※国土交通省"改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル"
(1)修繕工事の概要
●一般的な修繕周期
〇改修工事
・一般的には、24年目頃に行われる2回目の大規模修繕時以降、随時改修工事を行う。
〇取替え(全面撤去及び新設)
・3回目以降の大規模修繕時。
●工事の概要
〇屋外鉄骨階段の手すり、踏板・踊り場の縞鋼板等の錆・腐食箇所の改修工事
・ケレンによる塗装塗替え
・踏板の腐食劣化による穴あきの部分補修
・消音シートの張付け
・踏板の防水工事等。
※縞鋼板(チェッカープレート)
・圧延によって表面に連続した滑り止め用の突起を付けた鋼板を指す。
※塗装塗替えの際のケレンは、1回目の大規模修繕時に旧塗膜及び錆を除去し(鉄肌を表し、活膜は残す)、2回目には旧塗膜及び錆を全面に除去することが望まれる。
〇階段全体の全面取替え工事
(2)改良工事
●目的、注意点
・踏板部分の防錆・防水工事や通行時の消音工事が検討ポイント。
・劣化損傷が著しく進行したものについては、階段全体の取替え(全面撤去及び新設)を行う。
1)縞鋼板製の踏板の腐食劣化対策、防水・排水対策
・踊り場や踏板部分に縞鋼板が使用されている屋外鉄骨階段では、腐食劣化対策と防水・排水対策を適切に行う必要がある。
〇腐食劣化対策
・踊り場の縞鋼板の凹部には、雨水がたまりやすく、発錆を早めることにもなるため、軟化材を使用したケレンにより錆を計画的かつ十分に除去し、腐食劣化して穴の開いた踏板は鉄板を溶接して穴をふさぐ。
・腐食の著しい踏板(段板)や踊場の縞鋼板は取替える。
・鉄板床面は重防食圧膜塗装や、ウレタン樹脂防水材でコーティング(塗膜防水)する。
〇防水・排水対策
・踏板部分の防水対策として、階段の縞鋼板の踏板にポリマーセメントモルタル詰めを行い、その上にウレタン樹脂防水材でコーティング(塗膜防水)することが考えられる。
これにより、防錆処理の周期を延伸させることや歩行時の減音効果を期待することができる。
・仕上げ材に塩化ビニルシートを用いて耐久性やクッション性を高めることも考えられる。
2)歩行時の消音対策及び安全性
・鉄骨階段で歩行時の音が問題となる場合、階段床部分に消音シート(消音用強化特殊ゴム)を張る。
・踏板部分の防水対策に併せて、歩行の安全性を確保するために、ステンレス製等のノンスリップを取り付ける。
3)雨水・排水の処理
・床面に厚塗り防錆塗装、塗膜防水をする場合や消音シートを張る場合は、鉄骨階段の段板の片側に排水溝を設けて樋を通すなど、雨水・排水処理を適切に行う。
4)避難階段の保全・補強
・建物や開放廊下の外側に突き出して設置されている鉄骨階段では、大きな地震時に、建物本体との接合部分のアンカーが振り切られて外れてしまい、鉄骨階段全体が倒壊した事例がある。
・次のような点に配慮し、鉄骨階段と建物本体との接合部分の補強をしておく必要がある。
①屋外階段は建物本体と緊結し、地震時に一体に揺れるような取合いをする。
②屋外階段と建物本体とのアンカー接合部分は、余裕をもった設計とし工事精度を高める。
③階段室内部は避難を第一とし、落下の危険性のある仕上げは避ける。
5)鉄骨階段の取替え
・劣化損傷が著しく進行したものについては、階段全体の取替え(全面撤去及び新設)を行う。
・新しい階段の鋼材は、溶融亜鉛メッキ処理又はコルテン鋼(プレパレン処理)とし、階段床や踊り場部分には、軽量で耐久性・耐火性・耐塩製・美装製等に優れたGRC(ガラス繊維補強コンクリート)を使用することが考えられる。
テーマ:共用部設備