2022年6月に建築物省エネ法が改正され、建築物の販売・賃貸時の省エネ性能の表示制度が強化されたことを受けて、新たな表示ルールの検討がおこなれています。その検討状況をメモ書きしました。(施行時期:令和6年4月予定)
第1回(開催:令和4年11月17日)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001572170.pdf
(1)概要
●建築物省エネ法の改正
・2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%削減(2013年度比)の実現に向けて、2022年6月に建築物省エネ法が改正され、建築物の販売・賃貸時の省エネ性能の表示について制度が強化。
●改正法に基づく省エネ性能表示制度
・建築物の販売・賃貸時の表示事項及び表示方法等の遵守事項を国土交通大臣が告示で定める
・告示に従って表示していないと認める場合、国土交通大臣が販売・賃貸事業者に対し、告示に従って表示を行うよう勧告することができる。
〇努力義務の対象
・「建築物」には、新築建築物・既存建築物いずれも含まれる。
・住宅であれば、新築の分譲住宅・マンション、中古の買取再販住宅、賃貸住宅等が対象。
・個人事業者は対象に含まれる(例: 継続・反復して販売・賃貸を行っている場合)。
●勧告等の措置について
・勧告は「告示に従って表示していない」と認める場合に行うことができることとされている。
・告示に従わない表示を行っている場合のほか、表示を全く行っていない場合も、法律上、勧告の対象となり得る。
(2)省エネ性能に対する消費者ニーズ
1)賃貸入居者の新居と実家の断熱・省エネ性に対する評価
・10代、20代:実家の方が良い
・40代以上:新居の方が良い
↓
1999年省エネ基準の改正、2000年に住宅性能表示がスタートし、持ち家物件を中心に性能向上し、今の20代は性能の良さを既体験
2)賃貸入居者の入居前と入居後の重視項目
●探すときの部屋の重視項目
①間取りが自分好み
②住宅設備がきれい、自分好み
③内装がきれい、自分好み
④耐震性が高い
⑤外装がきれい、自分好み
⑥遮音性が高い
⑦断熱・省エネ性が高い
●入居後の改善要望項目
①遮音性能
②断熱性能
③室内の安全性
④設備の最新化
⑤内装の更新・リフレッシュ
(3)既存建築物の現状・課題
・既存建築物の中には、これまで建築物省エネ法の規制対象となっておらず、建築時に省エネ性能を評価せずに建築されたものが多数存在する。
・既存建築物についても、販売等しようとする建築物の省エネ性能を新築時と同様に評価・表示する取組が一部の事業者において行われている。
リノベーション工事を行う場合など、建築物の断熱等の仕様を確認できる場合が多いと考えられる。
・住宅については、既存ストックの省エネリフォームを政策的に推進してきたことにより、窓・ドアの断熱改修など、「パーツの断熱化」も進められている。
「建物全体の省エネ性能は不明だが、窓の性能などを部分的に把握している」という場合がある。
(4)既存建築物の取り扱いの方向性
〇新築と同様の省エネ性能表示を基本
・既存建築物においても、建築時に性能を評価している場合や、販売等する際に性能を評価している場合があることを踏まえると、新築と同様の省エネ性能表示を基本とすることが考えられる。
・建築時に省エネ性能(一次エネルギー消費量、UA値等)を評価しており、そこから仕様の変更がない場合は、当該性能を表示する。
〇代替措置の検討
・性能評価には一定のコスト・期間を要するため、全ての物件にこれを求めることは事業者への負担が多大と考えられることから、代替措置についても検討する必要があると考えられる。
・住宅については、省エネリフォームにより窓等の「パーツの断熱化」が進められていることも踏まえ、部分的な仕様等に基づく簡易な評価・表示の仕組みを検討。