区分所有法制研究会の検討内容(13) | セミリタイアを目指すサラリーマン大家 マンション管理のお勉強

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令和3年3月から令和4年9月にかけて「区分所有法制研究会」において、法律専門家、都市工学者等のほか、実務・実態的な側面からマンション関係団体、法務省、国土交通省等も参加して、決議要件の緩和、所有者不明の課題等、広範な検討が行われ、報告書がとりまとめられました。検討会で行われていた議論内容も参考になるかと思い、資料を参照し、気になった点をメモ書きしましています。今回は令和4年4月25日の第13回の検討内容についてです。

■第13回(令和4年4月25日開催)
https://www.kinzai.or.jp/legalization_manshon.html

(1)建替え決議がされた場合の賃借権等の取扱い
1)賃借権の存続
(2)質疑


(1)建替え決議がされた場合の賃借権等の取扱い

1)賃借権の存続

・建替え決議がされた場合でも、専有部分の賃借権は従来どおり存続する。
 賃貸人である区分所有者が建替え決議に賛成した場合であっても、賃借権には影響を及ぼさないから、賃借人に対する債務不履行の問題は生じない。
・売渡請求権の行使により区分所有権の移転が生じた場合には、賃借権が対抗要件を具備している限り、区分所有権の買受人に賃貸人たる地位が移転し、賃借人は賃借権に基づいて引き続き専有部分についての使用収益をすることができる。
・建替え決議に基づいて建替えが行われる際には、専有部分の賃借人は、建物賃借権に基づいて建替え工事の差止めを請求することができると解される(民法第605条11 の4)。

(2)質疑

・日弁連では両説ある。建替え要件として,一定の老朽化の要件があれば,終了時期や補償金を定めることもあり得るとの意見が多かった。他方で,単純に6か月待てば賃借権が消滅するというのは行き過ぎである。補償金の性質を,財産権の保護として考えるか,生活の保護のような生活保障としての金銭と考えることの2つがあり得る。

・賃貸借の存在が,他の区分所有者の権利に対する制約になっていることである。それゆえ,特別のルールを作るのであれば,他の区分所有者に賃借権を消滅させる権利を認めるというものではないか。その場合にも,補償金は正当事由が認められるための立退料のようなものと考えれば,賃貸人が払うべきであり,他の区分所有者が支払う理由はない。他の区分所有者が一時的に支払ったとしても賃貸人に求償することが前提でなければおかしい。

・賃借人にも保護される利益はあり,正当事由を全て外すというのはおかしい。賃貸借を終了させるためには,通常の賃貸借と同様,賃貸人が立退料を支払う必要がある場合もあるだろう。ただ,その支払義務は賃貸人が負担すべきで,他の区分所有者が補償金名目で金銭を負担するのはおかしい。

・B案(建替え決議があったときは、一定の請求権者は、専有部分の賃借人に対し、一定の手続により、補償金を支払って賃借権消滅請求をすることができ、一定の時点で賃借権は消滅するものとする。 )で他の区分所有者が支払うとする点は売渡し請求のアナロジーとしていることによると思う。借家権の補償とすると,契約関係であるから,最終的には賃貸人が負うべきものになる。賃貸借が設定されるのは区分所有建物が建築された後であり,他の区分所有者は賃借権の設定に関与しないのに自己の権利が制約されるというのが区分所有建物の特殊性である。この理屈からすると,他の区分所有者が補償金を払うのはおかしいという発想になるとも思われる。
・B案を売渡し請求類似のものというが,他の区分所有者が賃借権を取得して,対象となる専有部分を利用できるようになるわけではないので,利益状況が違うのではないか。
・売渡し請求は区分所有権を取得でき,建て替えれば床が増えるというメリットがあるが,賃借権を買い取っても消滅してしまってメリットがないので,同じに考えてよいのかとは思う。

・建替え決議によって賃貸人も賃貸を行う権利を制約されていると考えるとすれば,全員で補償金を負担することになろうか。
・賃貸人は決議に反対しているけれど決議で建替えとなった場合が典型であり,賃貸人は反対に回った方がよいということにもなりかねない。賃貸人は自ら貸しており,他の住戸や専有部分にそのようなことがないときには,支出を余儀なくされるのは賃貸人とすべきという理屈もあり得る。
・ 区分所有者である賃貸人が建替えに賛成している場合には,区分所有権が売渡し請求によって他の人に移ることはない中で,賃借権の消滅をさせてよいかどうかが問題になる。
・ 賃貸人が売渡請求をすれば賃借権がついたままの区分所有権が移ってくるから買取価格は低くなることが,議論の前提である。また,区分所有建物もの場合,区分所有者は,他の区分所有者の権利による制約を受けることが前提であるから,賃貸借について,一軒家の賃貸借の場合と異なる制約を受けるのは当然ではないか。