給水管の更生・更新工事 | セミリタイアを目指すサラリーマン大家 マンション管理のお勉強

セミリタイアを目指すサラリーマン大家 マンション管理のお勉強

ワンルームマンション7部屋所有するサラリーマン大家。セミリタイアを見ざし、管理組合理事としてのマンション管理の勉強、賃貸の自主管理に向けての勉強を行っています。

※国土交通省"改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル"

(1)修繕工事の概要

●一般的な修繕周期
・給水管の劣化の程度は、配管の種類、配管・継手の材質、修繕履歴等によって異なり、周期に幅がある。

〇水道用亜鉛メッキ鋼管+亜鉛メッキ継手の場合
・過去に更生工事を行ったものは、更生工事後10~15年程度で取替え。
・過去に更生工事を行っていないものは、15~20年程度で取替え。

〇硬質塩ビライニング鋼管の場合
・継手部に防食継手を用いていないものは、20~25年程度で更生or取替え。
・管端コアを用いているものは、25~30年程度で更生or取替え
・防食継手を用いているものは、30~40年程度で取替える。
※異種金属との継手部分については腐食が進みやすく寿命がさらに短くなる。

●工事の概要
〇給水管内部の発錆・腐食等による管の更生or更新工事
〇屋外給水管
・内部腐食だけでなく外部腐食が進行していることがあるため、原則として更新工事。
・屋外の埋設管や制水弁等の取替えも必要となる。
〇住棟内共用給水管(1階床下、パイプスペース内配管)
・更新工事とする。
・給水管とバルブ・減圧弁・量水器等との接続部は異種金属配管となり、局所的に錆の付着や腐食が生じやすいため、給水系統はバルブ・弁類を含めた全体を取替える。
・住戸内配管の取替え工法には、隠蔽工法と露出工法とがありますが、隠蔽工法は床・壁の解体復旧を伴うため工事費が高くなる。
・露出工法は配管が露出し見栄えが良くないことから、露出工法とせざるを得ない場合、配管の残存肉厚があれば更生工事が用いられることがある。
・更生工法には、エポキシ樹脂ライニング工法、カルシウム工法、脱気工法、電子防錆工法等があり、選定にあたっては除錆、防錆、赤水対及び保証年数、保証範囲、コスト等を検討する必要がある。
・一般的にはエポキシ樹脂ライニング工法(既存管内の錆を双方向研磨しエポキシ樹脂を2回塗布する)がよく用いられる。

(2)改良工事

●目的、注意点
・給水管に用いられる材質は、経年とともに、赤水対策が講じられるようになってきており、管の防食性能や耐久性が向上してきている。
→給水管の更新工事においては、管の材質をグレードアップすることがポイントとなる。
・配管の防音・防震対策も検討事項となる。

1)配管材料等のグレードアップにより耐久性を向上

●給水管の材質の変遷
〇昭和45年過ぎまで
・水道用亜鉛メッキ鋼管、亜鉛メッキ継手が一般的だった。
〇昭和50年頃以降
・赤水対策として、水道用塩化ビニルライニング鋼管が普及してきた。
・継手については、腐食防止のため、昭和50年代半ばから管端コアが使用されるようになった。
〇昭和60年頃以降
・水道用ポリエチレンライニング鋼管等やステンレス鋼管も使用されている。
・継手については、腐食防止のため、平成元年頃から管端防食継手が使用されるようになった。
〇近年
・耐食性等に優れた架橋ポリエチレン管やポリブデン管等も使用され始めている。
・継手については、異種金属接続継手が採用されるようになっている。

●配管の更新
・旧式の配管を耐久性に優れた材質の配管に取替え。

〇屋外埋設管
・電位差腐食、電気的腐食、バクテリア腐食等を防ぎ耐久性を高めるために、内外面防食管(内外面塩化ビニルライニング鋼管等)や耐食管(ステンレス管、高密度ポリエチレン管、耐衝撃塩化ビニル管等)に取替える。
・耐震仕様の給水鋳鉄管に取替えることも考えられる。
・継手は内外面防食継手、弁類はコーティングバルブや埋設用バルブに取替える。

〇屋外露出管
・外面が亜鉛メッキされた塩ビライニング鋼管や外面防食ライニング鋼管、ステンレス管等の耐食管に取替える。
・バルブ類はコーティング製やコア内蔵バルブ等の赤水対策品に取替える。
・給水管の保温材の劣化腐食を防止するため鉄板ラッギング材をステンレス製に取替えることも考えられる。

2)配管の防音・防振対策

・ウォーターハンマー防止器・防止弁を取り付けることが考えられる。
・配管の固定が不十分なことがウォーターハンマー現象の一因であるため、固定用クランプ等の使用により配管をしっかりと固定する。

※ウォーターハンマー現象
・水道の蛇口を急に閉めた際(シングルハンドル水栓や全自動洗濯機水栓等の場合)、管内の流れが急激に断たれるため、スムーズに流れていた管内の水が直角に曲がった管壁等にぶつかり衝撃音を発生させる。これをウォーターハンマー現象といい、騒音や配管・機器類の損傷の原因となる。