タイル張り仕上げの改修工法の選定 | セミリタイアを目指すサラリーマン大家 マンション管理のお勉強

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(1)ひび割れ部改修工法の選定

●目地部分のみの軽微なひび割れの場合
〇目地ひび割れ部改修工法

●ひび割れ部分に漏水や錆汁あり(単なるひび割れでなく、劣化が進行していると考えられる場合)
・タイル張り仕上げ層の一部分を除去して、下地の劣化の有無を確認。
→鉄筋腐食やコンクリート躯体に問題がある場合は、コンクリート躯体の改修を含めた工事を実施する必要がある。

●ひび割れ部分に浮き部分が共存する場合
〇浮き部改修工法

●ひび割れが下地コンクリートや下地モルタルから発生している場合
・タイル張り仕上げ層を除去
→コンクリート下地面、モルタル下地面において"エポキシ樹脂注入工法"or"Uカットシール材充填工法"
→"タイル部分張替え工法"or"タイル張替え工法"

●タイル表面にひび割れ but 漏水や錆汁なし(ひび割れが下地コンクリートや下地モルタルに起因していない場合)
・タイルをはつり
→"タイル部分張替え工法"
or タイル表面のひび割れ幅が0.2mm未満であり、ひび割れ長さも小さい場合には経過観察を行うこともある。

(2)浮き部改修工法の選定

●浮き部分が通常の打撃力によってはく落するおそれがある場合
・ハンマー等で打撃し、タイル陶片orタイル張り仕上げ層をはく落させたほうがよい。
・改修工法は欠損部改修工法の中から選定する。

●鉄筋腐食等によりかぶりコンクリート等が浮いている場合
・タイル張り仕上げ層の改修だけでは対応できないため、躯体コンクリートを含めた改修工事が必要となる。

●浮きがタイル陶片のみの場合
〇タイル部分張替え工法
〇注入口付アンカーピンニングエポキシ樹脂注入タイル固定工法
・タイル中央部分を穿孔し、注入口付アンカーピンによるアンカーピンニングを行うため、タイル一枚ずつを固定する必要がある。
・大きなタイル陶片の浮きには有効であるが、モザイクタイルのように小さなタイルには、煩雑な作業となり効率的ではない。

●下地モルタルを含むタイル張り仕上げ層が躯体コンクリートとの間ではく離し、浮いている場合
・一ヶ所の浮き面積の大きさ、および浮き改修の目的により浮き部改修工法の種類が異なる。
①一ヶ所の浮き面積が0.25㎡未満の場合
〇アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法
・アンカーピンとしてφ4mmの全ネジ切りステンレス製アンカーピンを用いる工法
〇注入口付アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法
・ステンレス製注入口付アンカーピンを用いる工法

※アンカーピンとエポキシ樹脂を併用する効果
・浮き間隙に注入されたエポキシ樹脂はコンクリート躯体とタイル張り仕上げ層を必ずしも確実に接着するとは考えられない。
←エポキシ樹脂が注入される浮き間隙の表面は劣化しているはずであり、そこにエポキシ樹脂を注入しただけでは両者を確実に接着できるとは限らない。
→アンカーピンをタイル仕上げから躯体コンクリートまで架かるように挿入し、さらにエポキシ樹脂を注入した工法では、タイル張り仕上げ層と躯体コンクリートとが、穿孔穴内でアンカーピンとエポキシ樹脂とが一体化し固着することで固定化されるため、浮き間隙に充填したエポキシ樹脂には頼っていない。
→「アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法」および「注入口付アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法」は、タイル張り仕上げ層のはく落防止性を確保できる工法と考えられる。

②一ヶ所の浮き面積が0.25㎡以上の浮きの場合
・"はく落に対する安全性を確保する"のか"はく落に対する安全性および耐久性を確保する"のかの目的により、選択する工法が異なる。

イ)はく落に対する安全性を確保するだけの場合
〇アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法
〇注入口付アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法
※浮き部分のはく落に対する安全性はアンカーピンニングにより確保する。

ロ)はく落に対する安全性に加え耐久性も確保したい場合
〇アンカーピンニング全面エポキシ樹脂注入工法
〇注入口付アンカーピンニング全面エポキシ樹脂注入工法

ハ)浮き代が1.0mm以上と大きい場合
〇アンカーピンニング全面ポリマーセメントスラリー注入工法
〇注入口付アンカーピンニング全面ポリマーセメントスラリー注入工法

※エポキシ樹脂orポリマーセメントスラリーの全面注入の効果
・浮き間隙を接着させることではなく、浮き間隙にエポキシ樹脂orポリマーセメントスラリーを充填することにより浮き間隙をなくし、水の侵入を防ぐことにより、浮いていた部分の耐久性を回復させることにある。

⑤改修対象とならなかった部分(健全な部分)の将来的な劣化対策
〇外壁複合改修構工法(ピンネット工法)

(3)欠損部の改修工法

●かぶりコンクリートのはく落等がある場合
・躯体コンクリートを含めた改修が必要

●下地モルタル層を含んだ欠損
〇タイル張替え工法

●下地モルタル層を含まない欠損
〇タイル部分張替え工法