UR賃貸住宅の断熱工法の変遷 | セミリタイアを目指すサラリーマン大家 マンション管理のお勉強

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※参考
UR都市機構 'ING REPORT 建

1)概要

・RC造の集合住宅における結露は、断熱性能の確保の問題だけでなく、室内の気密性向上、生活の変化における室内水蒸気発生量の増加、壁仕上げ材の吸放湿特性の低下などが相互に関係しあっている。
・当初の防露対策の部位は、結露の発生しやすい北側の居室や妻住戸の外壁面、また外壁に面した押入部分に限定されていた。
・1980年からは、住戸の全外壁面に、さらに1995年からは北側居室の結露のおそれがある天井部分にそれぞれ断熱措置が施されるようになった。
・2003年からは、日本住宅性能表示制度に準拠した省エネルギー対策(温熱環境)等級4を満たすよう断熱措置を行い断熱補強などが必要となった。
・断熱工法、は1980年頃まではG1工法も採用していたが、躯体精度の向上、接着方法の改良によりS1工法が主流になり、現在に至る。

2)断熱工法の種類、変遷

①G1工法
・1967~1980年頃
・断熱材にロックウールまたはグラスウールを使用した工法。
・壁面制度の比較的悪い在来工法の躯体面に採用されたが、その後、面内結露の問題と躯体精度の向上により使われなくなった。

②S1工法
・1967年頃~
・押出発泡ポリスチレンフォーム成形版を合板または石こうボードに裏打ちしたものを壁面に接着する工法。
・1980年頃から在来工法の躯体面に採用され、現在は標準工法になっている。
・最近は、仕上の石こうボードと断熱材が一体になったFP(G)(発泡プラスチック保温材裏打ち石こうボード)を用いることも多い。

イ)S1-F工法(先打込み工法)
・型枠に断熱材を張った上でコンクリートを打設。
・コンクリートにジャンカが入るなどの不具合が起こりやすい欠点があり、現在はほとんど使用されていない。

ロ)S1-RC工法(あと張り工法)
・コンクリート壁に断熱材を張る。
・最近は、仕上げの石こうボード断熱材が一体になったFP(G)(発泡プラスチック保温材裏打ち石こうボード)を用いることも多い。
・特記がない限り、S1-RC工法を採用している。

③吹付け工法(現場発泡工法)
・超高層住宅やポリスチレンフォームがうまく張れない(S1工法が採用できない)場所に"建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォーム"をパネルや石こうボードに吹付ける工法。
・超高層以外では、外壁パネルの設置金具などがある場合も吹付け工法を用いている。

3)天井断熱(熱橋補強)

①~1995年頃
・外壁に接する押入れ部分の天井は、熱橋で結露が生じるため、その冷域部分に断熱措置を講じていた。

②1995年~
・北側居室の天井冷域にも断熱を行っている。

③1999年~
・次世代省エネ基準により、熱橋の断熱補強を拡充。

④2003年~
・仕様規定により、南側天井にも断熱を行った。

⑤2009年~
・次世代省エネ基準の評価基準改正により、断熱補強が不要と判断される範囲については、断熱補強の緩和を実施。

⑤2009年~
・断熱計算によって不要と診断された場合でも、最上階の南側天井、各階北側の天井、床、押入、水廻り等については、結露対策として断熱補強を実施している。

●最上階の天井の内断熱
・最上階住戸の天井断熱を兼ねた仕上げ材として、室内側の屋根スラブ下面に化粧断熱板を直張りする工法が昭和40年代の一時期採用されたが、外断熱アスファルト防水工法の採用によって姿を消した。

4)2022年以降のUR賃貸住宅における断熱・省エネ対策

・2022年度以降に設計着手する住宅において、住宅性能水準を引き上げた。

●等級
・断熱等性能等級:等級5
・一次エネルギー消費量性能等級:等級5以上

●主な省エネ対策
〇断熱
・サッシ:アルミ樹脂複合サッシ
・ガラス:複層Low-E
・玄関ドア:JIS等級H3
・屋根断熱材の厚み:50㎜
・北側・南側居室の天井・床・収納・水廻り等の冷域に断熱を行う。
〇省エネ
・照明:人感センサー付き照明(玄関)
・LED照明、潜熱回収型給湯器、エアコン等