令和3年3月から令和4年9月にかけて「区分所有法制研究会」において、法律専門家、都市工学者等のほか、実務・実態的な側面からマンション関係団体、法務省、国土交通省等も参加して、決議要件の緩和、所有者不明の課題等、広範な検討が行われ、報告書がとりまとめられました。検討会で行われていた議論内容も参考になるかと思い、資料を参照し、気になった点をメモ書きしましています。今回は令和4年7月15日の第16回の検討内容についてです。
■第16回(令和4年7月15日開催)
https://www.kinzai.or.jp/legalization_manshon.html
(1)共用部分の変更に係る決議の円滑化等
〇A案
・多数決の割合を区分所有者及び議決権の【3分の2以上】に単純に引き下げるものとする。
〇B案
・客観的事由がある場合には、多数決の割合を区分所有者及び議決権の【過半数】【3分の2以上】に引き下げるものとする。
〇C案
・区分所有者の定数だけでなく、議決権についても、規約で【過半数】まで減ず25 ることができるものとする。
●質疑
・特に等価交換方式のマンションでは問題が多いという観点から C 案は反対である。
従前の土地の所有者がマンション開発業者に土地を売る代わりに完成したマンションの何部屋かを取得するという場合、大きな土地を持っていた所有者が過半数に近い部屋を取得することも可能になり、そこだけ積立金が安い又は免除されているということや、駐車場を永久に使える、駐車代を免除するというような合意がされているなど、トラブルになるケースが多い。
原始規約を作る段階で旧地主と開発業者が話をすればそのような規約ができてしまう事態が生じるから、C 案には反対である。
・C 案については、規約は影響の大きいものであり、多数者による横暴にならないかということには十分に注意する必要があるが、当事者が自分たちで「このマンションはこうしたい」ということであれば、それを実現させる余地を残すこともあっても良いのではないか。
頭数要件とは違うということであれば、議決権要件の引下げの限度を3分の2までとすることもあると思う。規約では実効性がないという話もあったが、規約で決めたいというマンションがあるのであれば、これを否定する理由にはならないと思う。
等価交換方式の問題も、過半数でも3分の2でも、結局は旧地主がどれだけ取得するかによる。
また、旧地主による横暴を防ぎたいというのであれば、頭数要件を規約で引き下げることができないようにする方が合理的であるのに、現行法は頭数要件だけを規約で引き下げられるようにしている。
加えて、既にある規約・原始的規約や将来についての十分な理解が及ばないままに同意又は反対してしまうことについての懸念は、あらゆる場面で問題になることである。
・17 条 2 項の特別の影響の件について、変更の決議要件を引き下げても、特別の影響にあたる場合には、承諾が得られずに結局工事が進まないということがある。これはこのまま維持したほうがいいという意見もあるとは思うが、必要不可欠な変更があるとすれば、承諾に代わる許可などでも進められるようにした方が良い場面もあり、検討課題になるのではないか。
・特別の影響がある場合には承諾が必要となることもやむを得ないと思うし、裁判所による承諾に代わる許可制度を設けたとしても、裁判所が代わって許可を出すのであれば、特別の影響がないということなのではないか。
・一般的な変更というよりも、いわゆる耐震改修工事の場合について、基本的には特別法により 17 条によることになるが、同様に 17 条 2 項が適用されてしまうことになるため、耐震改修工事について何らかの手当てが必要なのではないか。
耐震性が劣っているのであれば、その居住者の生命健康に影響をもたらすから、裁判所の許可はなじまないのだろうと思うので、金銭補償なり離脱の権利を認めるなど何らかの手当てをすることもあるのではないかと思うが、いずれにしても特別法の問題かもしれない。