二酸化炭素(CO2)濃度の上昇です。

温室効果ガスの種類はいろいろありますが、CO2は全体の76%(2010年時点)と大きな割合を占めています。



産業活動が活発になってCO2を大量排出したことで、産業革命以前と比べると、実に40%も濃度が増しているのです。


海面水温が世界的に上昇を続けている


地球温暖化にともなう海面水温の上昇も見逃せない状態です。

世界の海面水温は、1900~2019年の間で100年あたり0.55℃の上昇が記録されています。日本の近海はもっと深刻で、100年あたりの上昇幅は1.14℃です。

海面水温は海域や季節によっても左右され、一般的には大陸に近い位置の海面水温が上昇しやすいことがわかっています。これは暖流が流れていたり、陸地の気温に影響されやすくなったりするためです。
日本の場合、亜熱帯からの空気が偏西風に乗って北上する影響で、世界平均よりも大幅な海面水温の上昇が予測されています


水:飲み水がなくなる、洪水が増えるなど

気候変動の影響として、まず水に関する影響が挙げられます。
考えられる影響は複数ありますが、人々の生活に最も影響するのは、飲み水や生活用水が不足することです。
ほかにも、豪雨が降り洪水が増え、大きな被害が出ることが考えられます。

気候変動によって干ばつが起こり土地が水を蓄えられなくなると、激しく降った雨が蓄積されず、溢れたあと海へ流れてしまいます。また、温暖化によって高温になることで、土地から水分が蒸発し、また干ばつが進むという悪循環が生じるのです。

近年は、日本でも短時間の豪雨による被害が増えてきていることに加え、夏場を中心にダムの水位低下が見られるようになるなど、水不足の傾向も顕著です。





気候変動が進むと、人間の健康にも悪影響を与えます。


熱ストレスによる死亡者数増加


熱ストレスとは、生理的な障害が起こり得る温度のことで、35度以上かつ多湿の環境が目安です。

熱ストレスがかかると、熱中症になったり持病が悪化したりして死に至る可能性があります。

この熱ストレスによる超過死亡数(例年の死亡者数を超過した死亡者数)は、増加傾向にあります。

東京大学の橋爪教授による研究によると、今後対策をとらないのであれば、今世紀半ばから今世紀末までにすべての都道府県で、
暑熱による超過死亡数が2倍以上になるだろうということです(※1)。

さらに、
極端な気温差によって寿命が縮まっているとする研究結果(※2)もあります。特に体力のない高齢者や、持病を抱える人などにおいては健康リスクが高いといえるでしょう。
この点、超高齢化社会の日本は、熱ストレスによる死亡者が増えやすい状況です。

※1出典:公衆衛生分野における気候変動の影響と適応策|国立保健医療課学院
※2参考:Cold- and heat-related mortality: a cautionary note on current damage functions with net benefits from climate change|Springer Link


今後は、全般的に
屋外の活動時間が減少するかもしれません。
特に運動中に熱中症にかかりやすい10代や、作業中に熱中症にかかっている割合が多い成年男性は、活動が制限されるでしょう。



蚊やダニによる感染症の流行


気温上昇によって、感染症が流行しやすくなると予想されています。
冬の最低気温が上がって蚊が越冬したり、夏の最高気温が上がって自然宿主(寄生体と共生している生物)の生存圏が広がったりするためです。

温暖化によってリスクが高まる感染症は次のとおりです。
🔻
感染経路 感染症
ノミ、ダニ、蚊、げっ歯類、巻き貝 日本脳炎、マラリア、デング熱、ウエストナイル熱、リフトバレー熱、ダニ媒介性脳炎、ハンタウイルス肺症候群、ペスト、日本住血吸虫





水系汚染、土壌汚染 コレラなどの下痢症
出典:地球温暖化と感染症 いま何がわかっているのか?|環境省

日本では気温上昇によって
光化学オキシダント濃度が高くなり、光化学スモッグが発生しやすくなっています。

これによって
脳血管疾患・心血管疾患、呼吸器系疾患、循環器系疾患にかかるリスクが高まっています。