US CPA
CVSの参加者でビジネスを心がける人には私は米国に短期留学しUS CPAを取得することを勧めています。その為の奨学金もCVSで出しています。その理由は以下の通りです。
• 英語と会計というビジネスで不可欠かつやや時間がかかるSUBJECTを同時に勉強する時間の投資効果の高い短期育成プラン
• US CPAの試験は不必要に難しくなく、非常にフェアな問題が適度なレベルで出題されるので試験勉強の学習範囲が適切なので会計学習の網羅性がスキルとして適切
• US CPAは世界で最大の株式市場であり、日本の大手企業も多数上場しているアメリカの株式相場という世界最大の価値を有する市場での会計資格なのでその価値(意味合い)が大きく、将来的に継続的に価値がある資格
• US CPAは各種の新しい制度を世界に先駆けて導入しているので、新しい会計、そしてビジネスの世界の動きを理解する機会となる
• GREEN CARDなどを出してもらい、米国のビジネスのメインラインで働くきっかけとなる資格なので、将来的により高い報酬を得れるキャリアパスとなり得る
• そしてなんといっても、短期での習得と試験をパスすることが可能な比較的簡単な資格である(私は1日10分程度の投資で1年程で取れました)

CVSの春夏のコア期間では、そういった会計学をみっちりと勉強すること以上に経営のサイドから会計のデータを感覚的に理解し、経営判断をする能力を育成します。なので、今回の会計セミナーもその焦点は全体像を理解することにあり、米国CPAを取得するためのものではありません。経営者の立場からの会計の理解はテクニカルなもの以上に、会計データの活用がその焦点であり、会計データを理解し、同時に会計データをどう経営判断に活かしていくかがポイントになります。CVSでは期間中、1週間を1会計年度とし、帳簿をつけ、会計監査を受け、アニュアルレポートを出し、ビジネスプランを説明しつつ株主からの質疑に答えるというルーチンが毎週あります。会計はあくまでも過去の報告であり、実際に戦略的に重要なものは、付加価値創造にあります。会計のデータから会社の状態を包括的に理解し、どのように付加価値創造ができるようになるのかをコア期間に学習するために、事前期間に会計は終わらせておく必要があります。そして私は会計はやり方によっては短期で終わらせることが可能だと信じています。今回は会計を経営の立場から短期的に学習する要領を紹介したいと思います。

効果的な会計学習の3ステップ
CvsではUS CPAを取ることを奨励していますが、それはゴールではありません。会計試験をパスしたから会計を身に着けたとはいえません。というのも試験はテクニックであり、実際の会計を生きた経営のツールとして使うのはまったく別の次元のものだからです。なので、会計を生きたものとして使えるようにし、同時に短期的に体系的に会計を理解するのには以下のステップを推奨します。

ステップ1:会計の基本原則の理解
会計は法律と似たようにルールです。そしてすべてのルールにはその理由付けがあります。法律を理解するにはただ単に法律を暗記してもだめです。というのも法律にはそれぞれ倫理的、社会的、哲学的な歴史があり、その意味付けの中には人間社会の社会秩序を保つガイドラインがあります。会計原則はビジネスの進化とともに複雑化しています。その末端のみを理解することは学習する範囲を広げ、同時に分散した学習になってしまうため混乱を招きます。むしろ、そのルーツと背景を体系的に理解することにより、それぞれの細かい項目の全体における位置が理解できるので、そのような学習方法が効果的なわけです。会計を知る際に最初に知っておいたほうが良いと思うのが、GAAPが規定する以下の10原則です。
• Principle of Regularity: 会計の仕方が法や規則に沿ったものであること
• Principle of Consistency: 一貫したやり方で会計をすること
• Principle of Sincerity: 高い倫理を持ち、正直に会社の財務状態をありのままに記帳すること
• Principle of Permanence of Methods;同産業の他社などが一般的に用いる共通の方法に基づき会計をすること
• Principle of non-Compensation: Conservatism (保守性)の原則といわれ、財務状態に関しては資産や売り上げを多く見せる会計ではなく、なるべく保守的に帳簿をつけること。
• Principle of Prudence: 現状に沿った会計をすること。例えば、売り上げは確実性が高くなければ認識をせず、費用は可能性があれば認識をするようにすること。
• Principle of Continuity: 組織が存続することを原則とし、資産などは基本取得価格で記帳すること(市場価値が簿価より低い場合は調整する必要があるが…)
• Principle of Periodicity: 適切な期に会計のトランザクションの入力をし、複数期に渡る場合は、適切な配分方法で費用、コストなどを期別に割り振ること。
• Principle of Full Disclosure: 重要性がある(Material)情報は開示されなければならない。
• Principle of Utmost Good-Faith: 情報信頼の原則。ステイクホルダーに公開される情報が正しいということを原則とし、問題があった場合にはその責任は情報を出した側にあるので契約不履行となる(保険などに使われる原則)

これらすべてにはそのルーツがあり、理由があります。これを学習するのは法律というものを体系的に理解することが重要です。

法律のルーツと会計法

日本の大学では「法律学部」というのが学部レベルでありますが、アメリカでは大学院で専門科目として学習するものです。実際大学レベルで法律を学び、弁護士になるには法律の背後にある倫理などを深く理解するのは難しいし、法律を勉強した人がビジネスの世界でどう役に立つかは疑問です。商法のルールを公認会計士が、仕事をする上で必要なスキルとして知識で知っておく程度の学問で十分ではないかと思います。そもそも法律は政府が出し、社会秩序を守る基準となるべきものです。それ以外のローカルや会社などの規則というのは全て大枠の法律体系の中に存在します。なので、法律といっても、犯罪法(Law)、国際法(International Law)、憲法(Governmental Law)、民事法(Tort Law)、商法 (Business Law, Contractual Law)など様々ですが、それらの基本原則として社会秩序を保つ倫理の枠組みがあります。会計の法律は商法の派生で、現代の社会生活の中におけるファイナンスの重要性が増したので、その内容がより細かく、より複雑になってきたものです。私は神学校でOld Testament(旧約聖書)のLAWについて学びましたが、一見どうてもいいと見過ごすレビ記などにある、Food Law(食事の法律)、Circumcision(包茎手術?)などもその歴史的な背景からすると重要性があり、意味づけがわかってきます。特に10戒などの記載がある旧約聖書は現代の法律のルーツにもなっていますが、そのLAWは今から3000年前の社会状況において効果があり、Tribal(部族)からNation(国家)ができる変遷期にある要素が見て取れます。そういった歴史的な重要性のみならず、その中に見れる人間が自己中心に考える傾向があるHuman Nature(SIN)の社会的な意味合いについても見ることができます。そのHUMAN NATUREの部分は普遍であり、会計の法律を見る際にもそのHUMAN NATUREのコントロールをする要素を見て取れます。それが上記の会計10戒のベース意もなっています。まず、会社のマネジメントの立場に立ち、その立場でのHUMAN NATURE的な罪はどのようなものがあるか考えてください。通常は資産を大きく見せることにあります。バランスシートのベースは総資産(Asset)=総負債(Liabilities)+総資本(Owner’s Equity)であり、その数式の中で総資本をいかに大きく見せるかが、会社のマネジメントが自分のリーダーとしての存在価値を示し、裏付けるデータになります。そうすると会計のルールはそれをコントロールするために資本に関しては保守的に、必要以上に大きくしないコントロールの流れがあり、負債に関しては必要以上に小さくみせないコントロールの流れがあります。なので、会計監査をする際には、資産に関してはその実存性と価値判断、負債に関してはその網羅性とその価値判断がポイントになります。そういった基本概念をベースに会計の仕組み、ルールを理解すると、ただ単にルールがどう言っているかというより、目的や意図を意識した会計の仕組みの理解をすることができます。新しい法律の動きなどは常にここが原則となるので、会計の流れについていくにはその基本原則を知っておくことが重要になります。

ステップ2:バランスシートアプローチ
複式簿記は会計における画期的な発明です。大航海時代に発明され、それが現代会計の母体になったといわれています。その制度のポイントは総資産=総負債+総資本というバランスシートと、期間の期首と期末のバランスシートの違いがPL(損益計算書)に反映されるので、帳簿の抜け道がなくなったと言う事です。監査法人トーマツの創業者の富田さんが御生前のときに仕事の関係で何度かご一緒したのですが、その富田岩芳さんは海軍経理学校のご出身で、その際に「日本軍は複式簿記ではなかった、日本はあらゆる意味でアメリカに対して遅れていたのに戦争をしたから負けたのだ」とおっしゃっておられました。会計の世界では信頼性が全てであり、制度自体が信頼できないもの(シングルエントリーの帳簿)だとしたら、それだけで判断における効果と効率がダウンします。第二次大戦の日本は1944年にはすでに敗北は見えており、国家としての正しい状況判断をしてそこで降伏していれば、1945年に悲劇的に日本国民の一般市民の多くが殺させる悲劇を回避できたと思います。その状況判断ができなかったことが一番のリーダーの罪だと思いますが、仮にリーダーが必要なデータがなかったらどんな優秀なリーダーであっても判断はぶれます。裏付けがないまま思想に洗脳されてしまうことはリスクです。思想やカルチャーで影響力を従業員に与えることは会社のリーダーでもします。でもそれにデータの裏づけがないと悲劇を生む間違った判断をしてしまうこともあります。そういった意味で会社の状況を正確に把握する複式簿記の会計データの信頼性と経営判断における関連性は経営における基本です。

経営というのはこのバランスシートに記載されているリソースを活用し、資産と資本を増やしていくということがその手腕の見せ所です。それ故、バランスシートを理解し、経営をどうバランスシートに反映させるのかといったビジョンがその人の起業の力です。なので、経営者にとってバランスシートのバランスをどう動かすか、どのようにしてバランスシートの右下のRETAINED EARNINGSを増やしていくのかという視点が重要になっていきます。それが、直感的に理解できる水準になるとその人の経営IQは高いことであり、帳簿の間違いも感覚的に見抜いたり、悪い意味では帳簿をCOOK(料理)できるようになります。

ステップ3:ビジネスサイクルとバランスシート
次には、バランスシートの中身をグループ化してその特性を理解することです。会社は常に動く活動体であるため、バランスシートは日々変化します。なので、それがどう動くかのパターンを理解し、同時にその動くパターンを形作ることが経営です。それらを以下の項目に分けてみていきます。
1)Current Asset(資産の左上)
CASH, AR, AP, INVENTORY:これらは企業活動のコアが記載されています。この背景には営業サイクル(Order-Shipment-Invoice-Receipt)、購買サイクル(Order-Purchase-Receipt-Invoice-Payment)、あるいは製造サイクル(Demand-MRP-PP-Production-Supply)という重要なビジネスサイクルがあり、そこでどれだけの効率(回転率)を担保し、効果(粗利率)を出せるかが会社の「力」になります。なので、ここでの判断は回転率と粗利率、そして最後に健全な水準の現金を維持するに能力になります。
(長くなったのでここから先はテキストに記載します)

会計セミナー
日本は涼しいですね。そしてなんとなく元気がないですね。活力があることは成長のポテンシャルであり、エネルギーがないと何も起きません。CVSプログラムに参加する皆さんにはそのようなエネルギーを期待します。就職面接においてもエネルギーが重要になります。人間のエネルギーは「希望」「やる気」「健康」から自然に出てくるはずです。どれが足りないのかわかりませんが、なんとかエネルギーを出してもらいたいです。

私のセミナーはいかに短期間でビジネス体系的に理解し、感覚的に「ビジネスセンス」を工場させることにあります。それは学習効果の効率性であり効果性です。会計に関していえばそれは算数の基本的な掛け算のように早めに終わらせてしまったほうがいいと考えています。というのも、そもそも会計は職人の世界のものであり、何年もかかって座学するものではないと思います。やっている内容も複雑ではありますが、会計自体はビジネスの中で付加価値を創出するものでもないし、むしろ会社という組織を操縦する際の各種メーターのようなものです。なので、なるべく早く学習を済ませ、むしろ操縦すること(経営)についての学習に力をいれてもらいたいと思います。ただ、会計を知らないと、先ほど説明した裏づけのある正しい経営もできないので、会計を習得することはMUSTです。アメリカも日本もSOX法案で、経営者の会計データに関する信頼性を証明することは法的にも求められており、CVSでもCクラスになる人は全員CVS-SOX法案の規定で、会計試験をパスした人のみに与えられる特権になっています。

皆さんがんばってください。本日は大阪で国際ビジネスのエントリー戦略のセミナーがあります。皆さんとお会いするのを楽しみにしています。
アメリカのビジネス界で異彩を放つ現役コンサルタントが送る躍動感あふれるビジネス-料理

昨日京都でCVSの卒業生が働いているすばらしい料理屋に行きました。10も料理が出る懐石料理のコースおいしかったです!二条城近くの「京和食かもめ」という料理屋さんでした。日本食は日本が持つ隠れた資産です。おいしいお店を見つけるたびに日本のすばらしさを実感します。ちなみに投資をする際にはその「隠れた資産」が将来性なので、それを見つけるセンスが重要です。

今日の本:
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