「強い組織を築く」という能力は最も勝ちあるものであり、企業であれ、スポーツの世界であれ、そういった能力があるリーダーには莫大な報酬を払ってでも自分たちの組織に来てもらいたいと努力をしています。その能力がリーダーシップであり、アメリカのビジネススクールなどではとても注目されている学習科目です。そしてリーダーシップはビジネスとスポーツとの最も共通する部分でもあります。(ビジネスができる人にはスポーツマンが多いといいますが、そんな背景もあるのかもしれません)アメリカでは大学のスポーツはプロのスポーツと並ぶ人気があり、毎週末各テレビ局は大学スポーツの放映の競争をします。そして各大学は莫大な放映料を得ており、大学の予算上不可欠なものになってきています。アメリカの大学はその規模、設備など世界最大規模を誇っています。そういった大きな組織を支えるのにこの大学スポーツのビジネスは貢献しています。

大学のスポーツの場合は、プロと違いお金を払って名選手を確保して強いチームを保つということが困難です。NCAAのルールで学生にお金を払ってはいけないし(奨学金のみ)、良い選手はすぐプロに行ってしまうし(莫大な報酬を得れるので)、大学に残ったとしてもすぐ卒業してしまいます。なので、強いチームを築くにはコーチの手腕が問われるわけです。USCはピート・キャロルが来て見違えるほど強いフットボールチームに生まれ変わり、UCLAのバスケットも現在のベン・ホーランドになってからNCAAのトーナメントのベスト4に3年連続で残るなど見違えるほどの成果を出しています。スポーツに比べ結果はわかりにくいのですが、ビジネスの世界でもジャック・ウェルチ、スティーブ・ジョブスなどそのトップが変わることで組織が大きく変わることがあります。それがリーダーシップであり、リーダーシップの中には、コーチングスキルはとても重要なものであると言えます。

ジョン・ウッデン(1910-2010)
アメリカのビジネス界で異彩を放つ現役コンサルタントが送る躍動感あふれるビジネス-John Wooden
ジョン・ウッデンは殿堂入りしたUCLAのバスケットの名コーチです。アメリカではかなり有名なので、皆さんも覚えておくといいでしょう。1948年にUCLAのヘッドコーチとして就任してから初年度にいきなり前年度に12勝13敗だった弱いチームを22勝7杯にします。1967年から1973年の12シーズンにはなんとNCAAのトーナメントで10回の優勝(7連覇)、88連勝、ホームコートでは98連勝と圧倒的な強さをみせました。大学のバスケで、そして選手が変わる大学のスポーツでここまでの成績を残すのは奇跡的なものです。これは前代未聞の大記録であり、未だに破られる気配はまったくありません。ジョン・ウッデンの凄さがこの結果に現れています。彼はWizard of Westwood (UCLAがある町Westwoodの魔術師)というニックネームがあり、その名前からするとよほどの策略家なのかと思えますが、実は彼は「人格教育」をその教育の中心においており、「バスケットは人生の通過点に過ぎない」とまで言うほど選手の人間性(キャラクター)の教育に力を入れていました。チームスポーツの場合は、個人技だけでは勝てません。むしろチームとしてのケミストリー、個人技以上にチームを優先しプレイが求められます。そして全体としてのレベルアップが重要なのです。そんな中、プレイヤーの人格があり、その人格に支えられたチームとしてのカルチャーがあります。そしてそんなカルチャーを築くのがリーダーなのです。ジョン・ウッデンのコーチとしての特徴としては以下の点があげられます。
• 自分自身選手としても殿堂入りした名選手だった。
• とても宗教的で倫理観が高い人であった(彼の指導原則のひとつに、Drink Deeply from Good Books, especially from Bible とある)
• 哲学的、理念的な方法論を基本にしていた(有名な成功のピラミッドを読めばわかる)
• レベルの高い選手を集めることができた(人徳)
• チームを優先し、チームプレイを徹底した
CVSの16期生、及び会計セミナー参加者は名門UCLAのバスケットの公式戦を観戦に行くので、知っておいたほうがいいです。
アメリカのビジネス界で異彩を放つ現役コンサルタントが送る躍動感あふれるビジネス-Pyramid of Success
これが成功のピラミッドPyramid of Successです。

このブログを読んでいる皆さん、この中で皆さんが「成功」をするのにどの部分が最も強く、どの部分が不足していると思えますか?最もよくコメントしてくれた人にUCLAのピンをプレゼントします。

ビジネスの世界におけるウッデン教育の応用
ビジネスの世界もチームプレイで、そして、成功が期待されます。なのでスポーツから学べることは多くあります。以前CVSではこのジョン・ウッデンの元プレイヤーでCBSテレビの副社長になったAndrew Hillが書いた著書Be Quick But Don’t Hurry という本をテキストにしていました。この名コーチの教えはビジネスの成功にも生かされ、それが彼自身のビジネスマンとしての成功にも出ています。今回はこれはテキストではないので、いくつか抜粋します。

Focus on Effort, not winning
勝つことが全てのスポーツにおいて、しかもこれだけの連勝記録を作った人がこんなことを言うのには矛盾を感じますが、彼は順番にこだわっていたようです。つまり、「勝つ」ということは結果であり、それはコントロールできるものではなく、あくまでも努力の結果に過ぎないということです。だから、運が物をいうスポーツでさえ、「人一倍の努力」が最も希望する結果を得る確実性をあげることだと捕らえ、選手に「勝つ」ことにうぬぼれずに、「努力をすること」に精進させたとのことです。これはビジネスだけでなく、一般的に全てのことにおいて言えることかもしれません。似たようなことで、Failing to prepare is preparing to failとも言っています。すばらしいスピーチや、映画、コンサート、芸術でさえ、「準備」の賜物であり、準備がなければ、失敗しかないのです。

A Good Leader is first, and foremost, a teacher
良いリーダーは人を育てることができます。ビジネスの世界でもコーチングが注目を浴びていますが、人を育てることができなければ組織としてのレベルアップはなく、育てる技術と人格は重要です。「リーダーは人に好まれることを望んではいけない」、「相手ではなく、自分のチームに注目しろ」、 「良いことが起きたら他人を褒め、悪い結果ができたら全ての責任をかぶれ」といったリーダーシップ理念は、彼の敬虔なクリスチャンとしてのキリスト教的な部分も出ています。「自分が信じていることの為にリスクを負え」とも言っています。彼が優秀な選手を集めることができたのも、それは彼の元で育ちたい、成長したいという気持ちがあったからであり、成長させることができるからこそ、彼のコーチとしての価値が高くなるのです。そして教えるという場には理念があり、情熱、信念がなければ生ぬるい教育でしかありません。ビジネスの世界も同様で、人々はお金のためだけに働くのではなく、自分自身を成長させてくれる場所に自分の居所を求めます。そして成長をさせてくれるからこそ、価値があるのです。だから理念を持っている指導者としてのリーダーは重要です。

Be Quick but Don’t Hurry!
早く、でも慌てずに、これは簡単なことを言っていますが、深い意味があります。スポーツもある程度の水準になると技術力以上に精神力の方がものをいいます。そして慌てない「冷静さ」というのは日ごろの練習、自分自身への厳しさ、そして自信からくるものであり、それらは簡単にできるものではありません。ビジネスの世界も生き残りをかけた厳しい競争の中にありますが、そんな中で冷静になり、しかもネガティブにではなくポジティブに考えることができることは結果に結びつきます。慌てない冷静さをもって最後まで諦めないことが最終的な結果を導くことになるのでしょう。

CVSでも過去活躍した参加者の中にはスポーツマンが多くいます。私のコンサル会社でも上司だった人の中に元NHLの選手だったり、ATPのランキングにものっていた元プロのテニスプレイヤーもいましたが(CVSの7期では講師をしてくれた)、スポーツから得られるこういったレッスンを受けることは人生の成功には重要だと思います。優秀なビジネスマンもそんなコーチの元に育てられるのかもしれません。

UCLA Fight, Fight, Fight!
アメリカのビジネス界で異彩を放つ現役コンサルタントが送る躍動感あふれるビジネス-Go UCLA
先週はUCLAのフットボールの試合を見に行きました!我がUCLAはコロラド大相手に大勝利で満足!これは私の手です。明日はUSCとの年に一度の大きなライバル対決があります。勝って欲しい。皆さんも応援してください。CVS16期の参加者の皆さんもUCLAのバスケの試合を見に行きます。みんなこのUCLAの応援を覚えておいてください。試合中何度も何度もやらされます。過去一生懸命やっていたら、チアリーダー達が近くに来てくれたこともあります。それとジョン・ウッデンコーチについても知っておいてください。




本日の歌
コーチは人を育てますが、その根底には人間関係があり、そしてそれを支える信頼があります。コーチは厳しく訓練するだけでなく、時には「諦めないで」と応援をすることも重要です。CVSではNever Give Up!をモットーにしています。この歌を16期受験生全てに贈ります。皆さんへの励ましの歌です。私は昔一時期Kate Bushが好きだったのですが、このPeter Gabrielとの競演はなかなかインパクトがありました。

Don’t Give Up /Peter Gabriel

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※モバイル非対応


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Be Quick - But Don’t Hurry: Finding Success in .../Andrew Hill

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