臨床試験は、第I相、第II相、第III相と段階的に実施される。 
それぞれの目的は第I相が毒性、第II相が有効性の評価で、第III相で相当数(プラセボと500人ずつぐらい)の検証を行って、標準治療としての妥当性が判断される。 
妻が受ける第I相は、初めて人に投与される試験として、毒性の評価が行われて、人間の耐量がどれぐらいあるのかを、副作用のグレードによって判断されるものである。 
他国での治験実績があるし、今進行中の治験なのですでに受けられている方々の事例もあるのだが、最後のFOLFIRI療法11回目で副作用が今までいちばんひどくて、6日間も苦しんでいた姿を見るととても不安になる。 
第I相治験での治験関連死は平均で0.5%と言われており、標準治療の抗がん剤起因の死亡率に比べて大きくないが・・・ 
いずれにしても被験者の条件としては、全身状態のよい患者に限られているので、これから体調がよくなるように、いろいろなケアをしていきたい。 


有効性は、PFS(無増悪生存期間)とOS(全生存期間)を判断基準として、第III相ではプラセボ群との比較をする場合が多い。 
有効性があるか否かは、確率検定によって実施されて、p値という有意確率で判断される。 
抗がん剤に限らず一般的には、p<0.05がひとつの有意水準で用いられるが、これは生起確率が5%という意味である。 
たとえば、インフルエンザに罹った人が、100人中20人いる埼玉県と100人中10人の東京都の生起確率(片側)は、1%となり、有意差があるという判断になる。 
ただ埼玉県の人が東京とに住んでも・・・ 

抗がん剤の場合には、奏効率20%が閾値として設定されていると、20人中4人に対し、p値が5%以下となるのは、20人中8人となる。 
第III相治験では、検出力を上げるために母数が500人ぐらいにする。 
500人中20%の100人と比べると、120人の違いはp=0.01、135人でp=0.001、149人でp=0.0001となる。 
たとえば、ロンサーフの第III相試験の結果は、p<0.0001(つまり0.01%以下の生起確率)で、500人中、プラセボで100人、ロンサーフで149人の差ということになる。 
どちらでも効果があった人もいるだろうし、どちらかでしか効果がなかった人もいるだろう。 
ただ、プラセボのグループに入った人は、ロンサーフを受けた場合の結果はわからない。 
自分が、どのグループに入るかわからないのというのが実情だと思う。 
言えることは、効果がなくなったときに続けることには意味がないということだけで、そこが抗がん剤を変更するタイミングとなる。 

大腸がんの標準治療では、KRAS遺伝子型が変異型の場合、セカンドラインでは基本的には適用されない。 
たとえば、アービタックス+FOLFIRI療法とFOLFIRI療法では、PFSやOSは、アービタックスを加えたグループのほうが悪い結果となっている。 
背景因子によって偏りがある(差異がある)が出るのは、欧米人には効くが日本人には効かないとか、年齢によって差があるといったこともありうる。 
ロンサーフの場合では、KRAS変異型では野生型に比べると、効果が小さいことのほかに、過去のレジメン数が多いほど効果がある結果となっている。 
(過去のレジメン数が多いほうが、レジメン数が少ないよりもPFSやOSがいいというわけではなく、プラセボとの比較になる) 
このような差異の直接的な原因が何なのか、わかってくると、個別化医療に役立つのだろう。 


明日から三男の大学受験が始まる。 
受験校によって、倍率は異なるが、倍率が低いからといって合格率が上がるわけではない。 
模試のランクがDでも、前日にやったばかりの問題がでれば、合格することもある。(自分がそうだった) 
上の2人はもう1年受験勉強したが、果たして・・・・