半自然草原の概要についてメモ書きしました。
●半自然草原
・人間の干渉によって植生の遷移が草原の状態でとどめられている植生。
・人の干渉がないと、草地を覆う植物によって陽を遮られ、やがて衰退してしまう。草原の構成種の生育には、上空が空いていることが必要で、放牧、刈り取り、火入れなどの人の干渉が必要。
・構成種からみると、ススキ草地、ネザサ草地、シバ草地などがある。
・多年生草本のなかで冬季には地上部が枯れる地中植物あるいは地表植物は、翌春の成長に必要な物質を地下部に蓄えており、また翌年の成長芽も地表付近にあるため、冬季の刈り取りで地上部が除去されても影響がない。
一方、草本植物の上部を覆って競合相手となる木本植物の成長芽は地上にあるため、地上部の刈り取りや火入れは大きな影響を与える。
●ススキ草地
・かつては、水田の肥料や屋根ふきに利用されていた。
・毎年の刈り取りまたは火入れなどの人の干渉により形成。
●ネザサ草地
・放牧地として利用されていた。
・低密度の放牧や年2~3回の刈り取りなどの人の干渉により形成。
●シバ草地
・放牧地として利用されていた。
・高密度の放牧などの人の干渉により形成。
・家畜の踏付けと喫食を受ける放牧地では、成長点が地上付近にあって損傷を受けず、喫食後すぐに葉を再生できる植物のみが生育可能でシバ草地となる。
●生息する生物、生物多様性
・半自然草原の優先種はイネ科植物で直立的に分布するため、光を遮る程度が小さく、地表付近まで光が十分に到達する。そのため、小さな植物も生育可能になる。
・半自然草原の縁は低木の藪や二次林と接している場合が多く、動物の採餌、繁殖、営巣などの環境も提供する。
・上記のように生物多様性保全の面からも重要な役割を果たしてきた。