人は誰と一緒にいるかにより作られます。人との出会いが刺激になり、豊かな思想が培われます。なので、人生において人との出会いは最も重要な出来事です。出会いというのはただ、話をするだけではなく、その人とどれだけどのような時間を使うかにより価値あるものになります。特に一緒に生活をすると、表面的な付き合いではなく、本質が見えてきます。その本質との出会いが特に大きな刺激であり、人格形成に影響あるものになります。

 

我々が最も大きな影響を受けるのが家族です。それは血のつながり以上に最も多くの時間を一緒に過ごしているからです。そして家族は一つの組織であり、独特のカルチャーがあります。そしてそのカルチャーは家族により異なります。外国(異文化)になるとその違いは非常に大きなものになります。そしてそのカルチャーの中にその国の文化のベースを見出すことができます。そんなカルチャーの中に入っていけるのがホームステイです。今思い起こしてみると、私は学生時代に6つの国、20件近い家庭にお世話になっています。そこで培った異文化IQが、コンサルプロジェクトで、色々な外国のスタッフを使ったり、色々な国の社員とつながりを持つのに役立ちました。異文化の国に行き、その国の人と一緒に暮らすことはその国の文化や価値観を学ぶのに一番です。それが理解できるからこそ、リーダーシップの重要な要素であるEMPATHY(協調、相手の気持ちがわかること)が自然に生まれ、適切な接し方というのができるようになっていきます。グローバルリーダーを目指す人にとってその異文化理解は不可欠であるので、ホームステイプログラムに参加することはMUSTだと思います。ホームステイは若い間は、自分の子供のように受け入れてくれますが、年を取ると、ただの居候のようなもので、意味合いが薄れます。なので、大学生の皆さん、若い時期に、そしてホームステイとして受け入れてくれる年齢で海外でホームステイを経験することを是非とも優先してください。(くだらない企業インターンに行くより1000倍もの価値がありますよ!)

 

ホームステイプログラムで起きる問題の原因

ホームステイは日本人学生に以前から人気があり、私の学生時代から多くの学生がアメリカやオーストラリアなどのホームステイプログラムに参加しています。ただ、その多くはAgentを通すだけで、選択肢はなく、あたりはずれがあり、全員が良い体験をできるとは限りません。私は過去、ホームステイ先でホストファーザーに性的な暴行を受けたり、お年寄りや子供の世話をさせられたり、異常にお金にこだわる家庭に滞在したり、拘束が異常にきびしかったりと、せっかくの海外経験があまりよくない体験にならなかったケースについてもよく話を聞かされます。問題があっても、それらはあまりおおごとにしたくないということで、問題として取り上げられることが少ないので、知らない人も多いかもしれません。なので、ホームステイを考えている人は、「問題がある」ということをしっかり理解してからプログラムを選ぶべきです。まずは、ホストファミリーが「なぜ、ホームステイを受け入れるのか?」ということをしっかり理解しなければならない。そもそも上記の問題が起きるのは、ホストファミリーの受け入れ理由が「お金を稼ぐため」=「異常にお金にこだわる」、「子供やお年寄りの世話をしてもらうため」=「子供やお年寄りの世話をがっつりさせられる」、「日本人の女の子に興味がある」=「性的暴行を受ける」といった、ホスト側の受け入れ理由段階ですでに問題があります。私自身学生時代にロータリー財団の奨学金でジョージタウンに留学した際に、夏の英語のプログラムもついてきたので、そこでホームステイを希望しました。その家庭はいかにも「お金の為」というのが明確で、私以外にイタリア人、スペイン人2人、コロンビア人もいて、全部で5人もステイしていました。シングルマザーで、その人の恋人(?)らしき人が出入りしていて、子供も3人ほど出入りしていましたが、一緒に食事をすることもなく、あまり会うこともありませんでした。洗濯をするのはなぜかランドリーマットで、家の洗濯機は使わせてもらえませんでした。(夜、ランドリーで拳銃を持った少年たちにからまれたこともありました)。食事はいつもマクドナルドやピザハットなどのTake Outを同じホームステイ仲間だけで食べるというものだったので、ステイしていた仲間全員文句を言っていました。ある日、「デモをしよう!」ということになり、全員で裸になり、Body Paintで”We want homemade food!” と書いてホストマザーにアピールをしたことがあります。すると、「私だって料理できないわけじゃないわ」と言い、その夜はパスタを作ることを約束してくれました。イタリア人もいたので、楽しみに料理をみていたら、パスタをゆでて、次に缶詰をあけ電子レンジであっため、それをどばっとかけたパスタが出てきました。それを見ていて、全員目が点になり、もう食事で文句を言うのをあきらめようという雰囲気になりました。それ以外にAgent経由のホームステイをした経験はありませんが、そもそも、ホームステイを受け入れるのそれぞれの家庭には事情があり、その事情により体験は変わります。なので、ホームステイをする際には実際にはそのプログラム運営側でそれなりの選考と、コーディネーションが必要になります。でも英語学校など、ホームステイを中心にやっていない団体などでは、とりあえず宿泊先としてのホストファミリーを集めるということを優先するので、選択の余地がない、申し込みがあれば自動的に認める的な形でのアレンジになってしまう傾向があります。

 

良いステイ先の見つけ方

ホームステイはホテルやドミトリーに泊まるのとは違い、家庭に入っていくというもので、簡単ではありません。そしてその家庭環境が自分の成長には欠かせないので、しっかりと良い家庭を見つけるのが重要です。

 

1)友達の家に泊めてもらう

一番良いのは、友達の家に泊めてもらうというオプションです。私は学生時代に日本人の友人より外国人の友人の方が多いぐらいだったので、彼らの家を泊まり歩きました。前述したアメリカでのホームステイ仲間のスペイン人やフランス人などの家にも泊めてもらいました。受け入れ側でも、「息子の友達がくるんか、なら泊めてやろう」となるので、前述した「受け入れ理由」に不純なものはなく、友達も一緒なので、楽しく安心して泊まれます。なので、これはいつの時代も持つべきものは友達です。皆さん、外国人の友人をたくさん作りましょう。

 

2)どの都市、地域に行くか精査する

ホームステイは家庭に入るということ以外に、その家庭がある、国、地域、町、コミュニティーに入るという意義があります。なので、どこに行くかによりその体験は大きく異なります。アメリカのホームステイの場合は田舎に行くことがよくあります。田舎の方が治安もよく、他の外国人も少ないので「英語がしっかり学べる」と妄想を抱く人もいるようですが、そのダウンサイドとして、田舎なので退屈、人が少ないのでホストファミリーだけの時間だけが増える。ということがあります。前述した通り、ホームステイを受け入れる家庭にはそれぞれ事情があるので、田舎にいったからといって、その事情が変わることはありません。性的な暴行を受ける場合などは田舎の方が、見てる人が少ないのと、家庭にどっぷりつかってしまうということで、エスカレートするリスクさえあります。ただ、ホームステイに行くというより、大学でクラスを取ったり、スポーツやアートを学んだり、ボランティア活動をしたり、インターンをしたりといった何らかの価値ある体験を組まないと、田舎でただ退屈な日々を過ごすだけにお金を払うだけになるのでそれは無駄です。更に田舎のホームステイの方が実際にはコストが異常に安いので、同じ費用を支払うのであれば都会のホームステイの方が得です。同じ価格でニューヨークのマンハッタンでホームステイがあれば、それはかなり「お得」です。アメリカの場合は、都市部と田舎で住宅の費用は10倍以上異なります。更に食費なども都市部の方が高くなります。田舎のホームステイであれば、格安の費用でできなければおかしいのです。更に、都会にいた方が仕事について学べる機会が増えます。大学生にもなれば、就職に向けたスキルアップや自分のキャリアのチャンスについて考えるべきなので、田舎でホームステイをするより、都会で実際の仕事をしている人の家庭に世話になりつつ、インターンなどもさせてもらえればさらに価値が高いものになるでしょう。CVSでもホームステイプログラムの延長で、ハリウッドの特殊撮影の仕事をまわしてもらったり、インターンをしてアメリカで1年間働いたのちに、その会社の日本支社の内定をもらい日本に帰国した人もいます。そういったキャリアでのきっかけになるようなチャンスのあるホームステイ先であれば貴重な体験になるでしょう。CVSでは大学の副学部長の家や、アメリカでコンサルティング会社を経営する私の昔の同僚の家庭、学校の教員家庭など、刺激ある家庭をアレンジしています。だからこそ良い体験ができるのです。

 

3)信頼できる団体にアレンジを依頼する

英語学校などビジネスで外国人を受け入れる団体などがホームステイをアレンジすると、ビジネス=お金ということで、お金目的のステイ先になってしまうことは自然の流れです。更に、ただ宿泊させてもらうことを優先するので、ひょっとしたら、若い女性に興味をもっている変なおじさんがいる家かもしれません。これに関しては各家庭をよく知り、更にトラブルがないようにモラル的にチェックができるような団体が理想です。アメリカは75%がクリスチャンであり、教会に毎週行くような家庭はモラル的にもしっかりした、良い家庭が多いので比較的に安心できます。更には受け入れる子供も教会で責任をもって受け入れてくれるので、フォローもしっかりしています。但し、教会としてはホームステイのアレンジをする「目的」が必要になります。なので、英語学校のように「営利目的」だとその理念と合致しないので、協力をすることはあまりありません。CVSの場合は、長年の歴史でCHURCHと良い関係があります。アメリカの異文化を理解するという観点で教会に行くことを勧めているので、教会も協力的です。そして本来、ホームステイなどを受け入れなくてもよいような裕福な家庭でも受け入れてください。キリスト教の発想(ローマ人の手紙12:13)で、「自分の家庭に人を招こう!」「旅人をもてなそう!」という理念で家庭に迎え入れてくれます。日曜日には教会ぐるみでイベントをしてくれたり、週末には近所の人を招いてBBQをしたりといったホームステイ体験としては「最高」の環境を提供してくれます。(ただ、それにつけこむずうずしい学生がいると、問題ですが…それに関しては次回の「ホームステイに行く人の注意事項」に書きます)

 

4)ホームステイと学習プログラムを合致させる

前述した通り、ホームステイは異文化IQを高める貴重な場です。但し、英語学校など、ただの宿泊先としか考えていないので、せっかくのホームステイのチャンスを十分活用しきれていません。英語の世界で、異文化の環境に入ってどっぷりつかるので、英語がうまくなるというのがホームステイプログラムの魅力です。私もスペインやフランスで学生時代ステイしたのですが、第二外国語はドイツ語だったのですが、スペイン語やフランスがある程度はなせるようになりました。ホームステイの環境の力は偉大です!でも、せっかくホームステイしていても家族と話をするチャンスがあまりなかったりすると、それは環境を生かし切れていないことになります。CVSでは、Mission(課題)で、ホストファミリーと難しい議題に関する議論をしたりすることをやってもらいます。難しい、取り入った課題であるからこそ、日ごろから良い関係を築けていないと難しい課題などもあります。当然、我々の方で事前にホストファミリーにはそういった議論をするように、食事の際に一緒に話をしながら食事をするようにとお願いしています。だから短期であっても、コミュニケーション能力が増すのです。人の家にどれだけ長く泊めてもらったからといっても、コミュニケーションがなければ、何も自分の成長にはなりません。しっかりと成長を意識したコミュニケーションを日々とることで、能力はつきます。

 

ホームステイ奨学金

前回のブログにも記載しましたが、CVSでは今回特別に奨学金を出して、ホームステイ体験をしてもらいます。今回の記事に書いたことを意識し、しっかりとそのチャンスをものにする、魅力的な大学生を探しています。LAで20日間、昼間はビジネスのクラスと小学校でのボランティア活動ができ、魅力的なロサンゼルスのホームステイ先で 99900円とはありえない金額です。(その分奨学金で負担しています)。是非とも魅力的な人を紹介してください。

 

最後に

私の学生時代のホームステイ体験の写真をいくつか文中に貼っておきました。私の人格形成にかくことがない、貴重な体験でした。ホストファミリーの皆さんにとても感謝しています。

アメリカは、ホームステイのメッカ、世界中から人が集まります。最近ではヨーロッパ、中国、ラテンアメリカからの学生などがかなり増えています。それだけ、アメリカのホームステイプログラムの価値が世界で評価されているのです。CVSでは、これからの国際社会で活躍するビジネスマンを育成する支援をしています。どうかこの機会を利用し、アメリカでのホームステイを体験してみてください。これは大学生の時にしかできない貴重な体験です。