​抗老化作用の強い食べ物






『抗老化作用の強い食べもの』


 今日は、



抗老化、すなわちアンチエイジングのための一つの方法を紹介しようと思います。


 最初に、非常に大雑把ですが、


老化が進んでしまうときの機序について見てみることにします。



なお、「加齢」と「老化」はしっかりと区別して用いることにします。




 老化を進める要因は多くあって、互いに影響し合っていますので、これだけを攻めればよいという単純なものでは無いようです。そのため、あるものが原因なのか結果なのかを判断することも非常に難しいと言えます。そのような中で、原因でもあり結果でもあり、悪循環をもたらしている現象の一つに、「NADの減少」というものがあります。


 NADは、学校の理科の授業では、細胞がATPを産生する場合に種々の酵素反応の補酵素として働いている、ということを学ばれたことでしょう。


これは、実際のところはNADの役割の一部であって、他には伝達物質として働いたり、DNAの修復に際して働いたり、寿命にも関わるサーチュインとも関わっていたり、他にも色々とあります。



そのため、NADが減ってくると、生命活動の多くの場面に支障が生じるようになって、老化という現象を引き起こすことにもなります。


 NADが減少する大きな原因の3つを図の左上に挙げておきました。


則ち、1つはNADを合成する酵素の活性低下、2つ目はNADを分解する酵素の増加、3つ目はNADの消費量の増加です。


要するに、加齢とともにNADが作られ難くなり、作られたとしても分解され易くなり、消費量も増えてしまうということです。



そのような状況ですから、この3つが合わさると、体内におけるNADの存在量が若い頃に較べて大幅に減ってしまっても不思議ではありません。




 今日ご紹介するのは、そのうちの2つ目に挙げた、「NADを分解する酵素の増加」を少しでも抑える方法についてです。


 この酵素はCD38と命名されているものであり、もちろん無くてはならない体内酵素なのですが、加齢と共に増加しやすい体内環境になっていきます。


そして、

増加の引き金を引いている最大原因と言えるのが、慢性炎症です。



 炎症の原因は、病原性を持つようなグラム陰性菌の増殖もあるでしょうし、酷使して障害を負ったり、自己免疫疾患が原因の慢性炎症もあるでしょう。


或いは、


代謝率が低下したために脂肪細胞が膨らみ過ぎて炎症を起こしていたり、体の随所に老化細胞が増えて多くの炎症性サイトカインが放出されていることが原因だという場合もあることでしょう。




 そして、そのような慢性的な炎症の部位には、


マクロファージや種々のリンパ球が集まってきており、そのような細胞が多くのCD38を分泌します。




 掲載した図を引用しましたように、

CD38はNADを別の物質(cADPR)に変えてしまいます。


この物質ももちろん生体にとって必要なものなのですが、必要以上の量が作られてしまい、その分、NADが過剰に減ってしまうことになります。



 その原因を作っているのが、NADをcADPRへと変換するCD38の過剰です。



なぜ過剰になるのかと言えば、


上述のとおり、CD38を分泌する炎症性の細胞が大幅に増えるからです。



 なお、実験的にCD38に結合する抗体を使ってCD38をブロックしてやると、NADが確実に増加することが確かめられていますので、CD38の増加がNAD減少の大きな原因であることが判っています。


 CD38の増加によるNADの減少を防ぐ方法の一つとして、今日ご紹介するのが、アピゲニンという天然成分です。




 アピゲニンは古くから研究が進んでいて、他にも様々な生理的効果を示すことが報告されています。例えば、抗がん作用、抗酸化作用、抗ウイルス作用、抗菌作用、血圧低下作用、抗炎症作用などが有名なところです。そして今日注目するのが、CD38を阻害する作用です。




 アピゲニンを植物から採り出して高純度のものにすると、それのCD38阻害作用は非常に強いものとなって、却って危険なものになる可能性がありますが、これが含まれている植物を食する程度なら、CD38を緩く抑制するレベルのアピゲニン量になると思われますから、抗老化にとっては理想的な方法になると考えられます。


 

 アピゲニンが多く含まれている植物は、掲載した図の右下にも挙げておきましたように、セロリやパセリには比較的高濃度に含まれており、



 他にはアーティチョーク、カモミール、タラゴン、バジル、コリアンダー、オレガノ、タイムなどのハーブ、赤ワイン、リンゴやチェリー、ブドウなどにも多く含まれているようです。


 考え方を変えるならば、



私たちは上記のような植物を食べ、


それによって一定量のアピゲニンが入ってくることを前提にしてCD38の産生量が決められてきたのではないかと思うのです。



則ち、食べものによって緩く抑制がかかっているのが本来の姿なのであって、



ひいてはそれによってNADの過度の減少が防がれるようになっているのではないか、ということです。


 だからこそ、アピゲニンを含む植物を毎日のように食べていれば、抗老化効果が大いに期待できるということになります。



世の中には、老後に病気と無縁で、


100才以上生きれる人が沢山います、



老化の速度を遅らせ、健康寿命を伸ばすことは、多くの人にとって1番の願いなのではないでしょうか。





山田豊文先生 Facebookより