アメリカの大学院、特にビジネススクール(MBAコース)を受験するときに、アプリケーションを提出するタイミングは重要だと言われます。一般的には早ければ早い方が良いと言われます。なぜなら、大学院もなるべく優秀な学生を採用したいので、早い段階で優秀な学生を見つけ、状況次第では奨学金もオファーし、何とか他に逃げないようにするからです。これは企業のリクルートも同じで、大学も企業もなるべく早く定員を優秀な人間で満たしたいと思っています。だから例えば300人のスポットがオープンな場合、最初に合格する10人と最後の10人ではその状況は大きく違います。最初は標準的な人でも定員を満たすのには採用される可能性は高いのですが、最後の10人となると、相当競争力が無いと困難になります。


アプリケーションを早く提出した方が良い利点として、実際に評価する側も早い時期だとそれ程たくさんの書類が来ているわけではないのでじっくりと時間をかけて評価することができるということが言えます。一方、締め切りぎりぎりになると、アプリケーションが一気に届くので、十分な時間をかけることができなくなります。せっかく苦労して書いたエッセイが担当者にしっかりと読んでもらえないのは残念です。私がビジネススクールを受験したときはGMATの受験が遅れてしまったので、アプリケーションの提出が締め切りぎりぎりになりました。合格の可能性が低くなったと思ったので、会社で休みを取ってアメリカに来て、受験した大学院を訪問しました。担当者と面接のアポを取り、印象付けるためにプレゼンをしたり、追加資料に関する説明をしたりしました。ぎりぎりになるとその様な更なる努力が必要となります。


大学院によっては、細かいデッドラインを設け、合格者を決めて発表していきます。最後にボーダーラインの人を全員プールし、その中から定員最後の合格者と補欠を決めます。今回からHBSの受験にはこの方法を用いています。第一回に受験した人は、その時点で合格しなくても、自動的に第二回目の選考に残ることができるのです。明らかに早く書類を提出することは有利です。


書類はなるべくパーソナライズし、自分に親しみを持ってもらうことも重要です。自分らしさを出し、必要に応じて写真や絵などを入れるのも良いと思います。それといかにコンプリートであるかも重要です。誤字脱字(特に萩原の“萩”を“荻”と間違える人がいるので注意)、スペルミス、英文エッセイのロジック、それら読みにくいエッセイはあまり高い評価を得ることができません。いつか過去のHBS合格者で良かったエッセイを公開したいと思います。皆それなりに工夫して、素晴らしいのを提出してくれています。熱意と、工夫で相手に自分を覚えてもらうのは合格への重要な第一歩です。


アメリカの大学院の受験エッセイを書くとき、その大学のことを良く知っておくことも重要です。「その大学に何を貢献できるのか?」と言うようなことまで聞かれます。その為にはその大学側のニーズ、状況に関して知っておく必要があります。最低でも大学の歴史、カリキュラムのフォーカス、インストラクター、そしてどのような学生を欲しているかと言う点は把握しておく必要があります。その学校のウェブサイトや、カタログを受験前によく読んでおくのはマストです。実際に大学院を訪問するは更なるプラスです。大学院の状況がよく分る上、通常アドミッションズオフィスが合格した学生とのランチなどをセットアップしてくれます。直接学生から話を聞けるのは何よりです。後で分ったのですが、その学生からのフィードバックも合否の参考にするとのことでした。UCLAでは学校訪問の際にはクラスにも参加でき、何としても合格したい受験者達はいつもクラスでも(ゲストなのに)必死で手を挙げて発言し、自己アピールしていました。いつも先生や他の学生は「そんなに張り切らなくてもいいよ!」と笑われていました。


HBSの受験プロセスは、それ自体が将来ビジネススクールを受験するための練習になることを意識しています。ただ単にHBSに参加するための手段ではなく、このプロセス自体がトレーニングなのです。


この萩原通信を読んでいる人は恐らくかなり熱心な人だと思います。だから特別に私のスケジュールを教えましょう!今週金曜と土曜は時間があるので、もしエッセイが提出されていればじっくり読んでみようと思います。来週月曜からはプロジェクトが始まるため、夜1時間程度の時間を取るのがやっとで、週末まで余裕がありません。電話面接以降は週末と30日のみが空いていて、その後は出張で香港です。私は大学院のアドミッションズ担当と違い、仕事があり、HBSは空いている時間にしかすることができません。だから私のスケジュールにあわせしっかり自分のエッセイが読んでもらえるように提出するのも戦略の一つです。それと、掲示板や萩原通信に対するコメントやフィードバックもチェックしているので、皆さんからの質問や提案も載せてください。匿名で載せる場合は、自分のエッセイに「匿名XXXで萩原通信に書き込みをしています。」と書いておいて下さい。今回のHBS受験はまだ誰もエッセイを提出していません。最初に読んだエッセイと言うのは忘れないものです。第一号になりませんか?