その記事は、国立感染症研究所の調査で、特定の県の歯科医療機関に対し、ハンドピースという口腔内で使用する機器(ドリルの柄の部分)について滅菌した機器に患者ごとに交換しているか質問したところ、回答のあった医療機関のうち、患者ごとに必ず交換すると答えた医療機関が34%にとどまり、残りの66%の医療機関が適切に機器を交換していないとの結果が得られたとして、歯科における院内感染対策が徹底されていないことの問題を指摘しています。

 

国は、上記記事が出た後の平成26年6月、歯科の院内感染対策の徹底を求めるための啓発を行うように都道府県宛てに通知を出しました。

 

全国B型肝炎訴訟は、幼少期の集団予防接種において注射器の筒・針が被接種者ごとに交換されることなく連続使用された結果B型肝炎に感染させられたという被害の救済を求める訴訟であり、医療器具の連続使用による感染被害の危険性を示唆する上記記事は、原告団・弁護団にとっても看過できないものでした。

そこで、原告団・弁護団は、平成26年8月に行われた厚生労働大臣との定期協議において、上記記事をふまえて歯科での医療器具の連続使用を防止するための施策の実施を求めました。

 

ところが、平成26年に通知が出された後、歯科における院内感染対策が進んでいるかの調査がなされていなかったため、原告団・弁護団は、平成28年7月の厚生労働大臣との定期協議において、歯科における実態調査を求めました。

実態調査がなされることとなり、その結果は平成29年5月に公表されました。しかし、そこでもハンドピースを患者ごとに交換している割合は52%にとどまっているとされ、2年前から改善したものの、院内感染対策が徹底されているとはいいがたい状況でした。

 

そこで、原告団・弁護団は、平成29年6月、歯科の院内感染対策の問題についてより多くの人に知ってもらおうと考え、東京で「歯科の感染対策を考えるシンポジウム~より安全・安心な医療を目指して」と題するシンポジウムを開催し、歯科の感染対策の現状と将来のあるべき姿について情報提供や意見交換を行い、標準予防策(患者が感染者であるか否かを問わず一律に実施する感染予防策)の必要性について確認し、同様のシンポジウムを平成29年11月に福岡でも開催しました。

 

また、平成29年7月の厚生労働大臣との定期協議では、歯科における標準予防策が徹底されるための施策を求め、塩崎泰久厚生労働大臣(当時)から、命に関わる重要な問題である、標準予防策100%実施のために今後も継続して必要な調査をすると約束しました。

 

平成30年度からは、診療報酬が見直され、歯科において、医療器具の患者ごとの交換(滅菌)が特別な加算ではなく、基本診療料加算の要件とされました。保険診療歯科において、標準予防策が実施されるべきことが制度の面からも位置づけられたということになります。

 

以上のような歯科における感染防止策に関する原告団・弁護団の活動を小冊子にまとめましたので、関心のある方は、下記URLからご覧いただければ幸いです。

 

■歯科パンフレット「安全・安心な歯科治療を目指して 先生、患者ごとに交換(滅菌)していますか?」のご紹介|全国B型肝炎訴訟弁護団

https://bkan.jp/dental_pamphlet.html

 

原告団・弁護団は、今後も、歯科における安全・安心な医療を求めて活動を行っていきます。

(九州弁護団 弁護士 井口夏貴)