はじめに、自分がアンコンに出場するのに際しSNS等を筆頭に外部に情報が漏れないようにしていた。理由はいくつかあるけれど今回はTSBで出るので同じ地区から出る速フラのチームへの遠慮というのが一番になるかな。速フラの方は金5と金8とバリチューの3チームが出ている。バリチューなどは特に『同僚』であるので私に一言も声を掛けずに出るのが気に入らない…いやいや対立するのは心苦しかったが、出るとなったら全力を尽くすというのが我がモットーなので練習にも精力的に参加。録音機などを駆使して練習後のフィードバックに尽力した。チームTSBはずっと出続けているベテランから私のように新参者までいるのだけれど、今回は新参者が4名という事でフレッシュな気持ちで臨めるという事になるのかな?しかし新参者と言っても各自いつもの持ち場の自分のパートだから慣れているとは思う。ちなみに正式なBaritone奏者が出るのはTSBアンサンブル史上初らしい(笑)

芸創で音出しした後会場入りした。楽器置き場のロビーにいると知り合いが続々やって来たので挨拶。特に速フラの方々には新年のご挨拶から(笑)しかし口々に『何でおるん?』と言われる始末。これは半分は狙いが当たっていて情報管理の成果だ…ただ、私が他から出る事に関しては別にどうでも良いという感じ(汗)ちとつまらん…それにしても富山地区は知ってる人がたくさん出る。ロビーにたむろっていると今からコンテストという感じがしなかった。

 



そのうち職場・一般の部が始まったのでホールに入って聞く事にした。トップバッターは速フラの金5で昨年度の全国大会出場チーム…実力者が揃っているのだけれど、曲が少々難しいなと思った。次はミナミの金8で、金5と比べると華やかに感じる。曲も現代的で演奏も良いのだけれど、ソロに頼り過ぎかな?という印象を受けた。まあそのソロが上手いのだけれど…聞いたらホールを出る。みんな実力者…そんな中で自分らってどうなのだろう?12団体出るから代表は4団体…その4団体に残れるのか?しかしどんな結果になろうと我々のベストを尽くすだけだと音出し部屋で確認した。私はひとつの話を切り出す。先週の本番で感じた事で聴いて貰えないのは心が折れそうになるけれど、今回は審査の対象として聴いてくれる人が客席に座っている。とても嬉しい事ではないか…みんな先週出ていたからこれは大いに共感を生んだ。本番前は緊張する。そういう時にどういう言葉を掛ければより本番で本来のパフォーマンスを発揮できるか?そういう事を考えたらいやらしいかな?だけれどそういう小技を使ってでも良い演奏がしたいんだ。

舞台裏…前の団体の演奏が流れている。速フラの金8でおかざきさんが率いているチームだ。アンサンブルで定番のガブリエリの曲を丁寧に作っている。綺麗な演奏だった。我々はあれに匹敵する演奏が出来るのだろうか?しかし不安はそんなになかった。そして我々の番が来て冷静に椅子の位置を変更し着席し顔を見合わせる。先日のホール練習のイメージが頭に入っているのは有難かった。演奏開始を待つ時間が長く感じる。この曲は最初が肝心…練習で研ぎ澄ましてきたものを発揮できるようやまざきさんを凝視する。ベルが上下に揺れ演奏スタート…

曲はエピック・シンフォニー…ブラスバンドの古典になるかな?昨年の演奏会で取り上げたホルストのムーアサイド組曲とかもそうだけれど、だいたい100年前ぐらいに作曲されたもので、著作権とか切れていて楽譜はWebでDLが可能なのかな?それをE♭Cor、B♭Cor、FlHr、TnHr、Bari、Euph、Trb、E♭Bassの金8に編曲している。練習を始めた頃は3楽章のみをカット無しだったけれど、若干持ち時間が足りないので1楽章の前半と3楽章の中間を除く部分を繋ぎ合わせて演奏する。1楽章の冒頭はドラマチックでインパクトがある。ただし6連符とかピタッと揃えるのはなかなか難しい。トロンボーンのソロが終わったら3楽章へ飛ぶ。静かに始まってテンポ良く且つ転ばないように徐々に大きくなりブリティッシュなムードたっぷりの世界が広がるといった感じかな?100年前の曲とは思えないほど手が込んでて吹いてて面白い。

私はいつもは冬眠している時期だけれど精力的に練習に参加した。今日出来なくても次は出来るようにどうすれば良いか?そういう事を考えながらいろんなトライをしてきた。正直なところ10月のコンサートの後で自分の演奏に対するふがいなさを嘆いていたけど、一度積み木をバラバラにしてからまた積み上げるようにして今日を迎えたと思う。本番もまたひとつの実験と考えて臨んでいる。たった4分半の演奏だが緊張はない事もない。というか緊張を抱えながら普通に演奏するのが私の今回の一つの課題だったけれど、その点は上手く行った。ただ本番中に息が遅いと感じた事があった。若干消極的な意識になっている?これは感じた瞬間から修正を試みた。そしてあっという間に終演…起立して客席に向かって礼をしたら拍手が帰ってきた。よかったよかった…

写真撮影の後楽器置場に帰ってくると聴いていた方から『良かったよ』とか評価をいただいた。審査員とはまた評価が違うのかもしれないけどとても有難い事だ。なお表彰式等は無く結果が出るのも後なので他の団体の出演者は徐々に帰って行く。そんな中我々は残っていた。どんな結果になっても『飲みに行こう』と言ってたからだが、そのうちリザルトが届く。なんと…

金賞・代表・1位通過

というものだった。これはなかなかビックリした。客席で聞いたアレより舞台裏で聴いたアレよりも(←両方とも代表だったが)点数も勝ち点も上だというのは信じられなかった。脳裏に昼に家を出る時に長男が言っていた言葉を思い出す。

『パパ勝ってきてね』

息子よ、勝ったぞ…1等賞だ!また今後も練習などで家を空ける事が多くなるけれどまあどうなる?という事で早速自宅へ電話した(笑)

そのまま飲みに行く。予約もなく総曲輪の新しいビルの焼鳥屋へ入った。私は電車で来たので生ビール…これがとても美味しかった。練習でとても苦労したという事はないけれど、みんなで試行錯誤していろんなアイデアが出てそれを実践したり、久しぶりにたくさん吹いている感じがした。努力は報われた。しかし次はまた強豪が増えるので油断は出来ないし、他も伸びて行くので簡単にひっくり返される恐れがある。今回の演奏をしっかり分析してまた次に向けて練習しないとね。

 


勝って兜の緒を締めよ。

 

帰宅すると長男のメッセージがあった。嬉しいね・・・